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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
1章 今日も学園はゴタゴタしていますが、私は厨房の仕入れ作業に勤しみつつ鑑賞し、本日も萎えています。
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 学園のおば様達。日々情報収集に勤しむ傍ら、厨房の仕事しているのでは?等と言っても良いぐらいに学園内の事柄が筒抜け状態になって居る。

 そんな厨房では、本日も聞き耳を何処かで立てて暗躍しているかも知れない、何て思わせる其処らのスパイよりも情報通なおば様方がキャアキャアと噂話に花を咲かせている。

 最近のテーマほぼ「ユウナレスカ様とユリア様」の話が一番だったけど、準メリーが帰って来てから一気に様変りして来た。


 曰く、日々準メリーがイライラしている…様です。

 準メリーが不在の一ヵ月と10日。

 周囲の環境やら取り巻き達の立場やら、学園の人間関係やら何やら微妙に変化し、尚且つ準メリーの境遇が急激に悪化。思った様に立ち回れず苛立ちを覚えているらしく、今日は等々授業の合間の短い休み時間に影に隠れて小競り合いを起こしたらしい。


 この学園の女子学生の間では、準メリーの派閥とユリア嬢様の派閥の二通りがつい最近迄最大派閥だったらしい。だが準メリーが一ヵ月と10日の不在中、纏める相手が居ないせいか派閥の規模が縮小されてしまった。その為、復帰した準メリーが以前の様に振る舞おうとしても派閥の人数が少ない為に上手く行かず、更に縮小された事によって以前は比較的小さかったとある御令嬢の派閥が急激に幅を利かせ始めて居て、とうとう小競り合いが起こったのだとか。


 うわ~学園カーストって何それ怖い。

 前世でもあった気がするけど、流石に覚えて無いし所詮一般庶民だったから大した事は無かった気がする。っておば様達凄いな、その情報一体何処から仕入れて来るのやら。


「あら簡単よ~ケインちゃんが教えてくれたのよ」


 ぶほ、ケイン・ノスタルジア・ジアス様か!

 このケイン様、実は学園の裏庭にてこっそりハーブ園を育てている。

『魔法大臣』の家系らしく魔法が得意なのだが、このケイン様は特に薬草関係の魔法学がお得意らしく、自身で育てた薬草やハーブを掛け合わせ、時折妙な効果を持つ薬品を開発している。

 確かゲームでは回復力増強の薬草を新種開発しようとして居た筈だけど、先日偶々仕事が終わって帰る途中におば様が「ケインちゃんにこれ持ってって~」と頼まれた品を渡しに行ったら、


「ふっふっふ~コレで食堂のハーブが増える!美味しいモノが食べられる!」


 等と言って料理に使うバジルをせっせと摘んでた。

 …バジル育ててたんだねぃ。

 と言うか、綺麗な可愛らしい顔して食いしん坊キャラか。

 予想外だなぁ。

 思わず声を掛けるかどうか悩んで居たら、「ああ、先日の子だね」とバレて…


 とくとくと得意げに学園の食堂のハーブの幾つかを今育てているんだと、何故か鼻高々に説明された。

 …何故だ。何故そんなに嬉しそうなんだ。

 他に話し相手が居ないのか。

 コアなネタ満載で時折分からないこともあるけど、根気よく聞いてから要領を纏めて質問をしていったら何故か気に入られたらしい。凄く嬉しそうにしていた。うん、これ多分他の人は余り話聞いてあげて無いんじゃないかなって思っていたら、


「あはは、やっぱカフェテリア関係者しかこの話って最後迄聞いてくれないんだよね。他は皆途中で逃げちゃうし。聞いてくれて有り難うね」


 って微笑んでくれた。

 可愛らしい美少年の笑みは素晴らしい。

 と言うか、おば様方話相手してるのか。

 流石並みじゃない。もしかしたら話相手をするのも情報を得るためかも。素晴らしいスパイ技量。普段仕事方面で尊敬し見習いたいが、スパイに為りたいわけじゃないので情報通になるのだけは勘弁願おう。

