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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
2章 今日も学園はゴタゴタしていますが、学園の外までゴタゴタしていて観賞しようとしてもどうやら無理な様です。
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 7月夏。

 暑い。蝉も暑すぎて樹から落ち、日陰に移動してたのを見てしまったって、文字に書くと中々シュールだよね。

 そして相変わらず次女のデュシー姉さんは見つかって居ない。


「レナちゃーんこれおねがーい」


「はーい!」


 心配の種は尽きないが、私は相変わらず元気で何時も通りに学園の厨房で働いて居る。

 あの後、念願の牛乳を飲めたので休日の早朝の温泉通いは終了。

 だけど何故か休日前とかになるとニキ様やケイン様から市井にいこー!とか、ケイン様のハーブ園でのお誘いが入る。

 この間等ケイン様に誘われて向かったら、厨房のおば様達に混じって何故かユウナレスカ様とユリア様の二人まで居て、摘み立ての瑞々しいハーブ茶を堪能させて貰った。

 その際ニキ様が事情があって遅れて来て、その後何故か付いて来たフォーカス様まで混じって皆でハーブを堪能できた。


「手を切らないようにね」


「はい!」


 段ボール箱一杯のジャガイモを渡され、いざ、皮むき作業開始。

 厨房の端っこで一人黙々と作業するんだけど、横に何時の間にかビビーネおば様が椅子を持って来て隣に越し掛ける。そしておば様はボールに卵を幾つも割った後、お酢油塩胡椒等の調味料を入れて一心不乱にかき混ぜ始める。

 手作りマヨネーズ作成作業の開始です。これって腕が痛くなるんだよね~。


「レナちゃん」


「はい」


「誰が好きなの?」


「はい?」


 いけない、もう少しで皮を剥いて居たジャガイモを落としそうになった。

 そして盛大に吹き出さなかった私を褒めてやりたい。


「ん~直球過ぎたかしら?」


「いやいやいや、何の話です?」


「やーねー、ケインちゃんとかニキちゃんとかフォーカスちゃんとかより取り見取りじゃない?」


「…あり得ません。」


 あらあらと苦笑されたビビーネおば様にむ~と口を尖らす。

 そもそも一般市民として私はココに居るわけで、貴族のお坊ちゃんとは友達関係とフォーカス様は学園の職員仲間でしょうに。


「フォーカスちゃんは年齢が離れ過ぎているからちょっと怖いけどね~」


 そのフォーカス様をうちの末妹はどうやら狙って居る様ですよ。末オソロシイデス。

 しかし年齢ってどの位離れて居るんだろう。軽く私とは10歳は離れて居ると思って居るんだけど、よく分からないんだよね。


「で、誰?」


 ビビーネおば様や、そんなワクワクした顔で見られても成人前のお子様な私は恋愛感情なんてまだまだ早いですよ。それよりなら早いトコ一人前になり、成人して自立出来る大人になる様に努力して居るのですから。


「あらあら、ん、も~レナちゃんは可愛いんだから」


 うふふって笑っておば様に軽く頭を撫でられる。

 それに今は恋愛感情云々なんて気分は無い。

 次女のデュシー姉さんの事が気に為って仕方が無いのだから。




 

 シドニー姉さんの所に届いた噂や情報を掻き集めると、次女のデュシー姉さんの事が徐々に分かって来た。


 妊娠してからゲシュウ・ロドリゲスは次女が住む家には通わなくなった。何時もなら食材やら何やらとデュシー姉さんの所に届いて居たのが急に停止したのだ。どうやら他に新しい愛人か何かを囲い出し、其方に掛かりっきりになったと。

 元々金銭を貰って居なかったらしいデュシー姉さんは、近所の人の証言だと日増しにドンドンやつれて行き、出産後に警備が手薄になった家から飛び出し、それっきり帰って来なくなったらしい。


 一応出産する迄は近隣の人が憐れんで差し入れや御裾分けをしていたとの情報もある。

 ゲシュウ・ロドリゲスは妾になった姉を何だと思って居るのか。

 一度手を付けたら後はどうでも良いと思って居るのか?

 腹立たしい。

 




 一頻り作業が終わってビビーネおば様の追及(?)も軽く逸らし、途中厨房のおば様達から生暖かい眼差しで見られるのでなんでじゃ~?と思った先、ふと気に為ったのでとある一角に目線を動かす。するとニキ様が此方をじー…と見ていた。

 やめい。おば様達が益々誤解するだろ。あとその目、ちょっと真剣過ぎて怖いよ。

 そんな状態のニキ様の隣にいたケイン様が苦笑しながら此方に手を振り、傍に寄って来た。


「ごめーん皆、ちょっと大事な用事があるからレナちゃん借りていい~?」


「はいはーいどぞ。レナ~少し休憩してらっしゃい」


 はいと返事をして10分程の休憩を貰う。

 今はお昼前の11時頃で、この後カフェテラス(厨房)は学生たちの怒涛の戦場になるので早々に戻りたい所だ。




 呼ばれて向かう途中でふと思う。

 7月に入った事で隣町である港がある町までの線路が開通し、蒸気機関車が両街の運搬を開始した。同時に急激な時間短縮により、今迄港町まで馬車で六時間以上掛かる時間が二時間程度となり、一気に街が活性化された。

