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本日二度目更新。
閑話なので見なくても本編にはあまり影響ありませんが…
('ω'*)
「美しい、レナ!凄く綺麗だよ!まるで御伽噺に出て来るお姫様の様だ!」
あーえーと。
熱心に賛美をしまくっている人をジト目で見詰める。
「可愛いし、何より可愛いし愛らしいし!可愛いし!」
ちなみに気分は馬子にも衣装です。
と言うか何度も可愛い言うな、兄さん。
五月蠅いわ。
「シスコンも極め過ぎてイタイ奴になってるな」
ボソッと呟いて居るけど聞こえてますよレスカ様。
呟いて居る言葉は正真正銘の事実ですがね。
「で、兄さん。どうしてくれるの!?」
「ハイ、目の前の海より深くとても深く反省しております…」
何故今ここで我が兄であるジーニアス兄さんが私に怒られているかと言うと、先程外から歓迎会の会場に戻って来た私―…
ニキ様とケイン様にエスコート(当然強引に)されて来た場面を見られ、動揺した兄さんが手に持って居たワイングラスを会場に落とし、その滴が借りていたドレスに付着。
で、私に叱られていると言う状態なのです。
買取ですよね?
無駄な出費ですよね?
ドレスだけじゃなくヒールまで付いてるかも知れないんだよ!?
しかもワイングラス落としてるし。
お、凄い。ワイングラス割れて無いよ。
え?そう言う魔法が掛かってる?…異世界魔法怖いデス。
「高いのよ…」
「え、まじで」
「私この桁貯めたお給料で払えない」
「幾ら?」
顔を見合わせてボソボソ呟く元貧乏アレイ男爵、現ガルニエ男爵。
その金銭感覚は…流石兄妹という事で。
「限りなく七桁に近い六桁」
「…は?」
「だからほぼ七桁」
「マジ?」
「大マジ」
「どうしようレナ、兄ちゃん震えそう。払えないワケじゃないけど…元貧乏貴族としては」
「流石貴族のドレスだよねって、弁償するしかないじゃない」
「いや、それは大袈裟に商人が宣伝用に付けてるだけでな、実際は五桁だ。それに弁償しなくていい」
「いやいやいや、流石に拙いでしょ」
「構わんよ、むしろレッティーナ嬢の美しさを見せて貰っただけで充分元が取れたし。いや、充分お釣りも出るな」
「いやいやいや、そんなワケないし。私如き小娘よりもっと美しいユリア様ならいざ知らず」
「レッティーナ嬢、其方は美しい。出来る事ならこの場で口説きたい所だが、其方を慕って居る弟みたいな者達に殺されそうだから出来ぬがな」
クックックと笑う声が真後ろから…って、え?
「はい?」
―――誰?この美少年。
いや、美青年?
凄い、この世界に生まれて初めて攻略対象者並みに美しい男性が目の前にいるよ。
もしかして私達の他にも誰かこのサザーランド様の家に訪問して居る貴族の子息が居るのかな?とっても若そうだし、って偉い笑われてるなぁ。
私の反応そんなに面白い?
もしかして変な顔してる、とか?
うわ、どーしよう!兄さんと焦って居たからもしかして化粧崩れた!?
と言うより兄さん顔が般若!落ち着け!
どうどう!って最近こればかり言ってるよ!
「失礼。私の目の前で我が妹を口説かないで頂けませんか、サザーランド様」
「はは、やはりジーニアス殿は即気が付いたか」
…はい?
えーと、サザーランド様。
…弟とか…
ああ、うん。当人です、よねぇ。
バーネット・カモーリ・サザーランド様ですよねぇ。
「髭を剃ると別人に見られるらしくてな。だが流石此度の王都の「英雄」であるジーニアス殿は見抜いたな」
英雄ってより『鬼神』って言って恐れられているけどね、主に騎士団の人達と犯罪者達に。
お陰で兄さんが王都で歩く時隣にいるとヤバそうな人達が挙って逃げて行くよ。
逆に女性陣の目線が追って来るからその辺りは怖いけども。
「騎士団に所属中に変装を見破る術を学びましたので」
「もしかして『骨格』や『輪郭』等から学び取ったか?」
「団長が「使える奴になれ」と」
「はっはっは、そりゃぁアルビオン様、実に優秀な団員を手放してしまったな。さぞ悔しかっただろうな」
「私よりコリンが騎士団を離脱してしまった事が手痛いですよ」
「コリンとは最近近衛騎士の見習いになった、そこの小僧かね」
言われてからコリンさんの方へ振り向くと、バーネット様にこっと微笑んでから会釈をしている。
でもその姿は――私と同じ”この人誰?”って言う顔。
うん、そんな顔してこっちを向かれても困ってしまう。
取り敢えず簡単に髭って言う事を表す様にゼスチャーをすると、分かったのか目を見開いて居る。そうだよね、髭剃ったらこーんなキンキラキラキラした美青年が出て来るなんて誰が思うのやら。
そして腕の毛どうしたんだろ。
今長袖を着こんでいるから腕は見えないけど、先程手首より下、指元に迄あった剛毛が消失しているけどココも剃ったのだろうか。
それとも脱毛?この世界ワックスみたいな脱毛ならあったけど、あれ取るの痛いんだよね。ガムテープより強力な粘着シートを貼ってから剥がすから………。
想像するだけでゾッとするんだけど。
「バーネット、剃ったのか」
「バーネット坊ちゃんってばやっとなんですよ。相変わらず刃物が苦手で困ってしまいます」
「ははは」
少し向こうではレスカ様が先程玄関に居たメイドさんと話し込んで居ます。
そして刃物。
そっか、ワックスじゃなかったのか。
剃るなら次生えて来る時更に剛毛になりそうな気がするんだけど、が、頑張ってね。
しかし。
「レナ」
つかつかと歩んで来たのはやっぱりニキ様。
今ジーニアス兄さんはバーネット様と話し込んでいるから来るかと思ったんだよね。
そしてケイン様はと思えば、何やら警備の人と話し込んで居る。
ちょっとコッチを見て「ちぇ」って言う様な顔をしたけど、重要な事でも話し込んで居るのか此方に向かって来ない。
と言うかついでに此方にウインク一つ寄越す辺り、流石だなぁ。
私なら恥ずかしくて出来ないよ。
「踊らないか?」
うぐっ。
そ、そりゃぁ良い雰囲気の曲が流れて来たな~とは思って居たけど。
と言うか流石お貴族様の歓迎会。
会場の端には生演奏を奏でる人々が居て、選りにも選ってセレナーデっぽいゆったりとした曲が流れだした。って、もーしかしてコッチ見て流してないかー!?
