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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
2章 今日も学園はゴタゴタしていますが、学園の外までゴタゴタしていて観賞しようとしてもどうやら無理な様です。
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「よっしゃあああああっ!ぷるぷるお肌ゲットー!」


 コラーゲン牛乳初ゲット!

 念願の「三度目の正直」で購入できた牛乳瓶を握り締め、心の中だけで感涙の涙を流す。

 背後から「元々ぷるぷるだろ、13歳なんだし」と言う声が聞えて来たが華麗にスルーする。そして文句を言った相手であるユウナレスカ様の横には相変わらず見目麗しいユリア様がニコニコしながら、


「良かったわね」


 と、嬉しそうに微笑んでいる。

 ちなみにユリア様もコラーゲン牛乳を手にしております。勿論その牛乳を欲しがったユリア様の為、購入し渡した相手はユウナレスカ様だ。奢りですね、ワカリマス。


「女って言うのはわからん」


 とか言いながら、ちゃんとユリア様に買ってあげる辺り理解しているんじゃ無いだろうか?そしてユウナレスカ様は二番人気のイチゴ牛乳をゲットしている。

 相変わらずの甘党だな。


「とか言いつつ相変わらずの甘党だな」


 ニキ様はあきれ顔でユウナレスカ様の手にある品を見ている。と言うか、私と同じ事思ってるし。


「ほっとけ」


 とユウナレスカ様は文句を言っているが、


「この牛乳瓶とか言う入れ物の形状は中々面白いな。重いがそこがまた実にいい」


 と手にしてしみじみと見詰めている。お城では飲めないのかな?と思って居たら、「カフェテリアで飲めぬかな…」とかボソッと言い出したよ。なんだかそのうち入荷しそうで怖いな。しかも瓶のままで。ユウナレスカ様の優雅な見た目のイメージに合わないんだけど。


「僕はこれ買ったよ~」


 受付から黄色い牛乳を買って来たケイン様が実に嬉しそうに此方に持って来る。


「なんだそれ?黄色?」


「うん~なんでもバナナ牛乳だって」


「バナナ?」


「そそ、ほら今年の夏には初めて開通する蒸気機関車の終着駅が港町なんだけど、其処に週に一度輸入される果物だって。甘くて美味しいらしいよ」


 甘いと言う単語でぴくっと肩が震えたユウナレスカ様。それを目敏くみて呆れるニキ様。それとは反対にどうやら可愛いと思っているユリア様。

 ユリア様、ユウナレスカ様の頭部と腰に咄嗟に目線が行ったって事は犬耳と尻尾の妄想でもしたのかも。此方と目が合うと照れた様に微笑んだ。


 相変わらず美少女の笑みは目が幸せになります。

 でもその口元では”バレタ?”と言う形を作って居るあたり、お茶目さんだなぁ。


 所で蒸気機関車と言う単語。

 実はこのゲームの世界に酷似したこの国は、所々妙な所で発展しつつある。

 恐らく後のイベントに関係しているからなんだろうけど、今は関係ないのでその辺りはスルーするとして。


「あの蒸気機関車って夏に開通するんですか?」


「まだ公表して無かったな」


 うん、工事して居たのは知って居たけど完成時期は知らなかったよ。

 それにゲームの知識だと時と場合により、恐らくゲームの攻略者の関係的な意味で完成時期が違っているんだよね。ユウナレスカ様を攻略するなら蒸気機関車の開通時期は冬だったし、ケイン様とニキ様の場合だと春だし、アレス様は春の後半か過ぎた辺りだった筈。今の時期は春から初夏なので、ヒロインの準メリーはアレス様狙いなのかな?


