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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
4章 今日もお屋敷も学園もゴタゴタしていますが、働いて・学んで・そして何故か陰謀に巻き込まれつつ何とか奮闘致します。
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今回は何時もより短めです。

 アレス・バーンド様。


 乙女ゲームでは私が最も忌むと言うか、怖くて恐れて居る人。ゲーム中、徐々に精神が壊れて行ってしまう最恐の殺人鬼だ。

 その人の事を何故レスカ様は私に告げたのか。


 ぶっちゃけると私とアレス・バーンド様との交流はほぼ皆無だ。


 確かに学園の食堂カフェテラスでレスカ様と共に常にニキ様にケイン様、そしてアレス様の四人が居るのは当たり前の光景で、乙女ゲームでも普通に四人常に揃って居た。


 中世ヨーロッパ風の背景があるゲームの世界では、貴族の子息が通う都合上とかレスカ様の護衛のニキ様がいるからかな~と思って居たけど、今思うと婚約者の居るレスカ様の為、つまり貴族の子女避けだったのでは無いかなと思う。

 ニキ様やケイン様は婚約者は居ないから寄って来そうだけど、迂闊に寄ると王家のレスカ様の怒りに触れるし、不埒な事や良からぬ事をしようモノならニキ様が力尽くで大抵の事なら防いでしまう。それにケイン様が居れば薬学関係の才があるから危害を加えられてしまった場合、咄嗟に対処出来るのは学生の中だと彼位しか居ないだろう。


 そしてアレス様。

 この人はこの四名の中では政治的な意味合いを持たせる事が出来る。何せ父親がこの国の宰相。的確な政治的な意味での補佐も出来るだろうと言う判断で、取り巻きとして付けて居るのだろうって思って居た。

 それなのに、そのアレス様が?


「行方不明らしいのだ」


 え?

 レスカ様の横に居るユリア様を見ると、酷く困惑した顔をして居る。


「スタンピード前後から王都で姿を見た者が居ないと言うのだ」


「そ、捜索は?」


 この国の宰相の後継ぎでしょう?子息でしょう?なら…


「その父親であるノア・バーンドが「探さなくて良い」と告げてな」


 え、え、えー?それってどういう事なの?


「今色々妙な事が起きて居る。王宮内でも国家間でもな」


「それって…」


「私はアレスが居なくなった事が、多少なりとも関係して居るのでは無いかと思っている。証拠も何も無いから私の憶測でしか無いし、全く関係ないかも知れないがな」


「それってこんな所で軽々しく言っちゃって良いんですか?」


「レナだからな」


 私アレス様と仲良くは無いですよ。

 むしろ怖がって恐れていますよ。

 苦手より酷い状態ですよ。



 ん、あれ?

 ―こんなストーリー、乙女ゲームの一年目であったっけ?



 無いよ。

こんな話は無い。


 アレス様が消えるのは完全に狂ってしまってからで、その時は周囲を殺しまくっていた筈。しかもそれは三年になって、時期は二学期の終わりから三学期前後辺りの筈。でも今迄は全くそんな気配は無かった。


 一体如何いう事?

 何故急に?


「それに先日来た隣国の王子、アレクサ・ロー・ウイックローだ」


 んん、隣国の王子が何か関係して居ると?


「何故彼奴は王太子でない?唯一の後継者なのに。それに異常な程の刺客の数だ。更に言うと臣下の中には「あの隣国の王子がスタンピードの原因だ」と言うモノまで出て来ている始末」


 理由はアレクサ様が身に付けて居た物に魔物を呼び込むモノがあったからだと言う。でもそれだけじゃ理由は酷く弱く無いだろうか?


「アレクサが乗って来た馬車はスタンピードのどさくさに燃えてしまったので証拠は無い。だが…憶測に過ぎないから何とも言えぬが、刺客が馬車をわざと燃やしたのかも知れないと言われててな。燃えた後が何かしらの薬品の匂いが漂っていたらしいのだ。馬車そのものにも魔物を引き寄せる何かしらの薬品を染み込ませて居た可能性もあるしな」


 他にも…

 行ったっきりで相変わらず隣国から帰って来ない、この国の宰相でアレス様の父親。

 以前よりも減ったらしいけど、時折訪れるアレクサ様を狙う刺客。

 不穏な空気を醸し出す隣国。

 更には…


「ジン・アメイジングが『帰国したい』と直談判して来た」


「―は?」


 それはレスカ様に?それとも、


「国王にだ。この意味が意図しているのは何だと思う?」


 それって…


 このリビングには何時の間にか来た兄二人と執事のアイオロスさん、私とユリア様にレスカ様、それに何時に無く真剣な顔付きで居るメイドのパーシャさんにヴェロニカさん、それとユイさん。全部で9人。

