表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
4章 今日もお屋敷も学園もゴタゴタしていますが、働いて・学んで・そして何故か陰謀に巻き込まれつつ何とか奮闘致します。
53/110

46

 助かった!


 休憩が終わり、中継地点を立つ時に兄が確りとガード(・・・)をして私の隣である左側に座り込み、右側にはコリンさんが座った。


「なんかすいません、僕が隣で」


 と、頻りに恐縮している(主に睨んでいるニキ様と残念そうにしているケイン様に対して)コリンさんには悪いけど正直助かりました。

 両隣が乙女ゲームの攻略対象者達なんて居心地が悪いんだよっ!

 美麗過ぎて居心地悪すぎるんだよっ!

 そりゃあジーニアス兄さんも乙女ゲームの攻略対象者だけど、でも血の繋がった実の兄と言うのは安心出来るモノなのです。近衛兵って言う出世頭で優しくて、兄弟の中で一番イケメンさんでおまけに強い。

 うん、自慢の兄だね。


 デュシー姉さんなんて「血が繋がって無ければティナちゃんのパパになって貰いたいのに~」なんて、本気かどうか分からない発言してるけども。


 そう言えばデュシー姉さんに最近我が家の通いに為りつつある商人さんが頻りに会いに来ているけども、ディラン兄さんに確認を取ったら、


「デュシーを助けた例の商人だね」


 なんて笑っていた。


 やっぱりね。

 だってわざわざ何度もガルニエ家に足を運ぶ度、御土産とか軽く摘まめる物とか消化の良い物とか、栄養価の高い物とかを持って来るからおかしいと思って居たんだよね。

 産後に身体を酷使して逃げ出し、王都に来てからやっと養生が出来始めているけど肥立ちのあまり良くない姉さんを心配しているのが良く分かる御土産の数々だものね。


「最近は使用人達が色々手配してくれて、何だか二人共良い雰囲気になっているみたいだよ」


 成程、良い関係なのか。

 その商人さんが良い人ならばこのまま姉さんと鞘に収まって欲しいな。

 ロドリゲス家の手出しが無ければだけど。


「そのロドリゲス家だけど、最近は大人しいね」


 何でも息子のゲシュウ・ロドリゲスが諸々やり過ぎて、この国の騎士団長の実家であるモイスト家が敵対関係になってしまい立場が危うくなっているらしい。

 更には王家の第二王子であるユウナレスカ様の心情も宜しく無いと貴族の間でもっぱらの噂となり、第一王子で王太子のガーフィールド様も顔を顰める様になったと言う噂が流れて居て…。

 うん、他にも諸々やらかして居るらしいですロドリゲス家。いや、ほぼ跡取り息子のゲシュウ・ロドリゲスがらしいけど。


 ちなみにニキ様の実家であるモイスト家と敵対関係になった理由は表向きには為って居ない事になって居るらしい。つまり表では敵対していませんよ~って事になって居て、裏では敵対って事なのだとか。

 その証拠にモイスト家から経済制裁を喰らっていて、現在ロドリゲス領地は貧困状態と言う窮地に陥って居るのだとか。

 何を遣らかしたのやら…


 …モニカ様が裏で大笑い、いや高笑いをして居る絵が簡単に浮かんだので大元の理由はモニカ様関係な気がする。しかも根が深そうな。相変わらずコワイ女帝様だ。くれぐれも怒らせない様にしよう。








「レナ、さっきは有難うな」


 ジーニアス兄さんに急に言われたので一瞬何の事だか分からなかったが、先程作ったそら豆のスープの事だと思い出す。


「ううん、私も温かいスープが飲みたかったし」


 最近九月に入ってから夏が過ぎて秋っぽくなり、涼しい風が吹く様になって来た。その為にほんの少し冷えた身体を温めて欲しくて作った。勿論兄さんの好物だからって言うのもあるのだけど。


