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大変遅れてスイマセンでした゜゜゜(゜´ω`゜)゜。ピー
物凄い難産&短め。ほんとすいません・・・。。。
「ヒッ」
「クソッ!」
ヒュンッと耳元を掠める何か。
掠めた次の瞬間カッツという音を背後に聞きながら、脇目も振らずに私達は家と家の狭い道である路地裏を全力疾走で右に、左にとジグザクに避けながらひたすら走る。
ただ走っているわけではない、全力で逃走していると言えるほど必死に逃走中。お陰で先程からダラダラと汗を流しているのだが、拭う暇等一切ない。
そして私達、つまりー…アレクサ様に何故か手を確りと握られて、走り込んで居るために息も絶え絶えになりながらもただヒタスラ逃げ惑っている。
イヤ、なんで手を握るか。
すげー汗ばんでいますが、勿論お互いに。
幸いなことに『恋人握り』でなかったことぐらいか。
と言うか今すぐその手を離せや、マジで。
出来ることなら掴まれているこの手を「どっこいせ」とそのまま力強く下に力を入れて引き寄せて上体が傾いた所で頭突きをし、怯んだすきに一本背負い投げを決めつけてやりたいが残念なことに現在それどころではない。
と言うかやっている最中にお陀仏になっている状態だろう。
「(相手も素早いな)」
この何処か他人事の様に聞こえる声は、勿論姿を消しているらしい?アレス・バーンド様。私の斜め背後、同じ様に走っている筈なのに何故か汗一つかかず、背後に居る敵の方向を向いたままの状態で走っています。
つまり後ろ向きの状態。
その様な姿勢なのにも関わらず、「何ともありません」と言う表情のまま、何故付いてくるのだろうと突っ込みたい。
「うわーん、こわいこわい、とってもこわいいいい~!」
透明化が解けてしまっている?せいで、現在ハッキリとその姿が見える狐獣人の美少年ドミニク君が半狂乱になって泣き叫びながら、私の数歩後ろに血相を変えて走って居る。
居るのはいい。
美少年だし、何より目の憩い。
どうみても美少女のようにしか見えないのもまた一興。
だけど彼は路地を走り去る際、空箱や木箱に立て掛けてある柱などを次々と刺客へと全力で投げ付けている。因みにこれ、無自覚らしいです。しかもほぼ全弾刺客にクリーンヒットして撃墜されている。
今も何人目だか忘れたけど、一人激突して地面に沈んだ。
南無~…って、呑気に思っている間にまた投げナイフらしきモノが過ぎっていったよ!
ドミニク君じゃないけど、怖いわぁああああ!
「(ドムは自覚すると反撃出来なくなるからそのままで頼む)」
と言いながら、アレス様は時折黒い物体を背後に投げ付けている。
うーん色が黒いからこれって闇系魔法?
残念ながらまだちゃんと魔法の勉強していないから、魔法のことは良くわからないのよね。何せ令嬢教育を詰め込んでいて、更には私の魔法って肉体強化魔法と、魔力を吸う特殊魔法だからってコトで無理矢理頭に詰め込んでいる内容が肉体強化魔法のお浚い程度なのよね…。
他は全てダンスやら姿勢やら喋り方等の『貴族のご令嬢』教育詰め込みオンリー。
幾ら時間が無いからって、もっとちゃんと勉強しておけば良かった。
と言うかその、ドミニク君?今路地に立て掛けてある手押し車を片手で持ち上げて、「ふんっ!」って屋根に居る刺客に放り投げたよね!?「ぐぎゃあ」って刺客さんが三名悲鳴を上げて屋根から地上に頭から落下して来たよ。
…当然手押し車の下敷きになって。
じ、自覚していないと意外と強者なのでは…。
寧ろ投げ付けておいて自覚ないって言うのが不思議。
「(腐っても獣人だからなぁ。)」
とか何とか言う声が聞こえた気がするけど、普段はスピード重視の狐獣人だと聞いていたけど、ヤル時はヤルってコト!?
この場合のヤルは漢字に当て嵌めると【殺る】の方の文字で。
無意識限定らしいけど、お、恐ろしい。
怒らせないようにしなくちゃ。いや、この先も交流があるとは思えないのだけど。
出来たらドミニク君だけでも交流はしておきたいけど、彼はアレス様の従者。従って、ドミニク君と交流するイコール殺人鬼(仮)のアレス様が付属すると言うことで。
全力で逃げ出したい案件です、ハイ。
「ぷぎゃぁっ!」
とか何とか思案しているうちに、何時の間にか私の左側に居た筈のアレクサ様が此方に倒れ込み…って、そうじゃ無かったぁああああ!うええええ!?何故か地面に押さえ込まれたぁ!?その際「お前それ、令嬢の悲鳴じゃねぇ」って声が聞こえた気がするけど、今はそれどころでは無い!咄嗟に出たのだから仕方がないでしょ!
と言うよりも!
「重い!」
何時までも人様の上に伸し掛かって居るとはナンテ王子様じゃぁあああ!
そりゃあ確かに私のいた場所にナイフらしき武器が通過して行ったけど、だからって何時までも乗っているのではないわ!此方には心に決めた人が居るのだからね!
「なっ!!」
ええい、私の上で憤慨している場合じゃないでしょ、それに追手に追われている状態なのだし、其処をどけってーの!
それこそ令嬢の言葉ではないコトを脳内のみで言葉にし、実際には無言で肉体言語…違った、身体強化魔法を駆使して「うりゃぁ!」と…。
つい気合を入れて投げ出してしまった。
「「うりゃぁ!」だなんて、令嬢の言葉じゃねぇえ!」
と言う悲鳴が聞こえたけれど、そんなのは華麗にスルーの1択よ。
スルーと言いつつ「うっさいわ!」と呟いてしまったのはもう、ね。無視して下さいよぉアレス様。目を見開いて、「(ぷ、ククク…)」って笑わないで欲しいわ、全く。失礼な。
むぅと口を尖らせつつ迫って来た追撃者に対し、アレクサ様の腕を掴んで身体強化魔法をフルに使用。
民家の壁に追撃者とアレクサ様ごとで壁に激突させ、失神したアレクサ様と追撃者を見て「よし!」とドミニク君に向けてサムズアップする。
ぽか~んと口を半開きにしている美少年は何と言うか、そんな間抜けなお顔状態でも可愛い。
…うん、アレス様や。
口を抑え付けて笑わないで欲しいなぁ。
「(仮にも王国の王子に対して、だな…くく)」
乙女ゲームの凶悪の殺戮者・惨殺者である攻略対象者のアレス様はもしかして笑い上戸なのだろうか…?
「流石ジン・アメイジング様が求婚したお方だ」
誰?今私的に死語の言葉を発した輩は。
うーん声は何処かで聞いた気がするのだけど…誰でしたっけ?
プラチナブロンドが逆光の為にキラキラ輝いて居て、瞳は金色。同じ様に輝いて見える。更にはけぶるような睫毛は髪の毛と同じくプラチナブロンド。そして白人特有の色白。
全身白い、『初対面』ならそんなイメージが付くだろう。
でもこの人と私は『初対面』ではない。
何故ならこの人は乙女ゲームの【知識】にある状態で其処に居て、初対面当時は乙女ゲーム通りの姿では無かったためにとても驚いた人だったから。
「クリス先生…?」