 最後には「これ、可愛いから女の子にあげる。部屋に飾ると良いよ」とラベンダーまで鉢で貰ってしまった。

 その後、


「またここに来てよ!もう少しで苺が生りそうなんだ。僕が育てたんだ、きっと美味しいよ!」


 等とご招待までされてしまった。

 果物なんて領地に居た頃は口にした事が無かった。

 是非ご相伴に預かろうと思う。


 そしてケイン様、意外とお喋りだった。

 更に先日、早朝に少し散歩してから職場に行こうと前を通ったら、職場のおば様達数人と仲良くハーブを摘み摘みして実に楽しそうに話し込んでいた。

 成程、こうやって情報を仕入れているんだねぃ。

 何人かこの学園では寮で生活している人が居るから、恐らくケイン様も寮暮らしなんだろうな。


 それにしてもゲームではヒロインが帰宅途中で気分が乗ったからと少し遠回りし、学園を散策してから帰ろうとしていると笑顔でケイン様が、


「見掛けたから」


 と走り寄って来て、ヒロインにラベンダーを鉢で渡しているとても素敵なイベントとスチルがあった。

 学園の裏庭で育てて居たんだねぇ。


 …ん?

 ヒロインにラベンダーを鉢で渡している?

 いやいや、まさかね。




 でも、と偶々聞いてしまったおば様方の言葉を思い出す。



「それにしても準メリーちゃん帰って来てからと言うもの、言動や言葉がおかしいらしいのよね、何でも「ラベンダーが貰えない」って言ってたって」


 おば様それって…。

 まさか、ね。








 * * *








 荒れて居ると思われる準メリーことアメリー・メメントリー準男爵令嬢の事を頭の隅で考えつつ、業者さんの納品の品の数と中身のチェックをし、かなりの数の箱を台車に乗せ終える。

 その間に思い出したことを頭の中で反芻する。


 前世での乙女ゲーム、タイトルは覚えていないけどこのゲームではヒロインは…


 ゲームが開始するのは入学式から。

 其処から準男爵令嬢であり、卒業したら庶民になる。その前に準男爵当主である父親に言われるのだ。


「準男爵だから婚約者を見繕うには無理がある。だから自分で結婚相手を見付けろ」


 …と。

 つまり自由恋愛だから好きな相手を庶民からでも貴族からでも探して来いって事なんだけど、このゲームそうは問屋が卸さない。まずこの学園、一般庶民が入学する事も出来るけど、その場合は魔力が無くては入れなかった筈。


 だが現実はゲームとは違って居た。


 食堂で務めている限りでは詳しくは分からないのだけど、庶民の子で普通に『魔力が無い』人達もかなり居る。不思議に思っておば様方にそれとなく聞いてみたら、


「昔は魔力が無かったら入れなかったみたいだけど、用務員のフォーカス様が大抗議してね~。何でも突然魔力が発動する子も居るのだから身分に拘らず入学するべきだって」


 フォーカス様、学生になってからある日突如魔力が使える事が発覚。制御が出来なくて、しかも魔法を学びたくても入って居た学校の学科が違っていて大変苦労したらしい。その為に突如魔力が発覚した学生は現在、希望すれば学科を途中で変える事も出来るようになったらしい。


 そのお陰で現在マンモス学校と化していて、更に隣国とか他国の魔力が無い御貴族の子息やご令嬢が留学を希望し、わざわざ遠くからでも学びに来るケースがあるらしい。しかもそのせいかどうかは分からないが、途中で魔力に目覚める他国のお貴族様が何件もあり、庶民も微力ながらも魔法が使えるようになり、ここ数年我が国は魔法国として名を馳せ始めている…らしい。


 って、これゲームと全く違う展開。

 ゲームだと比較的小国として存在している国って感じだった。

 しかも可もなく不可も無くって感じの、極々普通の国。どうりで兄であるジーニアスと二人逃げて来た時、スチルやらゲーム画面での王都の雰囲気が違うって思ったんだよね。てっきり貧乏暮らしが長かったから周囲が絢爛豪華に見え、ゲームと現実とは感じが違く思うんだろうって思って居たんだけどね。



