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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
2章 今日も学園はゴタゴタしていますが、学園の外までゴタゴタしていて観賞しようとしてもどうやら無理な様です。
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 昨夜散々な目に遭ったせいか、心配には心配なのだけど早々にベッドに沈んだせいか、翌朝きちんと起床出来たのは幸いだったって言うべきなのか…。

 疲れ切ってしまったから深く考えなくて済んだ事が良かったのだろうけど、あの烏賊の話はちょっと無いでしょケイン様。


 当人はふんふんと鼻歌を歌いつつ、馬車に積み荷を積むのを手伝って居る。そして私は何故かニキ様の叔母様であるモニカ様と共に馬車に乗り込む事になった。


 ちなみにモニカ様は、「どうせ行くなら次の街まで乗せて行って」と馬車に乗り込んでしまった。当然馬車の内部は(内装は兎も角)一般用の為に四人乗りなので満杯になり、護衛の人が馬車の後部へと苦笑しながら移動してくれた。そこ立乗り席なんだよね。辛くなったら交代しますよ~って思って居たら、その護衛さん徐に馬車の手摺に腰掛けて座って居た。


 …た、逞しいな。

 そして長身ならではの技。

 私だと身長が足りないので腰掛ける事が出来ずによっかかるだけになってしまう為、急に動いた時に其処に座って居るのはちょっと危険だ。まして動いている馬車だと怖くて出来ない。


「気にしないで下さい」と言う様に微笑み、ヒラヒラと手を振って居る護衛さん。これってもしかして馬車の後ろに為る事を慣れてるのかも知れないなぁって思って居ると、


「一般の馬車って混んで来るとああして後ろに乗って居る事が多いし、貴族用の馬車でも護衛は後ろに立って乗っている事が多いわね」


 等とモニカ様が教えてくれた。

 来る時の一般用の馬車は幾つか馬車があったからそう混んで居なかったけど、他所の領地へ向かう馬車だとこうした光景がよく見られるのかも知れない。…私はもう少し身長が伸びても出来れば後ろは避けたいなぁ。





 馬車の足は来た時の馬よりも少し遅い。何でも駿馬では無く持久力があり馬力のある馬を選んだらしく、一定のスピードをずっと維持出来るために来た時の様に何度も休憩を挟まなくても良いらしく、朝出発してから今までずっと休憩をしていない。

 ちなみに今はお昼時。そろそろ馬の休憩をした方が良いのでは無いだろうかと思うのだけど、一向に止まる気配が無い。

 お陰で速度はそうでもないが、休憩を挟まない分かなり早い。


「…ニキ」


「ああ、居るな」


 うん?と思って居ると、


「ゴメン、レナちゃんはちょっと頭を下げてようか」


 とモニカ様に頭をぐいっと…え?

 下げた場所にピュンッと矢が!?

 ドカッと音を立てて向かい側の座席に突き刺さっているよっ!


「うふふ、どうしよっかなー暴走しちゃっていい?」


 何かモニカ様が怖い事言ってるけど!?

 そして馬車の後ろに居る護衛さんの方から何やら物騒なカンカンッと言う音とかが聞こえて来るんだけど!?と言うより入って来なくて大丈夫なの!?

 いや寧ろ矢の方向が分かるから其処に居たいって護衛さん~!

 前方の御者のいる方の小窓が開き、グラシアさんがモニカ様に向かって「出ますか?」って。うわ、それってもしかして。


「盗賊?」


「レナちゃんあたーりー」


 ってケイン様腰の剣では無く、何時の間にか弓矢を掲げて表に向かって撃ってるしっ。

 背後の方から「数凡そ27名。うち二名隠れてます」って。あああ、これは盗賊確定だっ!








 * * *







「合計29人か。馬車止めるか?」


 ニキ様がモニカ様向かって問います。


「う~ん私一人でやって(殺して)良いならこのままのが都合が良いわね」


「「了解」」


 ニキ様にグラシアさんが頷いて居ます。

 でもね、モニカ様の「やって」が私には「殺って」に聞こえた気がするんだけど、多分これ間違って居ないんだろうなぁ。モニカ様がどれだけの威力を発揮する魔法を使うのか知らないけど、移転魔法を使うのだからかなり強力な魔法使い、いや魔術師なんじゃないだろうか?