「そうか」


 ニッコリ満面の笑みで微笑むジーニアス兄さん。

 あ~…この顔、スチルで見たのとソックリ。

 近衛兵の軽装備でこの満面の笑顔。実はジーニアス兄さんは乙女ゲームでかなり好感度が上がらないと『近衛兵装備』のスチルが発生しない。一応レスカ様の警備というので学園に居ると近衛兵装備は見られるのだけど、好感度がかなり高く無いと"単身の笑顔なスチル"そのものは発生しないし出て来ないんだよね。


 ヒロインの準メリー、兄さんの"単身の笑顔な近衛兵装備スチル"発生今後するかな?仕事中は兄さん笑顔は無いみたいだし。

 兄さんの好感度はレスカ様の側近の為か、話に聞く兄さんの状態からだとマイナスからのスタートみたいだけど。

 まだ学園が復興してなくて二学期が始まらないから近衛兵装備は見て居ないとは思うけど、今後兄さんと仲良くなるのかな。

 想像すると微妙な気分になる。


「レナ見えて見たぞ」


「え」


 窓の外を見ている兄さんの肩越しに見える…


「わぁ、海!」


 おお~白い雲に青い空、そして見渡す限りの青い海!


「まぁ、宝石みたい」


「美しいな、だがユリアの美しさには足元にも及ばないな」


 何だか前の方で馬鹿が付いてしまいそうなカップルの声が聞えて来ましたがそれはスルーで。そして微妙な空気に陥る護衛の人達の沈黙もスルーで。きっと内面では「リア充め」とか思って居そうだ。約一名一瞬だけ目が血走って居たし。その後即冷静になって居たのはまぁ…頑張れ。薄っすらと目尻が光った気がするけど頑張れ。超頑張れ。


「あ~あ、どうせならレナちゃんの隣で見たかったな~僕」


「全くだ」


 不平不満を言う攻略対象者達二名もスルーで。


「わぁ!僕初めて見ました海、先輩綺麗ですね!」


 何となくココにパーシャさんが居なくて良かった。

 今のコリンさんの発言、台詞だけ聞くと兄さんが綺麗って言って居る様に思う。

 実際は海が綺麗って言って居るのだけど。

 ここにパーシャさんが居たら変な妄想して鼻血を噴出しそうだよって思ってしまう辺り、私も大概毒されてるなぁ…。











 * * *











 港町カモーリへの門は、ユウナレスカ様が門番へ直接書状を渡したら即中へと入る許可が出た。



 私達は港町の外にある蒸気機関車の駅で待たせてある馬車に乗り換え、「比較的快適な旅だったな」「そうだね~」とか相槌を打って居る内に港町カモーリの入口の門前に馬車はついた。ちなみに乗り込んだ馬車は貴族用に豪華な馬車となって居るが、港町側が用意した馬車の為に王家の紋章が記載されて居ない。その為余計な干渉があるかも知れないと考慮し、ユウナレスカ様が直接門番に顔を見せる様にして乗り出し、書状を渡したのだが…




「私のが先だ!」


 とか言う声が並んで居る列の後方から聞えて来た。

 確かに庶民用の門でも貴族専用の門でも行列が出来て居て、その最中入って行くのは申し訳無いなぁと思っては居たのだけど。


 …と言うかこの声…。


 はぁぁぁ…思わず溜息が出る。

 出来ればもうずっと、生きている間に二度と思い出したく無かったなぁ。


「顔を出すな」


「は、はい」


「(レナちゃん頭を低くして)」


 此方を向いて話すレスカ様と小声で話すケイン様の声に慌てて頭を低くして息を潜めて居ると、幾つかの人の声が聞えて来る。


「これはこれは…噂のロドリゲス家のゲシュウ殿でしたかな」


 本当は上位貴族であり、尚且つ王族と言う最上位の貴族であるレスカ様からは声を掛けるのは駄目だった筈。でも今回は城外であり尚且つ今はプライベートと言う事で少しだけ気軽な声を装い、後半威圧と言うか怒気を含ませた声が聞える。