 さて、ゲーム開始場面の話に戻ろう。

 まず真っ先に玄関でアレス様に遭うんだよね。

 これは絶対。後から思ったのだけど、運営はよっぽどアレス様押しをしたかったのだろうか?あんな病んでいる彼なのに…。それともこの時は病んでないって言うアピールだったのかなぁ。


 ヒロインが入学式のパンフレットを貰う際にアレス様と同じパンフレットを手に取ってしまって、お互いに譲り合う。その時にお互いに名乗り合って挨拶をする、だったかなぁ。割りとベタな展開だよね。

 次にヒロインの横をニキ様が素通りする。

 その後ヒロインが玄関に入って室内履きに変え、入学式の場所は何処かとパンフレットを開いて廊下の端っこで立ち止まって見ている時に沢山の人垣が急に出来ていて、何だろうとそっちの方角を振り返って見る。

 するとこの国の第二王子であるユウナレスカ様が人垣から急に小走りで現れ、ヒロインとぶつかってヒロインが転んでしまう。その際に選択肢があるんだよね、このオープニング。右か左の手を選択するんだ。右ならユウナレスカ様で左は先程通り過ぎたニキ様だ。

 実はニキ様、ユウナレスカ様の護衛をしていたらしいんだけど、ニキ様を選べばその時の選択肢に「護衛をしていた~っ」ていう台詞が出て来る。そして右のユウナレスカ様を選んだ時に婚約者のユリア・ブルックストン様が華々しく(?)登場し、ヒロイン込みで女性全員を威嚇(?)してくる。なおこのゲームは悪役令嬢は居ない。てっきりユリア様が悪役ヒロインか?と思わせ振りに登場したにも関わらず、何度も言うけど悪役令嬢は居ない。


 だが悪役っぽい人が居る。


 …アレス様だ。

 実はこの選択肢、隠れ選択肢が存在している。

 右左の手を選択せずタップリ数十秒放置(30秒だったかなぁ?)すると、第三の選択肢で攻略対象であるアレス様が登場する。そして最大の罠だがここの選択肢、アレス様が微笑んだ瞬間に別の選択肢が出るのだが、ここから既に「アレスルート」が確定してしまう罠がある。見極めるのが極めてキツイし、毎回毎回選択肢が変わると言う厄介なルートなんだよね。

 更に上手くアレスルートを反らすと、攻略キャラクターに必要なアイテム、後にケイン様と仲良くなると貰え、何故かニキ様の嫉妬心を煽る『ラベンダーの植木鉢』が貰える。


 …ん?あれ?


 『ラベンダーの植木鉢』が何故私が貰えたのかは現実だからだと思うんだけど、大方ヒロインである準メリーは既にアレス様と仲良くなっていると思う。もしかしたらアレスルートに入って居たのかも知れない。逆ハーレムっぽかったんだけどねぇ…。

 おかしいなぁ、逆ハーレムはこんな序盤に形成する事が出来たのだろうか?ゲームとは違って現実だから色々違って居たのかなぁ。


 ううむ、わからん。

 今の状態だとアレス様は別として、他の攻略対象者は逆ハーレム要員にはなって居ない様に感じるんだよね。

 ユウナレスカ様は今じゃすっかりユリア様と仲良しで溺愛してる様で背後にハートが見えてる様な気がするし、ケイン様は先日のラベンダーの件以来、特に準メリーとは交流していない様に思われる。残念ながら攻略対象者達と準メリーとの交流はカフェテリアでの場面しか知らないのだけど(忙しくて中々観賞出来ない!)、準メリーはアレス様やケイン様とはよく話していたし共に食事もしているけど、それ以外は学友だか派閥の人?だかと共に過ごしているのをよく見掛ける。


