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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
2章 今日も学園はゴタゴタしていますが、学園の外までゴタゴタしていて観賞しようとしてもどうやら無理な様です。
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 この後もロドリゲス家から何らかの妨害が起こる可能性が高いという事と、このまま王都の傍に行くなら継続してこのまま乗って行った方が良いという事で、モニカ様は馬車に乗って移動して行く事になった。

 途中何度か街に寄って情報を得たり宿泊したりしたのだけど、その度にモニカ様は護衛のカミーユさんを連れて暫く不在となったりした。

 一応理由を聞いてみたのだけど、


「所属している魔術師団へと報告をしているのよ」


 との事。

 そしてグラシアさんは何処かへと出掛け、真夜中か明け方に何時の間にか帰って来て居る。

 一体何時寝ているのか。

 ニキ様に聞いてみたら、


「アイツは領地に居た時、立ったままで仮眠してる時があるからなぁ。初めて見た時は不気味で驚いたな。ま、御者席で交代した時に寝てる時もあるから、当人が自己申告しない限り大丈夫だろう」


 …アレ、何だろこの人から微妙に外れてる様な人は。

 本当かどうか真実は解らないけど、戦国武将とかの場合は柱か壁を背に座って刀抱えて寝ていたんだったっけ?

 何かのドラマで床に就くのは女性とホニャラララの時だけ、とかだったと言うのを聴いて驚いた記憶がある。勿論史実とは違う、ドラマだけの架空演出エピソードな気がするけども。そのドラマの主役の武将は、実際では仮眠とかは床に横になって眠ったりしていたらしいし。


 睡眠はちゃんと横になった方が血流の問題で早く回復するから、少しでも横になった方がいいですよ~って言いたい。…血流って何だ?とか聞かれそうだけどね。


 そんなこんなで彼是モイスト領を出てから数日。

 姉を探しながらモイスト領まで移動した時はもっと日付が経っていたからかなりハイスピードだったのだろう。

 よく持ったなぁこの馬。

 いや、この場合馬車がって感じかな。


 何故そんな事を思って居るのかと言うと、つい先程馬車の車輪が外れてしまったから。

 急遽替えの車輪を嵌める為街道から逸れてすぐ横に止め、車輪を取り換えている最中に休憩を取ることにしたのだけど、


「向こうの方妙な砂煙が上がって居るな」


「狼煙も幾つか上がってますね」


 ニキ様とグラシアさんが遥か彼方を見ています。

 この場所は王都から近い。

 一時間程行くと王都から一番近い村に行ける為、其処で一旦情報をと思って居たのだがどうやらスタンピートはすぐ其処まで迫って居るらしい。


「あの狼煙は、騎士団か魔術師団に配属されている部隊のだわね」


 モニカ様が上空を睨み付けているんだけど、芳しくないわねって呟いて居る。

 思ったより酷い状況なのかも知れない。


「何か分かるか?」


「ここからは良く分からないけど、恐らく後1~3日ぐらいで王都にスタンピードが来るようね」


 何でも狼煙の色によって連絡手段としてあるのだそうで、今上がっているのがオレンジ色。これが赤色に変わると危険なのだそうだ。

 ちなみに急遽討伐隊を結成して向かったらしいが、数が多すぎて多少は減らす事が出来た程度だったらしい。それでも出来ないよりは遥かに良いと、モニカ様は報告を受けて居たらしい。


「対策として魔物を誘導する秘薬を使って別の場所に誘導し、其処で全力で殲滅する事を提示したのだけど、その権限と現物を持つ宰相が捕まらないらしいのよね…」


 え。

 それって…


 確かに乙女ゲームの知識では宰相不在中にスタンピートが起こる『時』がある。それはヒロインが攻略対象者との好感度をかなり上げた場合と、とある選択肢が出せ無い様に選択した時、ある攻略対象者との出会いを強制的に引き起こす事でもあるのだけど…このパターンはとても危険だ。

 本当に上手く立ち回って回避をして行かないと、選択肢次第ではアレス様とのデッド・オア・アライブが必然的に起こるケースでもある。


 アメリーそんな危険な橋を渡るつもりなの!?

 それとも偶然なの?


 確かにアレス様との関係は良いかも知れないけど、メイン攻略者のユウナレスカ様は最悪の状況に陥って居るし、ケイン様の好感度アップのラベンダーの植木鉢を貰って居ない。それにラベンダーの植木鉢を貰わないとニキ様の嫉妬心を擽らないので好感度が上がり難い筈。


 条件が揃って無いのに、一体何を考えて居るのだろう。


 先日の食堂の件から乙女ゲームのヒロインであるアメリー準男爵令嬢、もとい準メリーはもしかしたら前世の記憶持ちの私と同じ日本出身の子では無いかと睨んでいたのだけど、違うのだろうか?

