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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
3章  今日も学園はゴタゴタしていますが、何故か苗字が変わってしまってコッソリ鑑賞出来にくくなる様です。
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 近場。

 貴族用の喫茶店だと落ち着かない、更に金額が気に為る貧乏性の私達兄妹が居るので気を使われたらしい。掃除現場になっているガルニエ邸がある貴族街、そこから少し離れた裕福な商人達が多く住む街にある、王都でやや高級な茶店に入る。

 それでも充分高級店なので内心冷や汗モノなのだけど。


 その際そつなく御者してくれたグラシアさんには感謝。

 先程ガルニエ邸のお掃除部隊に入って行きそうになったのだけど、移動する際の御者をしてくれたので助かりました。


 理由。

 ジーニアス兄さんとニキ様が何故か此方をみて、「御者をやってみたい!」と立候補してお互い牽制し始めたから。


 一体何をしているのやら。

 大体ジーニアス兄さんはしたこと無いでしょう?


 何、騎士団で訓練した?ほう。で、後輩のコリンさんは何て言っての?ん?何故そこでソッポ向くかな~?いってみ、ほれ、ほれ。

 言えないなら立候補しない!

 ニキ様も笑ってる場合じゃないでしょ?カーブ衝突する勢いで曲がるの、先日の旅で骨の髄まで染みて知ってるんだよ?

 何?曲がれれば良い?

 それはキチント曲がれた人が言う台詞です。

 馬車の縁が抉れたのはニキ様が原因ですからね?


 お二人共却下です。


「お強いですね」


 なんてグラシアさんに言われてしまった腹いせは、茶店で二人に請求書を持たせるとしますからね?







「ネイハム伯の件は此方に任せてくれ。王家に恥をかかせてくれたからな。なに、良い様に転がしておくから心配しないで良い」


 転がして置くって何だか怖い台詞だな。

 何となく台詞が「近江屋」や「越後屋」とか「お代官様」とか脳内で変換してしまったのは何故だろう。

 店内が洋風なのに、一瞬だけ時代劇の座敷の様に見えてしまったよ。


 その際グラシアさんは是非片手に煙管(キセル)を持ち、煙を一つ立てて貰いたい。きっと似合うと思います。


「大丈夫なので?」


 このセリフはデュラン兄さんだ。


「ユウナレスカ様に向かって…」


 こっちはジーニアス兄さん。


「良い。『友人』のレナの為だからな。これぐらい当たり前だ」


 デレた!レスカ様がデレた!

 驚くとケイン様がこそっと教えてくれる。


「レスカはね、一度懐に入れるとすごーくデレるよ~」


「だな」


 うんうんと頷くニキ様。

 ちなみに乙女ゲームのヒロイン、準メリーこと、アメリー・メメントリー嬢にはもう無理だそうだ。

 学園の玄関で結構怒ってたものね、レスカ様。


 何だか小声で「うっさい」とか照れたような声で聞こえた気がするんだけど、気のせいでは無いんだろうな。


 どうでも良いけどデュラン兄さん、何故小声でジーニアス兄さんに「レッティーナはユウナレスカ様の側妃候補って噂、本当だったのか?」とかって、確りと聞こえて来てるんですけど!?

 ディラン兄さんちょっと額貸してね?デコピンするから。

 勿論私の手に身体強化魔法かけるからネ!

 拒否権は当然ありませんですがナニカ?








「ネイハム伯は今は良いとして~」


 額を両手で押さえて悶絶しているディラン兄さんを他所に、頼んでいた紅茶とケーキが届いた。ケイン様が喜々として注文して居たプレーンのシフォンケーキにフォークを刺している最中、レスカ様は安定した甘党ぶりを発揮。

 他の皆が1個頼んだのに対して三個届いた。

 勿論全部別の種類だ。


「それ、全部食べるんですか?」


 恐れを知らぬディラン兄さんが聞いているけど、侮っては行けない。何せユウナレスカ様は普段隠しているが、身内ばかりになると極度の甘党なのだ。

 しかも甘い物だけ大食いの気が近頃ある。

 今日この場ではディラン兄さん以外は見知った人達ばかり。

 ならば彼はヤル。

 何故ならそれがレスカ様だからだ。


「安心しろ、この後プリンも頼んだからな」


「は?」


「それとプリンアラモードも頼んだ。楽しみだな!」


 邪気の無い笑顔を向けられ、兄はどういったら分からないと言う風に此方を見るが止めてくれ。怪我をしたくないんだよ。


「ん?ああ、ちゃんとレナの分のプリンも頼んだからな。安心しろ」


 くそぅ、飛び火したぁぁっ!

