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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
2章 今日も学園はゴタゴタしていますが、学園の外までゴタゴタしていて観賞しようとしてもどうやら無理な様です。
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18

 一時間程待って居たら皆が疲れた面持ちで戻って来た。

 いや、一人平然としている人(当然モニカ様)も居ました。


「何人か生き残っていたのでね、取り敢えず三人だけ馬車の後部へ板を渡して臨時に括り付け、頑丈なロープで繋いで置いたわ。今は魔術(無理矢理)で寝かせているけど、寝ている内にこの付近の街へ移動するわよ」


 との事で急遽付近の街へ移動する事になった。


 結構な人数居たと思うんだけどなぁと思って居たら、コッソリとモニカ様が「流石に板に三人以上乗せられなくてね」と。

 …もしかして縄で縛り付けて放置してるんじゃないだろうか?と思って居たら、


「一部の怪我人以外のピンピンしてるのは魔法で寝かせ、穴掘って手足を縄で縛り付け、首だけ出して埋めて来たわ」


 と…。

 何それドコゾノ晒し首?

 もし魔物とかにヤられたら不味いのでは?


「三人の盗賊を引き渡した際にお話ししておけば、明日駐在している者等が掘り起こしに来るわ。一応魔物避けは置いとくから気にしなくて良いのよ」


 運悪く強い魔物が来なければ大丈夫。

 等と何でもない事の様にモニカ様が仰られ、ふとニキ様にケイン様を見ると苦笑して居た。

 もしかしてお二人共、この様な事が昔からあったりして?






 街の門番に事情を話し、未だくくり付けた板の上で眠って居る三人の盗賊達を受け渡し、日も暮れて来たので今日はこの街で一泊する事にした。…のだけど、宿に入って直ぐに先程の門番の方達が訪問して来た。

 何でも、


「すまんが明日、盗賊を討伐した付近まで案内願えないだろうか」


 道は一本しか無いのだからわざわざ聞くことも無いだろうと思うのだけど、門番の人が少しだけ言葉を濁した後、「埋められている人数がちょっとな」と笑って居た。


 その門番さんが帰った後、モニカ様にニキ様にケイン様が何やらゴソゴソ三人で固まって話し合って居た様だけど、何だったのだろうか。


 不思議に思っていたら、夕食時にそれが判明した。

 宿の食堂で食べようと部屋を出て移動しようとしたら、モニカ様に呼ばれて宿のモニカ様の部屋に入ったのだけど、其処には既にケイン様にニキ様、それに護衛の人とメイドさんが部屋の隅に控えて待ち構えて居た。


「よ」


「レナちゃんやほ~」


 ちなみにこの宿、安宿では無い。

 モニカ様が問答無用で決めてしまったので料金の事は不安だったけど、兄から貰ったお金もあるし仕方ないかと諦めていたのだけど、モニカ様が「奢るわね」と宿の受付でさっさと支払ってしまった。ここ結構いい宿なんだけど、流石お貴族様。格が違う。


「夕食はこの部屋に持って来て貰って居るから、皆ここで食べましょう」


 そう言った後、宿の従業員の方が人数分の食事を運んで来てくれた。


「今グラシアはちょっと席を外しているの、彼もここで食事を取るから置いて行ってね」


 モニカ様が従業員の方にそう頼んでグラシアさんの分の夕食を置いて貰い、従業員の方が部屋を辞して行った途端、


「それじゃ、お願い」


「はい」


 メイドさんが全員の料理を一口ずつ味見…あ、これってもしかして毒見?


「そ。レナちゃんは初めて見るのかもね」


 ケイン様がそう言って肩を竦め、護衛の方は気が付くと窓辺へと移動してカーテンを閉めている。


 そして…ん?これは?

 モニカ様の周囲で急に魔力が高まったと思ったら、部屋中に広がって幕の様に借りた部屋全体を覆い包み込んだ。


「消音の魔法よ。ふ~…これで話す事が出来るわね」


 ヤレヤレと言った風にモニカ様が吐息を吐き、ニキ様が隣室のドアを開け放つと何故か、天井から頭だけを出してグラシアさんが降りて来た。

 忍者ですか!?

