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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
6章 今日も隣国はゴタゴタしておりますが、隣国だと乙女ゲームの舞台を鑑賞させて頂けないので萎えています。
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乙女ゲームのヒロイン(仮)だった筈だが、現在聖女候補の下っ端の見習い(仮)で乙女ゲーム的にも何処からどう見てもモブになってしまったとある少女の日常&決意と懺悔。

お久しぶりで御座います。ご無沙汰しております。

m(_ _)m


 

「はぁ~…」


 青い空の下。

 王都にある比較的治安の良い場所に建てられている、教会と呼ばれている建設物のある場所。その場所の裏庭にある洗濯場…その場所で聖女候補としている私は膝を曲げて地べたに直接座り込み、大空を見上げる。


 只今某乙女ゲームのヒロインの容姿をしている私、アメリー・メメントリー準男爵令嬢は一人で大量の洗濯物を真横に置き、無意識に溜息が出る。

 溜息を吐くと幸せが逃げると言うと言うのはこの世界でも同じらしく、某厨房に務めていた一つ年下の少女が乙女ゲームの攻略対象者である少年に話して居たのを小耳に挟んだことがある。


 そう、乙女ゲーム。


 私は多分だけど、この世界を『知っている』。

 乙女ゲームを元に作られた世界なのか、はたまた似通っただけの世界なのかまでは判断はつかない。何せ神ではなく、元は普通の人間だったのだから当然ってワケ。

 知っているって部分なんて、ほんの少しぐらいで。前世で楽しんでいた乙女ゲームの一つである物語の世界であると言うこと程度。

 ただ嵌ったせいで何度もプレイを重ねたため、イベント等を覚えている。


 等と考えると『知っている』では無く、『知っていた』になるのかも知れない。


 ただ未だに肝心要の乙女ゲームの名前が思い出せないのだけど、それは些細なことよね。



 そして。

 つい最近、その物語が乙女ゲームの世界とは『似て非なる世界』であると言うことも理解した。いや、この世界そのものに『理解させられた』。



 だ~って、ねぇ?学園の一学年から三学年と言う【三年間】と言う時間を掛けて行うイベントが、どういうわけか『一年』と言う短期間に立て続けに乱立しているのってどうなのよ?

 しかも!どう見ても考えても、乙女ゲームのヒロインの容姿である筈!の主要人物の私がモブの世界。

 と言うか、悪役?とハテナを頭に浮かべてしまう程度の微妙な設定の三下役。


 それってとっても、とても、泣きたくなるぐらい微妙…。


 私の今までのこの世界の役柄ってさ、『芦屋道満大内鑑』(浄瑠璃作品。芦屋道満・葛の葉・安倍晴明で有名)に出て来る石川悪右衛門みたいに執念深く悪行に徹して居る様に感じるのよね…。

 しかも中途半端に微妙設定で、悪右衛門の様に完全な悪役では無い方向で。

 むしろチョイ役の悪者役。



 役柄は全く違うし、執念深く追い掛けるような真似は…た、多分していない。初期の頃はあったけど、そ、ソ、そそ~の、その時は【乙女ゲームの世界】だと思っていたし!?

 私がこの世界のヒロインだって、信じていたの。



 でも、ねぇ…。



 何ていうか、こう。

 悪左衛門は完全悪役だけど、私の場合は彼の10分のイチも活躍して居ないって言うか、物語に華を添えて居ないと言うか。

 小物感満載と言うか。

 と言うかそのまんま小物。

 元に今、物語のヒーロー達は私の存在を道端の小石の存在としてしか認識せず、どんどん私を置いて物語を進めて行っている。

 しかも三年間を一年でと言う凝縮された状態で、加速気味に。



 もうコレってあれでしょ!

 この世界ってIFの世界でしょう!?!!??

 前世で言うところの悪役令嬢の役の子が、困難に立ち向かって立場を大逆転させて満塁ホームランしちゃうって言う感じの『ライトノベル』の世界でしょうぅぅぅ~!!!


 そんなの、私がどうやっても太刀打ち出来ないじゃないわ~!!!!



 何処からどう考えてもそうとしか思えないわっ。

 本来の【乙女ゲーム】の世界ならば、ヒロインの立場は不動。

 だけど私は今現在何処からどう見ても、



 この世界の【モブ】。

 しかも微妙立場って言う状態。



「はぁぁ~…もう、ほんっとーに、本当に!やんなっちゃう」



 もう何度目かの溜息を吐き、あら嫌だわ、強風が吹いてきたのかしら。

 目が急に潤んで来たわ。

 …いや、これってまさか目から鼻水かしら。

 いやぁね、年かしら。

 今の年齢はまだ十代なのだけどな~あはは…。

 前世プラスすると結構な年齢なのよね、考えないようにしていたけど。


 うわ、こういう時に限ってどうして垣根の合間から此方を伺う人と目が合っちゃうかな。目から水が出ている姿を見せたくないのに。

 何だか心配そうに此方を伺っては居るけど、あの人が着ている服装から間違いなくこの王都に所属している騎士団の人だわ。

 本来なら所属や階級を表すワッペンのような刺繍が縫い付けられているのだけど、遠目だからか縫い付けられて居るようには見えない。恐らく新人の見習いか、下位の者か。それとも私の監視役だろうか。