楽師達の視線を感じた気がするけど!
「かなり下手ですよ。習い始めたばかりだし」
「知ってる」
「足多分踏みますよ」
「構わん」
「ドレスに染みが付いてるんですが」
「そのままでも良いと思うが、気に為るなら着替えに行くか?」
「…もう一度コルセット地獄が待って居るかと思うと、部屋から出たく無くなります」
「ならこれを纏ってろ」
ふわり、と少し長めの薄手のコートが肩に掛かる。
ってこれ、ニキ様が着ていた品じゃないの。
「それを着れば丁度隠れる。だから一曲駄目か?」
そう言われたら断れないワケで。
――眩暈がしそうな豪華な食事と綺麗に飾られた会場と、ゆったり優雅な音楽が奏でる中。
何度足踏みつぶしたかな、しかもヒールで。
…ごめんニキ様。
* * *
次僕ー!!
とか言ったケイン様に連れられて、ニキ様と二度程踊り終わった瞬間に更に二度踊らされる。
しかしケイン様、ニキ様と踊って居た私の腕前を見抜いて居たのか。
足が華麗に逃げて行くよっ!
「ふっふふ~♪」
しかも滅茶苦茶上機嫌。
今かかって居るのはワルツだ。軽快な音楽なんだけど、いい加減休みたい。
「次はもう嫌ですよ」
「んーそれは無理じゃない?」
ほらほら、と言うケイン様の視線の先にはにいさーーーーーん!
曲が終わった途端、当然と言う感じでジーニアス兄さんに拉致されました。
チクショウ!鬼畜な王都の鬼神め!
我が兄ながら鬼だよ鬼っ!
休憩ぐらいさせてよーーっ!
「お疲れ様レナちゃん」
「有難う御座います~~ユリア様ぁ」
私がぐるぐる男性陣に拉致されて踊って居る間、勿論ユリア様は優雅に他の男性とも踊っていらしたけど、最初は離さんぞ!と言う気迫満載なユウナレスカ様と一緒に踊って、二度目も踊って…あれ、合間にバーネット様ぐらいしか踊って無いんじゃない?他は一回位ケイン様と踊っていただけの様な?
「ユリア様もお疲れ様です?」
「うふふ、私は何時もより少ないですからそうでも無いですわ」
という事は、あのストーカー…
「普段レスカとずっと踊っておりますもの、今日はレナちゃんが疲れている様ですから離して頂けましたわ」
あ、レスカ様に気を使われたか。
ふと少し離れた場所に居るレスカ様が此方を見て、
KA RI NA
…。
こんな事で借りとか言うなーーー!
何て心が狭い!流石ストーカー王子!狭い、狭すぎるよ!
ユリア様に執着し過ぎだろ!
少しこっちに寄越せ!
「ふふ、レスカったら」
ユリア様ー!
そんな嬉しそうに微笑んでって、これって惚気かーー!
そして語尾に「甘えん坊さんなんだから」って言われた気がする―!
Oh、何だか精神的なダメージが蓄積されていくよ…
「レナちゃんったらレスカのは何時もの悪戯よ、気にしないの」
悪戯されちゃったのか、コンチクショウめ。
何時か仕返ししてやる……出来そうにないけども。
はぁ、と溜息を一つついて会場に備えてある椅子に座ると、近くに居た男性がトレーに乗った飲み物を渡してくれる。
「あら、果物のジュースに珍しい物があるのね」
うん?何々?
一口飲むとあれ、これってライチみたいな味がしてる。
この世界中国みたいな国もあるのかなぁ…
活動報告にて『着飾ったレナを見た男性陣の反応が~』との事でしたので、今回追加で書き上げて見ました。その代わりコルセット地獄再びなんですけどもw
そして、折角だからダンスをば(。-`ω-)フフフ