 しっかし、すっかりお馴染みのメンバーになってしまったなと思う。

 最初一回はニキ様に連れられたケイン様が来ただけだったのに、二度目からは何故かこの豪華なメンバーになってしまっている。うっかりユリア様に皆と温泉に行って気持ち良かったと伝えたら、

「私も行きたいですわ」と漏らした事により実現したのだけど。

 いや、ユウナレスカ様が実現させてしまったと言った方が良いのかな。


「うむ、朝からユリアとデートも良いな」


 とか何とか言ってちゃっかり同行しているし。

 とは言えこの二名は、特にユウナレスカ様はこの国の第二王子様。大丈夫なのかと何度も問い質したら、少し離れた場所に馬車を隠し、二人で平民の服を着て変装をしてここへお忍びで来ているとの事。


 …。

 無論隠れた場所で護衛の人が居るらしいけど、それでいいのかなぁ。チラリと護衛らしき人達に視線を移すと、すう~と綺麗に逸らされる。うん、一般人の私にも分かるのだから良い機会だから修業を積みたまえ、なんて生意気な事を考えて居たら、


「成程、これは父上に伝えて護衛の訓練に使えるかもな」


 と、ユウナレスカ様。

 それで良いのか。

 そして頑張れ護衛達よ。

 ぐったり項垂れた護衛に心の中で声援を送っておくよ。


「先程から、いや先日から気に為って居たのだが」


「はい?」


 ユウナレスカ様がユリア様に向かっております。なんでしょね。

 そしてケイン様、口を押えて居るって言う事は相談でも受けたのですか?ニキ様までさっさと話せよと言う視線を投げ掛けておりますが。


「レスカだ」


 平民の格好をしているのだからと小声で言っているけど、大丈夫なのかと思って周囲を見る。

 有り難い事に早朝の為、今日は他に誰も居ない。居るのは精々気配を消そうと必死になっているが出来て居ない(…)護衛の人と、しらんふりしている受付の御婆ちゃんだ。もしかしたら耳が遠いのかもって思った瞬間目があった。…コワイ。


「平民の服を着ているのだからな、正体がばれるからそう呼べ」


「それならば私はユーリですわね」


 おお?ユリア様意趣返しっぽいですね。此方をみてウインクしてますって、ユウナレスカ様睨まないでー!心臓に悪いー!


「なに?」


「レスカで通すなら私も変えた方が宜しいでしょう?」


「う、うむ」


「ですからユーリと呼んで下さいね、レスカ」


「う、うむ。いや、うんか?」


 ふおおおお!

 ヤバイこれ、至福か!

 二人共幸せオーラ全開じゃないかー!


 あれ、ってこれ見たことあるぞこのスチル。

 ヒロインがユウナレスカ様と共にお忍びで温泉に来た際、ゲーム中で同じような台詞を言ってたんだよね。と言う事は準メリー完全にユウナレスカ様攻略失敗なんだろうなぁ。


 …良かった。


 ヒロインには悪いけど、ユリア様と親しくなって来たせいでユリア様とユウナレスカ様の二人が幸せそうに笑って居るのは嬉しいものね。


 どうでも良いけど途中からケイン様とニキ様の二名、やってらんね~って感じで席を外してしまったので、私はドウシタライイノデショウカ。い、移動すべきですよね、そうですよね~…

 ソロリソロリと抜き足さし足と音を立てない様に移動して居たら、


「レナもそう呼べ、わかったな」


 …何だろう。

 デレた?

 でもその後「わかったら返事!」…。


 ツンデレ属性か?








 * * *








 購入した牛乳は一旦受付に預け(コラーゲン牛乳は先着順なので、来た早々に購入しておかないと即売れ切れる為のサービスなのだとか。ちなみにどの牛乳も預かる際に名前を書いておき、無料で預かってくれるシステムだそうだ)、先程のユウナレスカ様とユリア様のアツアツ状態に逆上せそうに為りながら、脱衣所から湯船にごー。


 無論女湯です。

 男性は専用の方角へ行ってらっしゃい。


 何だかチラチラと此方側に視線を寄越す人も居ましたが、大丈夫ですユリア様もといユーリさんは私が確りと護衛致しますよ。最も護衛等したこともないので役に立ちませんから、今度機会があれば女性の護衛さんを同行させて下さい。


 さて。


「おおお!貸し切りだ!」


 受付周辺には私達(護衛付き)以外他に人が居なかったのでもしかしてと思って居たら、湯船の方は誰も居なかった。

 ありがたや~。


「あらまあ、ふふふ」


 ユーリ様、じゃなかったユーリさんも嬉しいのかにこやかに笑う。


 く、かわええ。


 私が女じゃ無ければ是非お付き合い願いたいものだ。無論隣の男湯のレスカ様に殺されそうだから口に出せないけども。そして微妙に殺気を感じた気もするけどキノセイデスヨネ?


