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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
4章 今日もお屋敷も学園もゴタゴタしていますが、働いて・学んで・そして何故か陰謀に巻き込まれつつ何とか奮闘致します。
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「お疲れ様ですお嬢様」


 車内の寒波にグッタリ消耗仕切っていた時、やっと休憩と言う事で馬車の外へ出てさっさと寒冷地帯から逃れようとアイオロスさんが作ってくれた休憩場、レジャーシートへ座った途端アイオロスさんから差し入れのおやつを頂く。


「わ、おいし~い」


 一口サイズのクッキーを口にほおると、甘い蜂蜜の香りと味が広がる。


「料理長に焼いて頂きました」


 アイオロスさん曰く「気苦労するでしょうから」との事。

 その通りです、アイオロスさん。出来たら気苦労を掛けて居る相手に言ってやって下さい。

 特に兄さんに。

 そしてテキパキとお茶の支度を始める。

 鞄からポットを取り出し、水袋の水を入れた途端一瞬の内に湯が出来てしまい驚いていると、


「アイオロス、腕が上がりましたわね」


「は、有り難きお言葉」


 声がした方を向くと優雅な笑みを湛えたユリア様。


「ユリア様!」


「はい?」


 つい大声を出すとコテンと小首を傾げて不思議そうに此方を見るユリア様。

 あかん、特に背後があかん。

 あの第二王子、鼻抑えて屈んでるけど大丈夫だろうか。

 鼻血出て無い?

 多分ユリア様がコテンと小首を傾げたからだろうな。

 そしてやっぱりパーシャさんの元主なだけはあるなって、何だかとても遠い目で見つめてしまった。







「お願いです、この後馬車で隣に座って下さいっ」


 懇願と言って良い。

 もうあの寒冷地には戻りたくは無いんだよ。

 季節は夏の終わりに差し掛かって居るのだけど、真冬だよあの部分だけ!

 涙目で懇願していると、ユリア様が「あらあら」と「困りましたわね」と呟き苦笑する。

 その最中にスッと差し出される紅茶。

 アイオロスさんが淹れてくれた物だ。

 ほっこりする香り。先程の蜂蜜をほんの少し入れてくれたらしく、ほんわかと癒される。


「うう、アイオロスさん有難う」


「いえ。所でお嬢様、私に「さん」は不要です」


「うう~…苦手なんですけど」


「不要です」


「うう」


「お嬢様」


「…う~」


「ではアスで通しましょ、レナちゃん」


 ギョットした顔付でユリア様の方を振り返ったアイオロスさんが、そのまま硬直する。

 理由、背後です。

 れーすーかーさーまー。

 確り鼻血等無かった可の様に繕って居るレスカ様が今度は鋭い目付きでアイオロスさんを射殺して居る。いや、まだ死んでいないけども。


 何だろうね、この攻略対象者達。

 異様な嫉妬のオンパレード。

 うわーぃ凄まじいよっ!


「もう、レスカったら嫉妬しないの」


 そしてモノともしない強者なユリア様。

 オカシイ、しなやかなで優雅な態度のユリア様からは美麗な気配しかないのに、言われた途端氷解するストーカーレスカ様。ほんっと弱いなユリア様に。


「お、おお」


 何故そこでどもる。

 大方可愛いとかナントカ内心で悶えてるな。表情見ればわかるぞ、口角がわずかに上がっているし。この私には隠し通せないからね。


 コッチにいらっしゃいとユリア様に微笑まれて言われ、イソイソとちゃっかりユリア様の横に座るレスカ様。

 はい、あっという間に女子会終了のお知らせです。

 まぁアイオロスさんが居たのだけど、執事ですからね。

 給仕してくれる執事さんは別物なのです。


「アスって言うのはね、アイオロスの渾名なの。私が小さい頃にアイオロスの事を女の子だと勘違いしちゃってね」


 確かにアイオロスさんの顔は結構綺麗だと思う。整っているし、攻略対象者達と比べると少し見劣りする気がするけど、それでもかなりのモノじゃないかな。


 それにしても小さい頃ですか、今14歳だから結構小さい頃の事じゃないかな。


「レスカが悪戯してしまって、アイオロスに…ふふっ」


 ゴホンゴホンッとレスカ様とアイオロスさんの二名が揃って咳き込んでいる。

 それって女装でもさせたんですかね?