 無論機関車が通る箇所に魔物が出ないとは言えないが、運搬通路には常時騎士団や臨時の傭兵等が警備をしており、冒険者達には付近の魔物の討伐依頼を王家と港町の領主の双方が出しており、他の街の冒険者達等も沢山出入りし始めた様だ。


 しかも港町と言えば魚介類と言う程に一気に新鮮な海産物が輸送されるようになり、王都は今海産物フィーバー中。当然厨房も今月になってから一気に海産物フィーバーとなっており、魚介類の大量に入ったスープがバカ売れしている。そして港と言えば輸入品。今迄王都に入っても高価だった南国のフルーツが比較的安く手に入る様に為り、ユウナレスカ様が早速跳び付いて色々なフルーツに手を出している。ほんっとーに甘い物好きだよね、ユウナレスカ様。ただ食べ方が分からなくて時折困惑してマンゴーらしき物をそのまま噛り付いてしまい、傍に居たニキ様に呆れられてしまって居たのは中々面白い構図でした。

 その後ユリア様に何処から知識を仕入れたのか綺麗に皮を剥かれたのを頂いて一口齧り、目をまん丸くして嬉しそうに食べていたのがとても印象的でした。厨房のおば様達と共にほのぼのしちゃったよ。


 しかし機関車か。前世で言うヨーロッパの産業革命みたいだな~なんて思ったけど、そこの辺りの知識が乏しくて良く思い出せない。

 ただ蒸気機関車の公害は既に出始めているらしく、線路脇に住む住人達は洗濯物に煤が上がり主婦は室内で干す事を義務付けられてしまい困って居る様だ。この分なら恐らく近い内に洗濯を専門とする職業が発展するかも知れない。

 もしくは洗濯石鹸の発展かも。







 * * *







「授業が終わってからでも良かったんだけど」


 と、何故かケイン様が勿体ぶった様に話す。

 場所は厨房から少し離れて食堂の中。

 この時間帯は他に生徒が来ない様にカフェテラスの入口は普段は閉鎖している。開始時刻が11時50分前後となって居るので広い室内は静まり返って…は、無理か。厨房からの忙しそうな音がどうしても聞こえて来る。


「それだとレナが何時終わるか知らないからな」


 ケイン様がうんうんと頷く。

 何時もなら午後三時くらいには終わるのだけど、ゴミ捨て当番や業者さんによって若干のずれがあったりし、最終的に4時位に終わる時もあるので確かにと頷く。


「レナちゃんの仕事が終わったらちょっとお姉さんのお店に行っていいかな?」


「シドニー姉さんの所ですか?」


「うん、聞きたいことがあるからね」


「はい、良いですけど何か御用ですか?」


「そそ。まぁ詳しくはお店に行ってから話すよ」


 という事で仕事が終わった後に三人で姉の所に向かう事になった。









 * * *









「すまん遅れた!」


 職員用の玄関で待って居ると、ニキ様の馬車が大慌てで走って来る。

 そのまま何故かニキ様に急かされて馬車に乗り込む事になったのだけど、私が乗って良いのだろうか?


「気にしないで~」


 なんてのんびりした声がした方を向くと、ケイン様がクスクス笑いながら馬車の座席に座って居た。


「出先に学園に復帰したばかりのメメントリー準男爵令嬢に捕まってね。躱すのに苦労したよ」


 クスクスクスと笑うケイン様にニキ様はぶすっとした顔をする。

 私が乗り込んだ事により馬車は出発するのだが、通りに面したドアのカーテンをニキ様は閉めてしまったので外が見れなくなった。何故閉めるだろうと思ったのだけど、恐らくそれは私に配慮してなのだろう。一応男爵家の三女とは言え、私はこの王都では一般人として在籍している。実際このまま実家に帰らずに成人してしまえばほぼただの一市民になる。

 実家の問題とかシガラミとかはあるけど、ね。


「あ~悪いけど外が見えないのは我慢してくれ。メメントリーの派閥の奴らにレナが見付かると面倒だからな」


「あの娘達は悪い娘じゃないんだけど、ちょっと過激だからね」


 爵位が無い娘がモイスト家の馬車に共に乗り込んだと知ると、厨房に居るレナに良からぬ行為を仕掛ける可能性がある。それじゃなくてもアメリー・メメントリー準男爵令嬢は二度も学園でやらかしてるし、シモーネ・キャムデン辺境伯伯爵令嬢の派閥の娘に見付かるのも良くないしね。とケイン様に言われて血の気が引く。


 そ、そう言えば私爵位が無いって事になってるから尚更やばいー!?


