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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
4章 今日もお屋敷も学園もゴタゴタしていますが、働いて・学んで・そして何故か陰謀に巻き込まれつつ何とか奮闘致します。
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遅くなりましたm(__)m


台風の為に親戚に駆り出されてました。

「ふわー…」


 ポカーンと口を開けて見てしまう先にはとても頑丈そうな大きな城。

 王都の王城とはまた違って此方は丈夫で強固な石を積み上げた城で、街中より少し離れた岸壁の上に佇んで居る。

 街を見下ろした形になるのかな?

 何でも海岸沿いにある街なのでかなり昔から海賊達と戦って居る為、居城はちょっとやそっと位では傾かない様に強固に出来ているのだとか。


 予想はして居たけどこの世界、海賊居るんだねぇ。


「ようこそいらっしゃいました」


 そして、そんな頑丈な城には当然守る人が居て。


「ユウナレスカ様、ユリア様お久しぶりです。そして初めましての方々、私はここの領地を守って居る領主のバーネット・カモーリ・サザーランド伯爵です。バーネットと御呼びください、サザーランドは柄にも無いですし、何より呼びにくいですからね。どうか宜しくお願い致します」


「此度は世話になる」


「バーネット様お久しぶりです、お元気そうで何よりですわ」


 それぞれが挨拶をし、私もぎこちながらも挨拶を交わす。

 うう、まだ完璧にマスターして居ないんです、カーテシー。


 …目の前の領主様から『次点』と目で言われた気がする。


「次点だな」


「それ今言う!?」


 ニキ様にニヤリと笑って言われ、速攻苦情を言うと目の前からブ、プクククッと言う笑い声が聞こえて来る。


「失礼、レッティーナ嬢の事情は聞いております故気に為さらなくても宜しいですよ。寧ろこの短期間で良くぞ此処まで出来上がりましたな」


「だろ?」


「ええ、後は習慣付ければ自ずと完璧になるでしょうな」


「だよね~」


 え、なんですかこの気安い感じの会話。

 皆知り合い?


「バーネットは俺達が小さい頃よく一緒に遊んでくれたんだよ」


「そそ~年は左程離れて居ないからね~とは言ってもバーネットは成人してるんだけど」


「ん!?」


 年が左程離れて居ない?

 失礼ながらもバーネット様をマジマジと見詰める。

 正直毛むくじゃらと言っても過言では無い体毛に覆われた顔は正直言って年齢が解かり難い。だがその肌を見ると…


「もしかして十代から二十代とか?」


「レナ良く分かったな」


「すごーいレナちゃん、バーネット初対面の人は大抵三十代とか四十代とか言うのに~」


「落ち着いて見られるからな、バーネットは」


 驚いていると、ニキ様ケイン様そして最後、慰める様にレスカ様が話す。


「まぁ、子供の頃から良く言われるからなぁ…」


 ははは、と言ってガッカリしたのか肩を落とすバーネット様。

 うう、すいません。


「だから言ってるだろ?髭剃れって。それだけで印象変わるぞ?」


 レスカ様それあんまり言っちゃ駄目な奴なんじゃ…

 確かにバーネット様のむき出しにされて居る手とかも凄い毛だけども。


「はは、まぁそうなんだけど爺さんが五月蠅くてな。『先祖返りじゃから大事にせよ!』ってな」


 ん?先祖返り?


「ああ、私の先祖にドワーフが居たらしくてな、私はそのご先祖様にソックリなんだそうだ」



 …この世界ドワーフ居たんだ……。









 * * *








 ――滞在中この城の中でゆっくり寛いでくれ。


 そう言って去って行ったバーネット様は、何故かジーニアス兄さんを見て、それからレスカ様をみてからニキ様を見、ケイン様を見てからコリンさんを見て……

 最後にアイオロスさんを見てから何だか納得した様に頷き、決心をした様な顔をして室内に入って行った。


 もしかして髭剃るんじゃないだろうか。

 今バーネット様がチラ見した全員髭無いし。


「やっとですか」


 小さく呟いた声がした方を向くと、白髪交じりの年配の髪を結い上げたメイドさんが一人去って行った。

 もしかして主であるバーネット様の髭関係で苦労しているのかも知れない。









 使用人の一人に部屋を案内され、ユリア様の隣の部屋に通される。

 そしてユリア様の部屋の隣はユウナレスカ様…と思ったら、護衛達の部屋(詰所?)となって居た。最奥がユウナレスカ様の部屋となって居るらしい。

 国の第二王子だからと言う対応何だろうなと思う。何かあったら拙いだろうしね。


「よし」


 取り敢えず与えられた部屋を見渡す。

 気合が入ってしまうのはご愛敬。

 ここ暫く貴族の屋敷探訪、もといガルニエ家の屋敷を与えられたのは良いけどどう言った装飾品を置けば良いのか全く分からず、王都にあるケイン様のお屋敷は訪問させて貰ったけど、参考に為らなかった。

 だって、豪華すぎ…。

 ニキ様の屋敷はジーニアス兄さんから聞いて居たからご遠慮したけど(鎧に覆われた玄関とか廊下とか嫌過ぎるっ)、何千万するのか分からない豪華な絵画とか、階段の踊り場にある数メートル程の大きさの極楽浄土?天国?な有名画家に描かせた絵画とか、女性の天使像がどーんって庭の噴水に飾ってあるガゼボとか。

 参考に為りませんっ!