「あら、当たりですわ。良くお分かりになりましたわねレナちゃん」


 更にうふふと上機嫌な顔で笑うユリア様。

 えーとユリア様、よこ、横。

 レスカ様がユリア様の横顔みて頬染めてるから。

 っていうか何だこのレスカ様は。

 なんだろ、気分的にやさぐれるんだけど。

 ふとアイオロスさんの方を見ると肩を竦めて居る。

 つまり毎度の事なのですね、べた惚れ凄過ぎ。

 それにしても女装か。

 女顔だったのかな?じーと見詰めるとアイオロスさんの顔が困った顔付になり、指先がクイッと一瞬だけ動いてとある場所に居る二人組+アイオロスさんの主であり私の兄の状態を私に教える。


 あーうん、すいません。

 其方側に居る約三名、恐ろしい形相してますね。

 って言うかジーニアス兄さん相手は我が家の執事や、落ち着け。

 どうどう。

 そしてケイン様ニキ様勘違いするな。

 ユリア様の話からアイオロスさんが昔女顔だったと聞いたので確認しただけです。


「ああ、レスカの女装話?」


 ん?

 ごふってレスカ様?


「あーあれな、アイオロスにワンピース着せたらメイド達に募られて、何故かレスカまでメイド達に着せられたって奴だろ?」


 ぶ。

 レスカ様、落ちが付いたか。

 そして黒歴史になったと。自業自得デスネ。

 レスカ様が「言うな!」って言って何だか三人で文句の言い合いが始まったけど、こう言う所は年相応だなぁ。

 そしてニキ様ケイン様の御二人方、ちゃっかり私の左右に座ってるんですけど。

 何時の間に?


「うふふ、あの時は驚いたのですわ。パーシャ達ったら喜々としてレスカに着せるのですもの」


 そしてやっぱりと言うか、犯人の一味に入って居るのかパーシャさん。

 恐ろしいメイドがウチに来てるもんだよね…。


 レスカ様や、もしかして押し付けて無い?


「その時に私がアイオロスに『アス』と名付けたのですわ。ね、アス」


「はい、ユリアお嬢様」


 サササッと来たニキ様ケイン様にレスカ様のお茶の支度をするアイオロスさん。

 流石や。

 そしてレスカ様のみ珈琲。

 あれ?レスカ様って珈琲が好みなの?


「外だと違うが、自室に居る時とユリアの所に遊びに行った時とかはそうだな」


 つまりアイオロスさんは何度か遊びに来ていたレスカ様の好みを覚えて居たと。

 流石だなぁ。


「そう言えばレスカは学園だと紅茶が多いよね~」


 ケイン様がアイオロスさんが用意したお茶菓子をモグモグ摘まみながら話すと、少し離れた所で水を飲んで休憩していた馬達の嘶きが聞こえて来る。

 長閑だけど、これって周囲を警護している人達のお陰なんだよね。

 兄さんもそうだけど、近衛兵見習いのコリンさんに数名の王国騎士団の軽装を纏った人達が周囲をキッチリと警戒しているからこうやって呑気に居られるわけで。


 お疲れ様です、お仕事有難う御座います。

 心の中で感謝カンシャ。


「うーん馬車を走らせる間はココを休憩場所の候補にしとこうか~ね、レスカ」


「そうだな」


 お茶を飲み終わったらケイン様とレスカ様は護衛を引き連れて周辺地域が記載されている地図を広げ、派遣された職員達と話し込んで居る。


 今回レスカ様は第二王子と言う王籍に座して居る者の御役目として、また学園が休校中なのを利用して視察も兼ねて訪れて居るらしい。

 勿論それは『表向き』の理由だ。

 裏の理由はスタンピードの影響で高騰した消耗品や食材の料金等の調査、及び不正を働いているかも知れない商人の調査も兼ねて居るらしい。最も商人達には牽制程度にするらしいけど。