そうそう、ユウナレスカ様とユリア様達はあの時以来昼食時は別部屋で取るようにしているらしく、全く見なくなったんだよね。

おば様方が話していたけど、ユウナレスカ様今凄く忙しくて学園にいる間も書類とにらめっこしている状態で、ユリア様が毎日食事を運んでいらっしゃるとか。

ラブラブか。是非機会があったら観賞させて欲しい。



さて話は変わるがケイン様の事を少々。

イメージは声が高いがほのぼののほほんキャラだ。ゲームだとコンプレックス持ちの小生意気なキャラだったけど、今の私のイメージはのんびり子息な感じがする。

 おまけに良く「息抜きしないとね!」とユウナレスカ様と共に厨房に来て、頭が疲れてショートしているらしきユウナレスカ様がプリンをご堪能中、厨房のおば様達と井戸端会議をしている光景をよく見かける様になった。

 そして何故か私もプリンを奢って貰って居たりする。

 何故だ。

 何故、ケイン様は私の休憩時間にユウナレスカ様を引き連れてやってくるのだ。

 お陰で最近体重が気にな…。

 ウエストを摘まむ。

 うん、よかった摘まめない。

 恐らく仕事後のニキ様とフォーカス様の扱きのせいだな、うん。

 でも次からは自重しよう。

 そしてユウナレスカ様、プリン食べても太らないって羨ましい。


 しっかしなぁ…

 ゲームではヒロインが謹慎処分に処せられる事も無かったし、厨房のおば様情報のイライラしていて授業の合間の短い時間に隠れて小競り合いを起こしたなんてイベントは無かった筈。もしそんなイベントがあったら乙女ゲームとして、乙女ゲームのヒロインとしてどうなの?って感じだけどね。



「きゃあああああ!」


 そんな事を思いながら業者さんと世話を軽くしつつ記帳をしていたら、突如悲鳴が上がった。しかも怒鳴り声みたいな声も上がる。

 この怒鳴り声は件の準メリーの様な気がする。

 幾らなんでも帰って来てからまだ10日しか経っていないのに、もう反省はして居ないと言うのだろうか。


「何か…凄いですね」


 業者さん驚いた顔して一瞬固まってたけど、次の瞬間ギョッとした顔をして私の後ろ、生徒側の玄関方面を2度見した。


 …あああ、また準メリーやらかしたか。


 咄嗟に思ったのはこの言葉。

 今居るのは生徒達の玄関の隣、業者さんの搬入用の玄関と教師や私達職員の玄関で生徒達の玄関よりも遥かに小さい場所。その場所に一気に冷気が!


 準メリー反省してねええええええええっ!

 行儀見習いに強制参加させられていたんじゃ無かったのかああああっ!それともアレか?学園の派閥が収縮してしまってカーストが落ちたから我慢出来なくなった!?


 とか思ったのもありましたのさ。

 …あは、何故だろう。

 見たくもない危険なのが飛んでるよ!


「火の玉が飛んでる」


 業者さんが驚きの為か白目向いてるしって、のあー!業者さん(女性)が「ゆ、ゆうれい…」と呟いて倒れたーっ!

5/20

日本語がかなりおかしい文章が多々あり、アチコチ修正致しました。申し訳ありませんでした。

m(__)m


もし良かったら、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m



◆◇◆◇◆


領民A「なあ」

領民B「ああ」

領民C「うん?どうした二人とも」

領民A「いやさ、さっき迄話していたんだけんどもな」

領民B「そうそう」

領民A「何か領主様の御屋敷とこ行くにつれてハゲ率高くないかってな」

領民B「んだんだ」

領民C「あ~それな」

領民AB「「お前何か知っとるんか!?」」

領民C「知っとるも何も、多分領主様ん所のレーちゃんの呪いだわいな。ほれ、よく言っといたさ、「親父ハゲろ」ってさ」

領民A「成る程な」

領民B「んだんだ、確かによー話しとった」


領民ABC「「「…。」」」


領民A「俺らん所こねーように、領主様に呪いを「喋るだけ」でも返しとこか。どうせレーちゃんも喋るだけしとったしの」

領民BC「「んだんだ」」


領民ABC「「「んじゃ、領主様ん所向いて、せーの、俺らハゲませんよーに」」」



領主「何か最近領民に拝まれてる気がするんだが…?」

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