 互いに顔を見合わせて一つの事を考えてしまって居ると思う。


「もしかして」


「まだ解らん。ただ相手国であるウィックロー国の動きが不穏過ぎる」


「ジン様はこのままだと人質に取られると危惧して、ですか」


「恐らく」


「な、ならアレクサ様だって危惧するのでは」


「あの男は隣国にそのまま居るよりこの国のが安全だと、そう言ってる。しかも事が始まれば恐らくアレクサは教会本部に身を寄せるだろう。聖女になったアメリー嬢がそうなる様に動いて居る様だしな」


 教会なら人質でも何でも、ある程度拘束はされるが身を置いて置くには困らないからな。そう言うレスカ様の顔は苦渋に満ちて居て。


「あの」


「まだ決まったわけでは無い。推測でしか無いからな」


「私に話しても良かったのですか?」


「寧ろレナに、否。此処にいる全員に話しておくべき内容だったからな。恐らく父、国王は始まればお前の兄に出陣しろと言うだろう。是が非でも爵位を上げて領地を持たせたいらしいからな、我が父は」


 うへぇ。

 ジーニアス兄さん、スタンピード時に無双したからって我が国の国王アレキサンダー王に気に入られ過ぎだろ。

 チラリと兄を見て見ると、何とも言えない顔付をして居る。


「レスカ…」


 ふっと、ユリア様が何時の間にかレスカ様の額に滲んでいた汗をハンカチで拭う。

 レスカ様も今気が付いたと言った顔をした途端、ふぅと一つ小さく息を吐いた。


「何度も言うがまだ決まったわけでは無い。それにもし仮に、仮にだが戦争となった場合、我が国では16歳で成人するが私は今14歳で未成年。出陣は幾ら王家の者でも未成年では無い。だがジーニアスは18歳で成人済み。だがジーニアスは私専用の近衛兵だ、しかも今は編成中で一人しか居ないしな。ならば権限でも何でも意地でも使ってジーニアスは何とか守ってみせよう」


 出来る限りだが、と言うレスカ様は少し自信が無さそうに見えた。



 それにしても…

 乙女ゲームで一年目で戦争なんて無かった筈だ。少なくとも私はそう記憶して居る。

 だとしたらこの先あるのだろうか。



 ヒロインの準メリーは一体誰を攻略しているのだろう。

 そして、アレス様は一体何の為に姿を消したと言うのだろう。

 乙女ゲームではジン・アメイジング様とアレクサ・ロー・ウィックロー様にアレス様、それに我が兄であるジーニアス兄さんを攻略している最中に戦争になる事はある。


 そのルートに入ったと言うのだろうか…。







領民G「ふむ」

領民A「どうしたG、手紙なんぞもって唸ってからに」

領民G「いや先日この領地に商人達が来たじゃろ」

領民A「ああ」

領民G「その中にオルブロンちゃんからの手紙が来ての」

領民A「おお、どうやら無事に着いたようだの」

領民G「そうじゃの、良かった良かった。あの娘はこのまま此処に居たらデュシーちゃんと同じ目にあってたかも知れんしの」

領民A「そんなことは儂らの目が黒いうちさせはせんがの」

領民G「最も儂らにそんな力等無いがのぅ」

領民A「かかか、確かにの」

領民G「無力じゃの」

領民A「仕方ないことじゃ。儂らは只の領民の爺じゃからの」

領民G「そうなんじゃがの、何かしてやれんかのぅ」

領民A「何かか」

領民G「爺の力等微々たるものじゃがの」

領民A「ふむ、ならば兎に角あれじゃな」

領民G「む、あれかの」

領民A「うむ」

領民G「せーの」

領民AG「「儂らが(これ以上)禿げませんように」」

領民G「ついでに領主に禿げる呪いでもかけとこうかの、レッティーナちゃんみたいにの」

領民A「ははは、いいのぅ~儂もやっとくぞ」



領主「何だか頭部がうっすらと寒い気が…」

長男「(年齢には勝てないか、頭部)」


9/19

修正。

是が日にも ×

是が非でも 〇

更に16歳で成人云々の文章追加。

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