「あの女の子泣いているみたいだが?」


「おい」


「ああ大丈夫わかっているって、様子を見ているだけだ」



 はぁ、王家や高位貴族の子息達に迷惑を掛けてしまったツケが回っているわ~。

 あの二人の台詞から監視役だって言うことが丸わかり。

 と言うか、決定、確定、お疲れ様。


 この場所に送られていても、未だに信用されて居ないというワケかぁ。


 よく考えてみればそれはそうだわ。


 私の父親が1代限りの準男爵という下級貴族とは言え、その娘である私の身分は誰がどう見ても一般市民。貴族でも何でも無い、そこらに居る一般市民な少女。

 それなのに無理して学園で何処からどう見てもお貴族様ターゲット品を着込んで、貴族です!と、アピール状態を学園で演じていたわけで。


 一般市民の少女はそんな高価な商品等買えない&着ないのに、父親が『娘が良い結婚相手に巡り会えるように』と無理をして頑張ってくれたお陰で学園に入る際辛うじて数枚のみ持たせてくれた。


 これって=貴族のお相手が出来ますようにと言うことなのだと思う。

 多分だけど父親のことだから、結婚相手が少しでもお金がある相手が見つかりますように、もしくは好青年に巡り会えるようにと考えたことなのだろう。父の性格から考えて、溺愛とまではいかないけれど私って結構可愛がられて居たから。



 とは言え当然下級貴族な身の上。

 そんな状態なのだから当然、中古のドレス。

 単価も恐らく安い品なのだろう。

 多分だけど下級貴族の中古品なのだろうと思う。

 だって、目の前でみたユリア侯爵令嬢のドレスと比べたら…っ!

 月とスッポン。

 天女と亀。

 勿論亀は私。むしろ人でさえ無いわ。


 そんな学園での下位の地位の更に下という立場でありながら、あろうことかこの国の一番である第二王子や高位貴族の子息達を見定め、ターゲットを絞って何度も絡み付いてしまった。

 しかもウザ絡み。



「(完ッ全ッな、黒歴史!!身の程を知れ自分!!!)」



 自分アホや!

 完璧な道化や!

 思わずエセ方便でるけど、これって何処の言葉だったかもう覚えていないわ!!


 そして有難うお父様!

 今更だけど無理して綺麗なドレス購入してくれて、ほんっとーに有難う!

 高かったでしょう?

 私を思ってくれたのよね…。


 でも御免なさい。馬鹿な私のせいで恥を掻かせてしまったわ…。


 私、少し前まで本当に何をしていたのやら…。



 ユウナレスカ様にユリア様、ケイン様にニキ様、それにアレス様には何とかお詫びのお手紙を出そう。迷惑掛けっぱなしで詫びの一つも入れられないなんて、良くない。


 何か悪いことを考えていそうだって思われる可能性が高いけれど、誠心誠意心を込めてお詫びしよう。

 第二王子様のユウナレスカ様には直接手紙は届けられないかも知れないけれど、それでも伝えておくべきだわ。…側近に破り捨て去られる様な気もするけど。形だけでも残しておけば少しはまし。

 少なくとも、私の心だけは多少は軽くなる。



 黒歴史は拭えないけれどね……。




「と言うか、この国の王族相手に手紙って届くのかしら……」



 届きそうにないような気がする。

 人伝にするしかないかな、考えれば考える程気が重い。



 教会の裏庭、と言ってもこの場所は市民に開放されている場所の街の洗濯場でもあるので、少し離れた先に居る先程の二人に書いた手紙を無理矢理渡すという手もある。無論悪手だけど。



「最終手段はそれで行くか」



 開き直りって大事よね。

 と言ってもケイン様宛の手紙にユウナレスカ様宛の手紙も同封しておくのが一番穏やかな手段なので、その手を使わせて貰う予定。

 ケイン様には手間を掛けさせて申し訳ないけれど、一番波風が立たないと現時点では思う。その際ユウナレスカ様の婚約者のユリア・ブルックストン様宛のお手紙も同封した方が良いかも知れない。ユリア様のお父様って娘に甘いと言う噂を以前聞いたことがあるから、私からの手紙だとユリア様に届かないかも知れないし。

 それを言ったらニキ様もだけど、彼処の家系は無骨…ごほん。多分王都のタウンハウス宛なら大丈夫だと思う。もしくは学校の寮宛。



「そう言えばアレクサ様、うん。アレクサ様には特に迷惑は掛けてないからまぁ、ねぇ…」



 此方は謝罪の手紙は要らないだろう。

 むしろ驚かされたのは此方の方。

 そしてアレクサ様の騒動が強烈過ぎて忘れていたが、ジン様も謝っておかないと。

 …むしろ此方が謝って欲しい気がするが、それはそれだ。迷惑を掛けたのだから謝罪をしないと駄目よね。

 それにしても、アレクサ様がなぁ。



「一番の推しメンだったのになぁ~」



 盛大な溜息を付き、自身の横に置いてある洗濯籠に視線を向け、さっさと洗っちゃいますかと独り言を呟く。


 そんな一人の少女の様子を影から伺っていた監視役の二人組は、



「コレなら早いうちに俺等はお役御免になるかな」


「とは言え気を抜くのは」


「わかってるって」



 等と言う話を小声でしているのを、乙女ゲームの『元ヒロイン』だった少女はまだ知らない。


 勿論今後も知ることは無いだろう。



健康面の悪化&身内の死と諸々あり、暫くおやすみしておりました。

年内更新はこれで最後となります。


当分の間、諸々の処分等細かい作業があるため暫く更新が出来ません。

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