「ま、学園の職員のレナに手を出そうとするアホは大抵居ないけどな」


「そうそう、学園しかも厨房にいればほぼ守られるしね」


 えええ?何故!?


「あれ聞いて無い?厨房にいるおば様方に一人凄い人が居るじゃないか」


 はい?


「ビビーネさん、あの人伯爵家の妹君でね。今は爵位が無い方に嫁いでいるから苗字は無いけど、ビビーネさんの親戚が侯爵家の人なんだよ」


 はいぃぃ!?


「当人は爵位とかどうでも良いって言う人でさ~」


「何せ我が国の王家の血筋は変わってるからな」


 ん?王家?


「ああ、ビビーネさんの血筋は何代か前に王家の血筋が入ってるんだよ。ほら、誰かさん思い出さない?」


 フォーカス様ですね、ワカリマス。

 と言うか我が国は何故か学園に基本自由な人が多すぎますよ…。


「学園って言う特殊空間だから許されるって言ってたな」


「確かにね。フォーカス様のお兄さん、冒険者になるって時は相当大騒ぎされたし。その反動でフォーカス様が用務員になるって時は「王都に残るならどうぞどうぞ」って感じになっちゃったらしいよ」


 ケイン様がケラケラ笑いながらあっけらかんと話すけど、それで良いのか。

 そしてニキ様は「既に諦めの極致に陥ってるよなっ」て、ほんとそれで良いのか王家…。


 そして自由人のフォーカス様のお兄様、冒険者になって世界を股に掛けて彼方此方旅をして人生を謳歌しているらしい。何とも羨ましい。私も実家の件や姉の件が無ければ何も気にせずに旅行してみたいよ。今は心配事があり過ぎて無理だけどね。


「そう言えばそろそろ帰って来るかもしれないね」


「近頃王都が活性化してるからな」


「冒険者も増えて来てるし、一気に仕事も多いからね」


 先程も思ったけど、港町からの蒸気機関車のせいで普通の市民達が旅行等も比較的気軽に出来る様になって来た為に人の流れが圧倒的に増えて来て、代わりに線路の調整やらその護衛やらと言った今迄無かった仕事などが増えて来る様になった。

 その分新たなビジネスが発生して来ているらしい。


「ちょっと頭の良い冒険者とか学園出身者のOBとかがチーム組んでね、面白いビジネスを発案しているらしいよね」


「何でも南国の穀物?だっけか?まだ食べたことが無いから良く分からないが、変わった食品を制作しているらしい。八月か九月辺りに販売が始まるらしいぞ」


「確かカレーだったっけ?辛い食べ物らしいよね」


「後はチョコを使った品だそうだ」


 へー…って、うわ、それって港町に蒸気機関車が開通した事により起こるゲーム中のイベントと酷似してる。ゲームではそのイベント中で確か…


「お、着いたみたいだな。降りるぞ」


 そうしてニキ様達に急かされる様に降りた場所は、姉の嫁ぎ先の店の前だった。



 * * *


当初ユウナレスカがかじりついた果物はマンゴーでは無く、ライチでした。が、ライチのビジュアル的にかじるのは無いかな?と思い変更しております。

ちょっと体調崩していて更新率下がります。

すいませんm(__)m


こんなんでも面白いよ!次も宜しく!と思って頂けたら、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します。



領民ABC「「「…」」」

領民G「何してるんじゃお前達?」

領民A「いやのう、領主の所のジーニアス坊っちゃんから世話になったお礼にと届けられたんじゃがの。勿論商業ギルドから秘密だよって儂ら宛にの」

領民B「だがのぅ、何なのかわからんのじゃ~」

領民C「果物?らしいんじゃ」

領民G「黄色いの…取り合えず皮むくかの?」

領民A「だのぅ、どれ」

領民B「変わった匂いだの」

領民A「ほれ、むけたぞ。一口大で取り合えずよかろ。ほい、各自取れ」

領民BCG「「「どれどれ……うまいっ!」」」

領民A「甘いの~」

領民B「滑らかじゃ。儂こんな甘いの食べたの初めてじゃ」

領民C「儂もじゃ~!」

領民G「都会は凄いのぅ、こんな旨い物があるんじゃの」

領民ABCG「「「「…」」」」


領民A「逢いたくなるのぅ」

領民B「そうじゃな」

領民C「旨かったのぅ、奥方様にも食わせてやりたいのぅ…」

領民G「だが逢いに行くのは無理な話じゃ。どれ、商人達が居る内に御礼の手紙でも出すかの」

領民B「だな」

領民A「だがその前に何時ものやるかのやりたいのぅ」

領民C「今日はこのジーニアス坊っちゃんの手紙にやらんかの?」

領民G「よし、やるかの」

領民ABCG「「「「どうか儂らがハゲませんよーに!」」」」



領主「今日も無しか…」

長男「(そんなに拝んで欲しいのか…)」



*注意*領民が食べたのはバナナです。

マンゴーは配達途中で完熟するかと…

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