 って叫びそうになったけど、流石に堪える。

 その代わりにどうやったら逆さまから降りても普通に着地出来るのか、遣り方は話して貰えないかな?とジーと目に力を籠めて訴えてみよう。

 って思ったら、何故かジト~とした目でニキ様に睨まれた。

 …何故だ。ちょっと忍者みたいで格好いいって思っただけなのに!もしかしたら此れから真似してやるって思われてる?とケイン様を見てみたら、ニキ様を見て苦笑していた。

 いや、子供じゃないんだから真似はしないよ。

 …イマハネ。


「天井の方も大丈夫ですが、表は完全に見張られて居ますね」


 パンパンパンッと両肩を叩いて塵を落としながらグラシアさんが此方の部屋に入って来ると、宿の外の方から何人かの気配がする。


「やぁね。無粋だわ」


「えーと、これは一体?」


 もしかして見張られてる?


「その通りだね~」


 のほほんと答えるケイン様は先程閉じたカーテンの隙間から外を凝視し、「ん~四人かな」と呟いて居る。


「レナちゃん、これはね簡単に言うと私達監視されちゃっているのよね」


 ――は?


 いやいやいや、何で!

 何がどうしてこうなったし!?


「あ~あ~私近くの街で降ろして貰う予定だったけど、この分だと無理そうねぇ。ここの街だと追々面倒事が増えそうだわ」


 チッてその艶やかな姿からは想像も出来ない程に悪態を付くモニカ様、そしてグラシアさんが何かをササッと一筆書いて護衛さんに「後は任せましたよ」と一言いった後に部屋を辞して行こうとする。


「ちょっと待ってグラシア、詰所は恐らく真っ黒で無理だろうけど傭兵ギルドと商業ギルドのどちらかはまともな筈。連絡をして貰えないかしら?」


「ふむ、この場合はここの商業ギルドは止めて置きましょう。ここの領主の手の者が居る筈ですので」


 領主?ってことは…


「そ。レナの想像通り。ここの領主であるカーモード子爵家はロドリゲス家の子飼いの奴でな、ロドリゲス家同様あまり良い噂は聞かないな」


 ニキ様それって…

 ロリコンって事ですか?と咄嗟に聞いてしまったら違う違うと苦笑付きで否定された。

「成程、レナの良い噂を聞かないって事=ロリコンか」と納得しないで下さいねニキ様。ただ単にロドリゲス家と聞くとゲシュウのお陰でロリコンと問答無用でインプットされているだけですよ。


「恐らくだけど~、今回の盗賊騒動も裏で繋がって居る可能性があるんだよね。今は情報が足りないから詳細には掴めていないけど、予想として~1.街の詰所に勤めている騎士達と盗賊が繋がって居る。2.ロドリゲス家の子飼いのカーモード子爵が盗賊共と裏で繋がって居る。3.カーモード子爵がレナちゃんとデュシーを勘違いし、盗賊を使って襲わせた。何てのが考え付くけど、他にもまだまだ考えられるんだよね~」


 ぐげぇ、何てことにっ

 姉を探して急いで移動しなければ為らないのに、ココでもしかして足止め!?


「そうならない様に急いで状況を把握して来ます。皆様はこの宿から明日の朝迄動かない様に。では、明日」


 そう言って一度ニッとまるで悪戯っ子が悪戯をする前の様に笑い、グラシアさんは部屋を音も無く出て行った。

 シーンと一瞬静まった部屋にメイドさんの声が掛かる。


「食事は毒等は一切御座いません。ですが飲み水に睡眠薬が入っております。…申し訳ありませんが後は宜しくお願い致します」


 そう言うとメイドさんはその場でコテンと首が傾き、椅子に座ったまま微かな寝息を立てて眠ってしまった。


「…宿も危険かもね」


「飲み水だから厨房の人だけって可能性もあるけど、配送して来た使用人の可能性もあるか~」


「ま、アレやっとくか」


 モニカ様にケイン様、最後にニキ様が話した後、ニキ様が次々と懐からオレンジ色の…おお?初めて見たけどもしかして?


「魔道具だ。学園に学びに来てれば習得出来るがな」


「ニキ~それ違うって、習得できるのは優秀でないと無理だよ。しかも1年未満で出来ちゃうって恐ろしいよ?」


 んん?という事は…


「違う違う。俺の持ってるのはユウナレスカ作だ」


「あの第二王子様桁違いの天才児だからね~普段はユリア様のストーカーだけど」


 ぶはっ。

 確かにゲームでもユウナレスカ様は魔道具の天才児として名高い地位を確立しつつあるって設定だったけど、1年の時からその片鱗は既にあるのね。

 そして既に、攻略対象者の一部からユリア様のストーカーと認知されている第二王子様って大丈夫なのかこの国は。ある意味平和な気がするけども。


 すると護衛の男性…えーとそう言えば名前聞いて無いな、なんて思って居るとスッとその彼がドア付近迄移動して口に手をあて、皆にシ~と…いやいや、消音の魔法使ってたジャナイデスカ?