 それともライトノベルとか言うのによくある片方が本編だけの記憶で、もう一人が後に発売された続編とかで改善されていると言うケースなのだろうか?


 この先私だけだと分からないし、何より下手に介入したくないんだよね。好みも選択肢も人それぞれだし。でも目の前で危険そうなら見捨てたくは無いなぁ…。

 勿論其処までの義理は無いのだけど、本来ならこっそり覗くつもりだったのだからね。出来る事なら前世大好きだったヒロインには幸せになって欲しい。


 嗚呼…そうか。

 推しメンとか思い出せなくて何か変だと思って居たら、メインヒロインの容姿が好きだったのか。

 スチルの時とかドキドキしたのもヒロインが可愛かったからだ。前世の私はあまりイイ容姿では無かったし、記憶の奥底にある体型(まな板…。)にコンプレックスもあって、ヒロインみたいな容姿に憧れていてとても好きだったのだ。だからこそ準メリーの痛い行動に困惑してみたり、萎えたりしていたんだっけ。


「次の村で最後の情報を得るつもりだけど、魔物を回避させる薬なら其処等に生えている薬草で私でも作れる。一人一つ分ぐらいは作るから、気休めでも持って居て」


 そして、覚悟して。

 声に出さなかったけどモニカ様の声が聞えた気がする。


 この先は決死の覚悟で行かなくては為らないと。








 * * *








「レナ最終通告だ。出来ればこの村に残れ」


「嫌です」


「うん、レナちゃんならそう言うと思った~」


 ケイン様が背後からそう言って来ますが、此処まで来て残るなんてありえない。

 デュシー姉さんはやはりと言うか何と言うか、この村を既に立っているのか寄らなかったみたいで情報は何も無かった。一応王都から一番近い村がココなので寄る可能性が高いのだけど、もしかしたら緊急事態に気付き、別の村か既に王都に入って居るのかも知れない。


「この村でデュシー様の痕跡が一切無いので、恐らく立ち寄っておらず別のルートを通ったのか、それとも強行突破で王都へ入って行ったのかのどちらかですね」


 何枚かの用紙を手に持ったグラシアさんが唸りながら言葉を発し、次いでその用紙をモニカ様に渡している。そしてそのモニカ様は馬車の中に籠ってずっと薬剤と格闘していたのだけど、今し方完成したと小さな試験管を一人一本ずつ渡して来て、


「正直効果はあの魔物の数だから低いと思う。それでもBランクまでの魔物なら避ける筈よ。もし万が一魔物の群れに囲まれる様なことがあったら、これを自身に振り掛けなさい。匂いで避けて行くわ」


 初めて見る薬品に、そう言えばシドニー姉さん夫妻の店で似たような品を見たような気がする。あの店は基本何でも屋で通って居て、普段は小物屋で通って居るけど必要な時にと薬品も扱って居た様な気がする。

 風邪薬とか傷薬とかは何度かお世話になったしね。


「では…行くわよ」





 馬車の中で何度かモニカ様に王都に入ってからは離れ無いでねと念を押された。

 腕を掴んで何度も言うからその度にコクコクと頷く。

 ちなみに護衛さんのカミーユさんは馬車の後ろの席でずっと何かを握っていて、祈りの言葉を捧げている。恐らく信仰している神様に祈りを捧げて居るのだと思う。それと同じく御者席に座って居るグラシアさんは何時の間にか二刀の剣と言うより懐かしい鞘…あれ、束と鞘を見て刀の様に見える。それを左右の腰のベルトに刺しているし、ニキ様は懐に投げナイフを幾つか装備し始めている。そしてケイン様は武器である剣の他にも幾つか小さな袋をベルトに括り付けて居る。