 ちょっと魔力が溢れていますよ、レスカ様。

 毛嫌いしているのですねレスカ様。私もその人苦手です、と言うか嫌いです。

 折角この世界初めての港町と言う事で楽しみにしていたのに。


「あ、ゆ、ユウナレスカ様」


 どもって居ますね。

 この威圧と言うか怒気を受けて居れば仕方ないかな。

 出来たら様子を見たいのだけど、顔を出すのはちょ~と拙いよね。

 チラリと兄さんの方を見たら、“顔を出すな”って感じで睨まれたし。


「失礼致しました、ユウナレスカ様が此方に窺って居るとは思わなかったので」


「ほう、王都の情報に精通して居ればその様な事は無かったのかも知れないな」


 うわ、デッカイ嫌味来た。

 今回蒸気機関車の代わりの馬車の試運転って言うのは王都の貴族間では広がっていた様だし、周辺地域の貴族の間でもソコソコの噂になって居た筈。


 …何時の間にか傍に来ていたアイオロスさん情報だけども。


「(お嬢様コレを)」


 アイオロスさんが用意してくれた黒くて薄い布を頭から被り、気分は黒子。

 うん、黒子なモブです。

 元々乙女ゲームのモブだけども。

 更にモブ度アップです。

 一寸でも隠れる為だけなんだろうけど、妙な気分になります。


「ええ、多少なりとも精通して居ると自負しておりますよ。何せ私の『妾』の娘が此方に伺うと聞いておりますので」


 げげっ

 それって私のこと!?

 うわーうわー兄さんから殺気が溢れ出てるーっ!手、手が剣の柄掴んでいるしー!

 ニキ様が能面状態になってるー!うわ、懐から短剣出してるしぃ!

 ケイン様笑顔、笑顔が物凄く引き攣って居て怖い!って、その手に持ってる小瓶毒々しい色してるんですけど、もしかして毒薬!?

 皆落ち着いてー!


「ロドリゲス殿」


 それまで大人しく黙っていたユリア様が何を思ったのか馬車の中スックと立ち、ゲシュウに自身の姿を見える様にそして私の姿を見えない様、隠す様にして窓辺に移動する。


「これはこれはブルックストン家の」


 おお~いゲシュウ、何となく鼻に付く感じで言ってるけどイイノカソレデ。

 少なくとも相手は侯爵家ですよ、ゲシュウよりも爵位は上ですよ。

 それとも元々こう言う言い方をする人なのかね。良く知らないけど。


「妾とは私の事ですか?」


 ザワっとする室内。

 そりゃそうだ、何せ侯爵令嬢のしかもユウナレスカ様の婚約者を指して妾って事は無い。

 ロドリゲス家の爵位も伯爵家だし、誰がどう見ても侯爵令嬢を妾に等ありえない。


 それ以前にレスカ様が怒ってやらかしてしまいそうだけどね。


「何をおっしゃいますか、ブルックストン家のお嬢様はご冗談が上手い」


「ならば"貴方の妾"等おりませんわ」


 毒を含んだツンとした言い方、珍しいなぁ。

 食堂で準メリーがやらかした当初以来こう言った姿見た事無かったんだけど、そう言えばゲーム中時折ツンツンした言い方をする事もあったんだよね。


「ほう、私の『妾』が居らんと言うのですか」


「ええ、おりません。少なくとも私が耳にしている「アレイ家の令嬢」ならば見掛けて居りませんわ」


 確かにアレイ家の令嬢はここには居ない。

 元アレイ家の令嬢ならば居るけど、元だしね。

 今はガルニエ家の令嬢ですし。


「おかしいですね、"確かにそう聞いた"のですが」


「それは何方からですの?ちゃんとお聞きになりまして?空耳と言う可能性もありましてよ。もしくは…『ご自分の立場がお分かりになって居ない』とでもおっしゃりますのかしら」


 お、おおおおお?