 仕方無く頼んだケーキは半分残し、ジーニアス兄さんに無言で押し付け、そのケーキをジーニアス兄さんはディラン兄さんに無言で回した。

 ディラン兄さん、飛び火した分は片付けるから。

 私が太らない様にそっちは後始末頼んだっ!



「一先ずジーニアスはうちの親父の騎士団所属だし、うちから何人か応援を出すか」


 ん?応援?


「僕の所は直接は出来にくいけど、今回の件で多少は縁が出来たからね~。それで押しつけてくかな~」


 縁?友人ってこと?

 それは元々じゃなかったのかな?


「ケインの場合、うっかりやり過ぎると支障が出る」


 レスカ様やけにきっぱりと言ってるけど?


「出るね~あははは。まー僕が婚約してると良いのかも知れないけど」


 ん、婚約?

 どゆこと?と言うか、さっきから何の話をしてるの?


「ニキの所が打診してるからね~。僕の所はどーなるかな~」


 ケイン様何故此方を見てニコニコしてるかな。

 そしてニキ様、何故其処でムッとするかな。

 ジーニアス兄さん、顔かおっ!般若みたいになってますよ!コワイヨ!

 其処でデュラン兄さん、何故おや~?って言う顔になっているかな。

 ふむふむ、成程って何か勝手に納得シテマスケド?


「ジーニアス、そう言う事か?」


「レナにはまだ早い」


「うわ~…若いうちからそんな世間一般の親父みたいな事言ってると禿げるぞ」


「ほっとけ」


 ついってソッポを向いたジーニアス兄さん。

 う~ん思って居たんだけど、やっぱりシスコンなのかなぁ。ブツブツとレナはまだ子供だって言ってる。子供なのは自覚してるけど、小声でブツブツ文句を言わないで欲しい。


「レッティーナはどうなの?」


 イヤイヤ何が。

 …まあ察してるけどさ~そんな気は無いんですよ。


 恋愛。

 私にはそういう感情が欠落してるのかもね。

 乙女ゲームでは名前さえ出て来ないので、華々しい攻略対象者である人達との恋愛とかって考えられないんです。それよりなら本家本元の王道である、乙女ゲームのヒロインと攻略対象者が恋愛しまくっている所を覗いて見たかったのだし。


 …現実の今は多分もう無理な気がするけど。


 ユウナレスカ様、学園の玄関でヒロインのアメリー・メメントリー準男爵令嬢に叱り付けて居たし、その様子を見ていた他の攻略対象者達も何となく腫物を扱う様な状態になっている様だしね。