 今回ユリア様が居るし、踏み込む気は無いんだろう。


 ケイン様はレスカ様の補佐であり、ニキ様は勿論レスカ様やケイン様達の護衛に当たる。ただカムフラージュとしてご学友や友人も連れて来て、共に社会見学をすると言う理由も『表向き』にある。


「レスカ達行っちゃいましたわね」


 最後にユリア様。

 父親がブルックストン家の侯爵で、国王の相談役及び外交官の様なモノを担っており、軽快にあっちの国に居たり向こうの国に居たりと動いて居る。そして彼方此方の国に親戚やら親友やら何やら、やたらと大勢居るらしい。

 あれですか、滅茶苦茶コミュニケーション能力が高いお父様なんだろうな。

 その分政敵も多いのかも知れないけど、表向きの人柄が物凄く良いらしく何度か政敵の人達と会って話してしまうと何時の間にか酒友になって居る事が多いらしい。

 ユリア様曰く「そう言うスキルでも持って居るのかしら?」何て言って居たけど、レスカ様曰く「あれは個性」だそうだ。私はまだお会いして居ないので、何時か会えるかな?一度お会いしてみたいものです。


 そんな親が居るご令嬢、更に国の侯爵令嬢。外交的な意味合いでも他国の者が手を出し難いらしく、今回アレクサ様が同行して居る為に『牽制』の意味合いがあるらしい。

 この場合の牽制はアレクサ様の刺客相手に為る。


 …最もどう見てもレスカ様がいちゃいちゃしたい様にしか見えないけどね。

 後はあれだよね、自分働いていますーってアピールにしか見えないんだけど。


「ですねー」


 ニキ様とケイン様の表はにこやかに、裏ではけん制し合う状態が無くなり+ジーニアス兄さんの無言の威圧も消えてやっと肺に新鮮な空気を送れる。

 ああ、美味しい空気だな。

 長閑だし、レーンの横には私達の姿を隠す様に林が広がって居る。

 唯一言うならこの場所では新鮮な水が補給できないので、馬車に積まれた水を使って居るのだけど、次の休憩場所では蒸気機関車の中継地点で職員も詰めて居る場所な為に井戸もある為、其処で水の補給と昼食を取る予定だ。


「お嬢様、昼食のスープはお嬢様とジーニアス様はそら豆のスープで宜しいのでしたね」


「ええ、お手伝いお願いね」


 ジーニアス兄さんは意外な事に豆類が好きなんだけど、特にそら豆のスープがお気に入りで実家でも良く飲んでいた。

 だから兄弟の内で一番仲が良かった兄さんが食べたり出来る用に、幼い時に作った畑ではそら豆を植えて居た。最初の内は中々育たなくて悲しかったけど、領地に住む領民のジジ達に育て方のコツを聞いて豊作になった記憶は未だにちょびっと誇らしく思って居る。

 その時の兄さん、私が育てた畑を見て「すげぇ!」って大喜びしていたんだよね。


 …あ。

 思えばその時からジーニアス兄さんのシスコン振りが激上がりに為った気がする。

 そして今の屋敷の一角にも作った畑にそら豆を植えたんだけど、始終ニコニコしっ放しになって居たっけ。

 ディラン兄さんなんて「いいな~ジーニアスは羨ましい~」なんてポソっと言うから、ディラン兄さんには「生姜を植えてあげるから」って言って機嫌を取って置いた。

 生姜好きなんだよねディラン兄さん。

 生姜湯とかクッキーに入って居ると微かに喜んでいるし。


「頼むね。でも植える時言って、手伝うから」


 なんてニコニコ言っちゃう辺り、うちの二人の兄達は意外と可愛いと思います。

 約一名『鬼神』なんて言われちゃってるけど。


「うふふふ、レナちゃんはニアス様が大好きですのね」


「うん。自覚してる」


 一緒に仕事に来てるなら、せめて一回位は兄さんの好物を出してあげたいしね。



結局アスになったのだろうか(^_^;)


9/26 修正

様に ×

用に 〇(一部文章付けたし&修正)

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