 何でもその袋は眠り薬・小型の硝煙弾・胡椒(何故これを…)・傷薬等が入って居るらしい。

 そしてその中から幾つか私にも渡された。


「ほい、レナちゃんにはこの睡眠弾と硝煙弾に傷薬を。傷薬は学園のハーブ園で作った薬草から作って居るから、そこそこ質が高い筈だよ」


 それと、と言われて私の両手を掴まれる。

 え?と思ってケイン様を見ると、


「お願いだから危険な事をしないで、モニカ様と同じ事を言うけど僕達の傍から離れないで欲しい。頼むから約束して?」


 真剣な顔をして見詰めて来るケイン様。

 その背後には険しい顔付で見て来るニキ様が居るけど、ケイン様の言葉は真剣で空気を察して黙って居るみたい。


「はい」


 だから私は確りと頷く。

 自分だって本来なら危険な最中にわざわざ突っ込んで行く気は無いのだから。


 …それこそ身内が絡んで無ければだけど。


 それに王都にスタンピードか迫って居るなんて、ジーニアス兄さんだって騎士団なのだから参戦するだろうし、妊娠中の姉であるシドニー姉さんや末妹のオルブロンだって心配だ。

 特にオルブロンは年齢的なモノもあるけど、元気一杯なお転婆だから自分でも退治出来る!と駆け出してしまわないかと不安になる。一応王都への旅路を経た事によって自身の体力の無さを自覚した様だけど、無茶をしそうな気がして仕方が無い。


 そして今回の旅立った一番の理由の姉のデュシー。

 もし王都に居るなら安全な所に居て欲しいし、周囲の安全な村や町にいるなら其処から動かないでいて欲しい。


 他にも学園の人々、ユウナレスカ様にユリア様に厨房の皆、フォーカス様にビビーネおば様に…

 魔物が迫って来ているけど、どうか無事で居て欲しい。








「凄い行列ね」


「困りましたな」


 王都一歩手前迄来ると、スタンピードが迫って居る事で皆慌てているのか。血相を変えた大量の人々が王都へ入れろと大行列を作っており、王都の門前では検問する門番達が右往左往している様子が窺える。


「恐らくまだ大丈夫だと思って呑気に検問をしているのかしら。こんな時に全く」


 モニカ様が呆れた様に呟くと、ケイン様やニキ様が苦笑をする。

 恐らく王都側は混乱中で、事態の把握が末端までまだ出来て居ないのでは無いだろうか。


「ん~レスカがそろそろ遣らかしそうだけどね」


「アイツならやりかねんな」


 何だか不穏な事を言い出している二名を余所に、


「あったま来るわね、門の真横の壁崩壊させちゃおうかしら」


「誰がその修理費を支払うので?」


「…」


 此方も此方で妙なやり取りをしているモニカ様にグラシアさん。

 そして其処からグラシアさんの説教がモニカ様に落ち、モニカ様は素知らぬフリをしている。

 結構いい性格して居るなモニカ様。そしてそのモニカ様に滾々と尽きる事無く、小言という風体で説教を噛ますグラシアさん。つい~とモニカ様、分が悪いのか目線をずらしている様だけど、昔からこんな風なのかなぁ。


「不味いですね」


 護衛さんであるカミーユさんがそう言うと、突如バーンッと言う耳を劈く音が響き、ついで空中に赤い狼煙が舞い上がる。


「げ」


「うえ」


「ひぇぇ」


 彼方此方から悲鳴じみた声が上がり、行列が崩壊して門前に押し寄せる。

「お願い入れて!」やら「せめて子供だけでも!」等と言う声が聞えて来た。


「門の上にやっと魔術師と弓兵が現れたわね」


「ああ、後手後手だな」


「宰相が不在って事が痛いわね」


「そういや親父は王都に…?」


「ええ、アルビオン兄さんは私達より先に着いた筈よ」


 だから今頃必死になっているんじゃ無いかしら?そう言うモニカ様。


「それなら騎士団は大丈夫か」


「副団長も優秀な人だからね、其方は大丈夫でしょう」


「魔術師団は…」


「言わないで」


 はぁ~とモニカ様のため息が聞こえて来る。

 その溜息から凡その察しが付く。

 ケイン様が声には出さずに此方を向いて、身振り手振りで『アレハダメ』と言う感じで右手と頭を左右に振って居る。モニカ様苦労しているんだろうな…。


「赤い狼煙が上がったという事はもう直ぐ此方へ向かって来ているという事ね。レナちゃんくれぐれも離れない様に」


戦国武将の睡眠云々は、突っ込まないで頂きたいです。←

ちなみにかなり昔の某大河ドラマ。独眼さんな人のです。


*今回のリアル事情←


さて、やるか!

途中快調。が、突如くるひび割れの様な激痛。

ギクゥッ(腰)

ぎっくり腰で結局お流れ(涙)

現在。

大分マシになって来たけど正直かなりしんどい

(´Д`|||)


腰復活祈願で良かったら、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m

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