 威圧ぅううっ!?

 もしかしてユリア様相当ご立腹状態?怒っていらっしゃる!?

 ユリア様の背後に隠れる様にして居る私からでもわかる、この魔力の威圧は明らかに機嫌を損ねたと言うよりは怒気其の物を孕んだソレで。

 馬車に居るから外にいるゲシュウは見えなかっただろうけど、確りと支える様にユウナレスカ様の手がユリア様の手を握り締めて居る。

 そのユリア様の手がプルプルと震えていて…これ、ユリア様無理してるんじゃ無かろうか。

 私の為、だよね。


「う、…御無礼、し、失礼致しました」


 そう言ってそさっさと踵を返してゲシュウ・ロドリゲスはその場を去って行ったのだった。











 * * *











「無理はするなユリア」


「うふふ、でも無理をした甲斐がありましたわ。いい気味でしたもの」


 今だ顔色が青白く、馬車の中でカタカタ微かに震えているユリア様の手を労わる様にやんわりと握って居るレスカ様。


「ユリア様…」


「何も言わないでレナちゃん」


「でも」


「良いのよ、私の親友を脅かそうとしているんですもの。ならば牽制するのは当たり前ですわ、何せ私の大事な親友ですもの」


 うう、そう言って頂けると親友冥利に尽きます。

 このお礼は何時か必ず!とか思って居たら…


「マウントを取るか、先制取られた」


「うう~ユリア様に先越された~」


 マウントってゴリラか。

 それより先越されるって。

 何だか残念な事を言い出して居る攻略対象者達二名を呆れた目線で見詰めると、


「ニキ様、ケイン様。お二人共私を越えないと大事なレナちゃんはお渡し出来ませんよ?」


 ユリア様、それは一寸どうなのでしょうか。

 そしてニキ様とケイン様の二名、力強く「僕頑張る!」とか「レスカ婚約者の手綱確りと絞めとけよ」とか。


 何だかなぁ。

 でもそうこう話して居る内にユリア様も元の調子を取り戻して来た様で、ニコニコと微笑んでいる。そして手の震えも少し治まって来て。

 その様子を見てレスカ様が明らかにホッとして居る。その様子を見て更にニキ様とケイン様も安堵した様にして居る辺り、うん、何というか良いなこの関係。




 …ただ苛立った雰囲気は約一名から噴出しているけども。


「ゲシュウめ、今に見てろ」


 ジーニアス兄さん、取り敢えず落ち着け。


「あの野郎、デュシーの事一言も話さなかったな。その娘の事も」


 ブツブツ文句を言って居るけど、その顔面に浮き出ている怒りマーク怖いから消して欲しい。後輩のコリンさんがそんな兄さんの様子にオロオロしていんだから落ち着け、ドウドウ。


領民G「ざ・むーんらいといっざまんなんとかまうんてんひ~がしぃや~まぁ~」

領民A「なんじゃそれは?」

領民G「おおA。これはの、オルブロンちゃんがレッティーナちゃんと歌っていた歌じゃ」

領民A「ああ、あの謎歌じゃの」

領民G「そうじゃ。何となく思い出しての~」

領民A「レッティーナちゃんも不思議な子じゃの、聞いた事も無い歌をよう歌って居ったし」

領民G「お陰で儂ら退屈せんかったがの」

領民A「そうじゃな、所でこんな歌を思い出したがの」

領民G「ほう、どんなのじゃ」

領民A「『は~げ~はハーゲハーゲ、どんとは~げ~ろ~』」

領民G「それ、儂呪いの歌じゃと思っとった…」

領民A「…そうかもしれんの」



領主「今日は拝まれないな…」

長男「(呪いの歌っぽいからな…)」


◆◇◆

歌のハゲの部分は替え歌。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