 それに私個人としては、近頃のユウナレスカ様とユリア様とのラブラブを見せ付けられてお腹一杯何ですよ。


 おっと、一先ずジーニアス兄さんに乗って言っておこう。


「まだ十三歳の子供ですので」


「あははは、ケイン様ニキ様苦労してますね」


 おいおい、幾ら非公式と言うか茶店の中とは言え高位貴族相手にデュラン兄さんってば。なんて思って居たら、うんうんって二名共頷いてるし。馴染んでるょ…


 む~…


 そりゃ~何時かは良い人見付けてってのは思うけど、それは今じゃない。

 確かに前までのアレイ家男爵家三女の肩書だと、どう見積もっても一般人としか結婚は無理だった(妾は別)。

 でも今は新しい姓のガルニエ男爵令嬢。

 ん?ってことは、


「ジーニアス兄さんが家の為にっていうなら考えるけど」


「それは無い」


 おお、キッパリ拒否された。


「レナなら良い魔術師になりそうだしな。学園卒業してからになるが、国では何時でも魔術師として抱える事は出来るぞ」


 しれっと言うレスカ様。

 これ多分助けに入ったつもりなんだろうな。チラチラと視線を此方に送って気を使って居る気配がある。


 う~ん、友人になった途端デレがすっごい。

 これ後でユリア様に報告しようっと。









 * * *









「今後ロドリゲス家の関係者からの嫌がらせ等が懸念される」


 レスカ様が淡々とした口調で喋る。

 心配してるのがわかるんだよね。そうじゃなきゃこんなに雄弁に話さないし、そもそも会話も無い筈だし。

 ユリア様曰く、「レスカは私もそうですが、そもそも家柄のせいで友人が少ないですからね。その中でも初めての女性のお友達ですから、嬉しくて仕方が無いの。きっと内面では悶えてるわよ」と。

 悶えてるのは兎も角、嬉しそうなのは何となく分かる。

 口角が少しだけ上がっているもの。


 貴族としてそれはちょっと…う~んいや、分かる様にしてるのかな?ケイン様が笑っているし、ニキ様はちょっと面白く無さそうな感じだけども。



 簡単に説明されたのだけど、どうも今モニカ様やニキ様の父親の騎士団長、アルビオン様が動いて数々の証拠を集めているが、それと共に先日来た隣国の王子、今は学園の留学生として在籍しているらしいアレクサ・ロー・ウィックロー様の刺客の件で隣国と会見やら会議やらをせねばならず、此方は少し後回しとなる。

 其れで先程の応援云々の話になるらしい。


「とは言え、私の知り合い(友人)がムザムザやられる等腹立たしい。そこでだ、父の提案になるのだが―…」


「は?」


 と言ったのはジーニアス兄さん。


「へ?」


 と言ったのは、次男のデュラン兄さん。


「えー!?」


 これは私。

 ニキ様とケイン様はどうやら知って居たらしく、ケイン様はニコニコして居るし、ニキ様は少し納得行かないと言う顔付でいる。


「悪いと思うが強制だ。ジーニアス・アルセーヌ・ガルニエを私の側近とする。後日我が父から報告があるだろう」


 つまり近衛兵になるんですね。

 うん、ジーニアス兄さん驚き過ぎて目を見開いて固まっているし。

 同じくディラン兄さんも硬直状態。

 私は何度か瞬きして、ほええ~~と言う声を上げてしまった。


 あ、そこ、貴族子女がそんな声出すなって言わないでよね。

 分かって居ます、今後は特に口調を気を付けないと為らないって事は。分かっているけど中々どうして地が出ちゃうんだよね。

 今後貴族令嬢らしい言葉を身に付けなくてはならないけど、今はまだ我慢して欲しい。


「普段は私付きの警備となる。キツイぞ」


「で、ですが私の身分は男爵でして」


「その件は追々考えて居る」


 チラリとニキ様を見ると肩を竦めている。どうやら兄がレスカ様の側近に為る事を知って居た?


「予想はしていた」


 成程。

 王家の側近。

 普通ある程度の爵位持ち、最低でも伯爵辺りでないと認められて居らず、色々と他の貴族の口出しがあった際に対応出来ず揉めるらしい。


 例えば、高位貴族の誰かがユウナレスカ様に不当な行為をした際、爵位にモノを言わせていう事を聞かせるという事も考えられる。また、他にも強引に不当な罪を被せられるという事も考えられる。


「国王は領地も考えて居るらしい」


「え?」


 何でも元々アルセーヌ・ガルニエ家は高位貴族だったらしく、今迄は何とか領地を王家預かりとしていた。だが国王としてはガルニエ家を完全復興して欲しいらしく、ゆくゆくは伯爵位を与えて領地も考えて居るらしいと。

 国王様がガルニエ家に恩でもあるのかな?って一瞬思ったのだけど、ケイン様が苦笑しながら、


「ガルニエ家の領地が広大でね~王家で管理するのが結構大変らしいよ。他の領地も幾つか管理しているらしいし」


 と教えてくれた。

 成程、それは…ん?広大?