 規模が大き過ぎるっ!

 まぁ、ココも規模が…だから参考に為らないかも知れないけど。

 それでも少しは装飾とか分かれば良いなぁと、なけなしの美意識を総動員して部屋を見渡す。


 ベッド。

 豪華すぎて何が何だかわかりません。

 床。

 カーペット幾らするんだろ。

 壁。

 ココ、何だかお金の無駄使いな気がするんだ。

 ドア。

 …これ、もしかして物凄い高いんじゃ無かろうか。


 元庶民な私、メンタル持ちません。

 前世庶民、今世元借金地獄男爵三女令嬢で今はかなりマシなガルニエ家男爵令嬢になったけど、生粋の貧乏性持ちの私には分からない価値の数々。


 取り敢えず何も入って居ないだろうクローゼットを開けよう。

 そして手荷物を置かせて貰って落ち着こう、そうしよう。


「どうしましたのレナちゃん?」


 部屋に遊びに来たユリア様が来たのが分からない程、呆然とした私の姿が其処にあったらしい。


 カチンコチンに固まり、全て埋まるほどにぎゅうぎゅうに詰め込まれたドレス等を眺め、クローゼットの前で唖然として居た私の姿が其処にありましたとさ。








 * * *








「まぁ、それで呆然としてらしたの?」


「ええ、まぁ…男爵家とは言え産まれてからずっと庶民、下手するとそれ以下な生活して居りましたので」


 決して卑屈になって居るワケでは無い。

 多分。


 だって我が屋敷の私のクローゼットの中身は未だにスッカラカンですもん。

 豪華な装いなんてガルニエ家の男爵令嬢になってから日の浅い私には無理です。と言うか要りません。必要ありませんからね、普段着だって平民が着るようなワンピースとかだし。

 それだって以前よりはちょっとお高い品で尻込みしているんだから。


 ジーニアス兄さんやディラン兄さんとかは折角だからと買わせようとしてくるけど、「何処で着るの!?」と言って断って居る。

 今の所着る場所が無いんですよ。

 もしあったとしても先日王城で爵位授与の時に頂いたドレス一式があるのだから、何かあった時はソレで良いでしょ?って思うし。


 勿論季節ごとって言うのはこの際置いて置く。

 それにほんの少し前まで学園の食堂で働いて、学園の職員と同じ様に寮に住んで居たのだから贅沢は敵です。


 それなのにこの部屋は…仰天過ぎて何が何だかもう、ね。

 置かれている家具も凄過ぎて、ソファーに机に豪華なベッド、更にギッシリ詰まれたドレス諸々。


 しかも予想通り、このドレスは滞在するお客様な『女性用』に置いてあるって。

 何だかもう貴族ってわけわかんなくて凄過ぎる。




「そうねぇ、慣れて居ないレナちゃんには大変かも知れないけれど、追々慣れて行かないと大変ですわ」


 はははは、そうですね。


 …慣れたく無いよう。


 何でも貿易関係のお仕事をしちゃっているザザーランド家の売り出し品、更にこの港町カモーリの特産品の一つとして装飾品等を扱って居る商人の宣伝を兼ね、このクローゼットに詰め込まれているのだとか。


 流石商人逞しい。

 ちなみに気に入ったらご購入しても持って行っても良いという事だそうで。それぐらいの財力はあると言うザザーランド家の御厚意の一種だとか。


 その分恩が…と言うタダより怖いモノが発生するから、我がガルニエ家の場合は気に入ったのは購入した方が宜しいらしい。

 これ、ユリア様談。

 ナニソレ、商人も怖いけど貴族も怖い。


 パッとユリア様が見た所クローゼットの中は左程高価な品は置かれて居ないので、サザーランド家も考慮してくれたようです。「これなら恩云々って言う程ではありませんわ」だとか。ちなみにユリア様の部屋のクローゼットは…いや、怖いので良いです。きっと高価過ぎてわけ分かんない品とかありそうだ。


「レナちゃんは新規のガルニエ家の令嬢ですもの、今後こう言った付き合いもあると思いますわ」


 うへーーーーーっ

 出来れば避けたい、今直ぐにもっ!


「そうは行きませんですわ。さ、私が選んで差し上げますからレナちゃんも着替えましょう」


「え」


「え、ではありませんわ。この後歓迎会がありましてよ?令嬢としてきちんとした装いをせねばいけませんわ」


「え」


「何色に致しましょう、悩みますわ。レナちゃんは栗色の髪と翠の瞳ですから、そうですわね…瞳と同じ翠…いえ、違うわ。迷うわ。オフホワイトも良いですわね」


「え」


「さぁさ其方にいらっしゃるメイドさん達、手伝って下さらない?私の親友を綺麗にして頂きたいの」


「「「はい!」」」


 何時の間にか部屋の中に入って居た数名のメイドさんに取り押さえられ……





「ひぇええええええっ」





 ニッコリ微笑む数名のメイドさんが抱えているブツを見定め。


 …コルセット地獄再来の悪夢を見た。


 

カーテシー私は足がプルプルしてしまいます。

(。-∀-)

貴族でなくて良かった(笑)

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