「あ、そうか」


 って困った顔をして首の後ろをコリコリと掻いている様はチョット可愛いんですけど。

 何ですかこの護衛さん。

 男性の癖に妙に声…ん?ん?んー!?


「すいません女性です…」


 ひぇえええええっ!

 此方こそごめんなさいいいいいいっ!


 先程盗賊団が放った矢を何十本も打ち返したりして相当な凄腕だったし、顔もとても整って居て綺麗だったから(攻略対象者よりは少し落ちるけど)ちょいイケメンって思って居たのだけど、まさか女性だったとは!平に、ひらにお詫び申し上げます~!


「え、えと…私、男性には良く間違われるので気にしておりません」


 照れ臭そうにし始める護衛さん、名はカミーユさんだそうで。

 短く切り揃えたベリーショートの髪型に少しオレンジ掛かった金髪、そして瞳は灰色の色合いをしており、うん、やっぱりイケメンに見える。しかも服装は男装をしているものだから、これ騎士団の服装やら鎧を着させたら某宝○歌劇団の男装の麗人を彷彿とさせる。

 ヤバイ、何それカッコイイ。


 等と私が褒め湛えていると、何だかドンドン不機嫌な顔付になるニキ様。

 それを見て苦笑してニキ様を突いているケイン様。


 …う~ん、何でだとは言わないけどあまり褒めないのがいいのかね?






 先程取り出した魔道具を使って部屋の四隅に置き、起動させて結界を敷く。

 この結界は任意の者しかこの結界の中に入れる事が出来ないらしく、また魔力が高い者が設置するとより強度になるらしい。その為モニカ様が設置し、起動させていく。


 眠ってしまったメイドさんを近くにあるソファーに寝かし付け、水だけは自身で持って来た物にする事と注意されて食事を済ませる。


 護衛さん、もといカミーユさんはさっさと食事を済ませるとドア付近へ移動したり、カーテン付近へ移動したりと忙しない。理由は宿の外で動きがあるかららしいんだけど、消音の魔法のせいで外へは音が漏れない様に為って居る為か、それとも私の元々の察し能力が低いせいか(多分これ)、表の音が全く聞き取れない。


「面倒だから宿全体に結界貼ってやろうかしらん」


 等と吐息と共にモニカ様が詰まらなそうに呟くと、


「それ、意味なくね?」


 等とニキ様が同じく詰まらなそうに呟く。

 こう言う所流石血縁者、似てるなぁって思ってボンヤリ見ていると、


「んじゃ明日も早いし寝よう~」


 とケイン様がそう言って、床に毛布を敷いて…ん?

 もしかして此処で寝るの?


「そう。流石に部屋戻ってしまうと不味いからね。何せただの盗賊団との癒着なら簡単でいいけど、裏でロドリゲス家が絡んでいてレナちゃんを狙って居る可能性もあるからね~。だったら結界を敷いたこの部屋で皆で眠った方が良いよ。あ、レナちゃんはモニカ様と一緒にベッド使ってね。僕達は適当に寝てるから」


 え、でも硬くない?って思っていたら、


「よーし、レナちゃんは私と共にレッツお風呂~!」


 ぐいって腕をモニカ様に引かれた途端あっという間に部屋のお風呂場に連行された。


 …うん、ニキ様や。

 何故か目が合ってしまった途端瞬時に真っ赤になってって、純情ですねぇ。何か変な感想を持ってしまったけど、ユリア様の言って居た言葉が過る。


「男の人って純情で可愛いのよ」って。


 ユウナレスカ様の場合、ユリア様との長年の確執(?)が取れた途端態度が急変し、執着し過ぎて尻尾パタパタワンちゃんからストーカーになってしまったけど。


 確かにニキ様ちょっと可愛いかも…ね。


*次の更新は水曜日になります。


大坂方面の方、大丈夫でしょうか…

震度6弱との事。余震が怖いですが、怪我など無き様に…



良かったら、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m

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