「場所は王都から近いが、肥沃な土地だ。その分農民が多いし住民が朗らかだ。ただ獣人が多いらしく、他の高位貴族だと中々管理する気が起きないらしい」


 何ですと?差別反対!って思ったら、獣人でも特に大型の獣人が多く、自身の生活に必要なモノ以外は全て納めようとするから何時もその件について説明するのが大変らしい。

 うーんこの世界の大型の獣人さんって変わっているなぁ。


 大型って言えば、アノ象さんの獣人さんを思い出す。

 宿屋の象さんの女将さん、元気してるかな。


「レナちゃん、あの象の獣人が居た宿覚えてる?」


 ケイン様覚えてますよ。今元気してるかな~って思ってた所だし。


「あの宿がその領地の隅っこの村」


「…ナンデスト」


「領主が収めている中心街はもっと奥なんだけど、基本ガルニエ家の領土は広大で有名だったからね。前の領主は僕は知らないけど、獣人にとても慕われていた様だよ」


 ほうほう、成程。

 差別しないなんてさぞ素晴らしいモフラー…じゃなかった、素晴らしい人だったんだね。御先祖様、領地に赴くことがあったら私お墓参りに是非行かせて貰うね!


「問題は慕われ過ぎて獣人が張り切っちゃって、領地やら農地やらを広げちゃってね~管理が大変らしいんだよね」


 …オイコラ、自重しろ。

 説明しているケイン様が遠い目になっていて、レスカ様やニキ様までうんうんと頷いて居る辺り、どんだけ広大なんだよ。


「お陰で他の領地が栄えて居ない所とか、農地が欲しい貴族とかが狙っててそう言った問題もあるんだよね」


 その筆頭がロドリゲス家の関係者様御一行だとか。

 何処までも立ち塞がるなロドリゲス家。

 暇なのか。

 単に強欲なのか。

 其にしてはよく実家の土地を親父から購入したなぁ。


「ん?象?」


 んんん?どうしたディラン兄さん、急に声を出して。


「あーっ!!」


 叫んでガバッと急に立ったよって一体如何したの?

 椅子が真後ろに転げて行ったけども。


「緊張し過ぎて忘れてたが、デュシーを宿に置いて来たま」


「「「何だってっ!!」」」

今回はプチ裏設定٩(๑'﹏')و


アレイ家の次男三男達は女姉妹に弱い←

こう言う設定でおります。

実家の境遇云々もあるけど、特に次男はどう接したら良いか実家に居るときから内心オロオロしていて解らず、困って居た人なので尚更。三男に比べて次男は少し軟弱です。対して三男のジーニアスは妹が可愛くてたまりません。レナにオルブロンと、何かがあったらぶちギレる程ですが、普段は温厚です。


顔も次男のディランはやや気が弱そうな感じですが、優しそうな男性。顔は普通。

対して三男のジーニアスは目元がキリッとした爽やかな美男子です。

お陰で騎士団の詰所にはジーニアス目当ての変な女性が来るとか来ないとか…



気が付いたらブクマが増えてて吃驚してます。皆様有り難う御座います。もしまだしてなくて、やっても良いよ~って方は、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m





前回出たのに書くの忘れてた『書生』話をば。

(内容は全く関係ありません)



領民G「何かの~」

領民A「どうしたのじゃ?」

領民G「書生って最近言わんのかの」

領民A「そう言えば言わんのぉ。今は確か」

領民B「ぱとろんじゃろ?」

領民G「ぱじゃま?」

領民A「それ、寝間着じゃ。しかも一文字しかあっておらん」

領民G「パットドロン?」

領民B「何かがパッとしてドロンと消える様な名前じゃの。全く違うぞ」

領民G「ふむ、「それ、ロン!」」

領民A「つい「ツモ!」と言いたくなるが、違うぞ。しかも最後の二文字しかあっとらん」

領民G「ふむむむむ…」

領民B「まあ儂らは書生で良かろ」

領民A「だの」

領民G「ふむ~」




領主「…」

長男「(今日は単に村民が集って居るだけだから、拝みは最近無いから。だからって其処でコッソリ覗き見してないで仕事に戻ってくれ!)」



相変わらず本編以外ではマッタリ…


8/13

側近を何度も接近と…修正。

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