「それじゃ僕が矢を撃たせない為に牽制派手にしとくね~」


 って、何故かケイン様が勝手に矢に魔力を乗っけて撃つと、うわぁ…



 ドォォォンッ!



 と言う派手な音を立て、草原に隠れて撃っていた弓を抱えて居た盗賊達に向けて派手な花火みたいな物を次々に撃ち込んでいく。って、ちょっ、これ過剰じゃない?オーバーキル状態になっているんじゃ?


「あ~向こうの方に何人か魔法使いか魔術師がいるね~。僕の魔法が幾つか打ち消されてるよ」


 って言ってるって事はそれを見越してかな、な、な?そ、そうだと言って欲しいっ

 と言うか既に地形が変形しまくっていて、彼方此方に小規模なクレーターが出来上がって居るんですけど!?


「魔術師か、面倒だな」


 一人何もしてないかと思って居たニキ様が、何やらブツブツ呟いて手から魔力を放出。

 すると後方から「ぎゃあっ」と言う声が上がり、魔術師のローブを羽織って居た人が勢い良く空中にすっ飛んで行ったんですけど、あれは一体?


「良く見ろ、土が急に競り上がって隆起してるだろ?」


 そして次々と魔法使い・魔術師たちを空中に飛ばすニキ様。

 落ちたら骨折とか打ち所によりヤバイ事になってそうだな。

 うん、コワイヨ。

 結構派手に打ち上がっているから…南無南無。


「あ~んもう、あと少ししか居ないじゃない」


 声は色っぽいのだけど、言ってる事がヤバイ発言来ました。

 勿論発言したのはモニカ様です。

 と言うかモニカ様しか居ません、こう言うこと言うの。

 あ、違った。執事の筈の人もイイソウデスネ。


「んじゃいっきまーす!『火焔風雷』!」


 そう言えばニキ様やケイン様は無詠唱なんだな~とか現実逃避していたんですけど、そうしたくなるぐらい目の前の惨状は凄かった。

 いや、凄まじいのかな。

 言い表す言葉が貧相なのは致し方ないと割り切って貰うとして。


「えーと何故火炎と竜巻と雷が渦となってウネッテ居るんですかね?」


 何か生き物みたいでウネウネしていて実に気持ち悪い。

 蛇みたいだよ!

 天空に届けとばかりに竜巻は天高く向かって行くんだけど、その中に入って居る不幸な盗賊達。これ、さっきもオーバーキルと思ったけどどう考えてもオーバーキル越えちゃってるよね?ね?ね?とモニカ様を見ると、


「いや~盛大だね!」


 ホホホって口に手を当てているんですが、もしかしてやり過ぎたって思って居ません?


「大丈夫よ。何人かは自白用に生き残るから…多分」


 …多分っておーい。

 そして何故目を合わせようとしないかな?

 自分でも不味いと思ってません?


「モニカ様、これは後程先代様にご報告せねばなりませんね」


 うげって、今まで淑女然としていたモニカ様のお顔が一気に「やべ!」って崩れたけど?

 そしてニキ様、「とばっちりが来る」ってぼそっと呟いたのは良いけど、ニキ様だってやり過ぎだと思うよ?止めを刺したのはまごう事無きモニカ様ですけども。


「あっはっは~取り敢えずアレ、どうするの?」


 未だぐるぐる視界の席で回って居る竜巻の中、グッタリしている盗賊達。あの竜巻は一体何時止むのやら。そして何時止まるんですか?と問うたら目線をつい~と反らすのは、自分でも分からないのですねモニカ様…。




 死人が居るのは分かって居たのだけど、「レナはここから出るな」とニキ様やケイン様にグラシアさんに言われ、馬車の中で一人ぽつんとお留守番。

 皆が私に気を使って居るのが分かるのだけど、もし今後私が学園に入学したならば将来魔法関係の職業か、フォーカス様が言って居た対魔術師関係の騎士団に配属されるだろうから将来こう言った事柄は慣れていた方が良いんだろうと思う。

 けど私が何か言う前に皆に「待ってて」と言われてしまい、その気遣いに申し訳無く思いつつ大人しく待つ事にした。


 それに私将来どうするかって決めて無いんだよね。

 私としてはこのまま学園の厨房で働いて、この手に技術を仕込んで一人前になるってのが当初の目標であり理想であったのだけど、今は更に選択肢が増えつつある。


 先程馬車でモニカ様と話していた時、私の特異性である相手の魔力を吸う能力と身体能力アップの魔法の話をニキ様から聞き、モニカ様が俄然「我が魔術師団に!」って燃え出してしまったからだ。それに魔術師団に配属されれば生涯死ぬまで食いっパグれることは無くなるらしく、高待遇に為るのだとか。だからこそモニカ様は伯爵令嬢であったのにも関わらず、魔術師団に希望して入団したのだと言う。


「でもよ、魔術師団に配属されると婚期が遅れるって噂で持ちきりらしいぞ。だから、その「それは私に対する嫌味?」えええ!?」


 一旦モニカ様の話が終わった途端、何故かニキ様が乗り出してこう話し出してしまい…その後の展開はまぁ、ニキ様の自業自得だとして。是非、モニカ様の鉄拳を思う存分味わって下さい。

 そして、モニカ様独身か。

 この世界の女性の貴族って婚期は成人の16歳から24歳位までだからモニカ様は…あ、睨まないで下さいっ!と、兎に角それならそれで別に良いかな。実家がアレだから色々大変だろうし、ド田舎貧乏男爵家の三女だから実家からの支援なんて何もないのは分かり切って居るし。思いきって所属してしまえば、ロドリゲス家からの追及も逃れられるなら良いかなぁって思って居たら、


「それは現段階だとちょっと無理かもね…」


 とモニカ様困惑中。


 ロドリゲス家が伯爵家な事もあり、爵位持ちの特権を使ってしまえば下手すると拉致同然に連れ去られる可能性がとても高くなると。

 …うえ、それはとても嫌過ぎる。


「その場合はだが、成人前ぐらいでレナが婚約、もしくは成人後に結婚してしまえば相手も手出し出来なくなるが…」


 ニキ様えらい真剣に身を乗り出して来たけど、ねぇ…。

 前世の記憶もちの私としては、13歳で婚約とか結婚って言われてもピンと来ないなぁ。


 最も(めかけ)が一番ぴんと来ないのだけど。


「どの道ロドリゲス家が諦めるか、それとも何らかの不都合が起きない限り無理だろうねぇ~」


 ってケイン様。

 現在ロドリゲス家は貴族の間に良からぬ噂がたっており、姉のデュシー姉さんの件で今は表立って私の捜索はしていない様だけど、未だにロリコン伯爵跡取り息子であるゲシュウ・ロドリゲスは私の事を諦めて居ないらしい。


 …くそう親父め。何処までも祟って来やがる。


6/16 ニキ&モニカの台詞一部変更。


少しでも面白いよ!次も宜しく!と思って頂けたら、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m



領民G「すっかり夏じゃの~」


領民B「おやG、休憩かの?」

領民G「流石にこう暑くてはの。畑仕事も時折休まんとの~」

領民C「G茶を持って来たぞ」

領民A「儂はトマトを持って来たぞ、食わんか?」

領民G「おお、有り難く頂くのじゃ」



領民A「それにしてももう夏じゃの」

領民B「そうじゃの、蚊が飛ぶが儂ら年寄りじゃから若いのにばかり向かうの」

領民C「じゃな、先日領主の畑仕事手伝っとったら、見事に領主にばかり蚊が向かっとったの」

領民G「ほう」

領民C「見事に刺されまくっとったわ。いやはや…」



領民ABCG『…(何だか妙にスッとするのは気のせいかの…)』



領主「ハックション!」

長男「親父風邪か?」

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