「広くて良いですねー」


「そうね、お湯加減も丁度いいわ」


 最初に軽く身体の汚れを流してから湯船につかる。

 ああ、極楽。

 湯船に浸かって身体を温まらせると日頃の疲れが一気に吹き飛ぶよ~。


 ふと視線を感じ、熱い視線を寄越しているユーリ様を見る。

 何故視線が胸部に?


 ああ、成程納得。


「ユーリ様はナイスバディですね~」


 隣からぶふっ!って言う噴き出した音が聞えた。


「レナ、ユーリですわ。あ、です、かしら?兎に角様は不要ですわ」


 言い直したユーリ様可愛いです。目の前で見られるなんて至福です。出来たら写真を撮ってユウナレスカ様に献上したいけど、場所が場所ですし写真機もありませんので心の中にだけで記録しておきます。


「うーんではユーリちゃんかなぁ?」


「なら私はレナちゃんと呼びますわね」


 うふふと共に顔を見合わせて笑う。

 何だか優雅だ。場所が大衆向けの温泉だから何か優雅とはちょっと違う気がするけども。


「それにしてもレナは胸がとっても大きいわね「ぶーっ!」。私初めて見ましたわ、大きいと湯船に浮くのね、羨ましいわ」


 隣の男性用からドガシャンッ!って言う音と「ま、まじか」とか言う二文字な名前の方の呟きが聞えた気がするが、スルーしよう。と言うか、幾ら男女のお風呂場を真ん中で仕切っている共通の天井の上が開いていて聞こえるとは言え、聞き耳立てるな。

「ニキ鼻血が」とかも聞こえた気がしたけど…スルーしかないよね。


「ユーリちゃんは腰がとっても細くて「ぐは」足首も細くて色が白くて羨ましいです」


 ゲホゲホと咽た音がするけど、風邪でも引いたのかな。と言うかぐはって今の声はユウナレスカ様ですよねぇ。


「レナちゃんは首が細くて羨ましいわ、私結構太いんですの」


 ほらほらって見せるけど、そうは見えませんよ。


 その後お互いの身体の事をああだこうだと話して居たら、隣が静かになった。

 もう上がったのかな?やけに早かったけど、烏の行水なのかなぁ?

 ただ少し前に「やめてくれー」「鼻血が~」とか、「逆上せるー!」とかいう絶叫に似た苦情が来た気がするけどね。









 * * *









 すっかりユリア様、えーとユーリちゃんと仲良くなって「私達お友達ですわね」って互いに友情を確かめ合ってから女湯から出て来ると、日本の温泉や銭湯の休憩室っぽい場所のソファーの上にぐったりと寝そべるニキ様。その鼻には少し赤くなったティッシュが詰められて居る。

 その横には私達が来た事に気が付いたのか、苦笑を浮かべているケイン様。


「ニキ彼女達来たみたいだよ。じゃ、俺もう行くね~」


 と早々に挨拶を交わして去って行くケイン様。

 どうやら私達が来るまで待って居てくれていた見たいで申し訳なく思う。多分ケイン様の事だから早く帰って植物達の世話をしたかったんだろうなぁ。


「お~ぅ」


 それに対してぐったりとしながら片手を振って居るニキ様。

 お湯が熱かったのかな?

 ユウナレスカ様はと言えば、受付から皆の分の牛乳を取って来てニキ様の分を額に乗せ、「少し冷やしとけ」と言って笑って居た。





 少し離れた場所に隠して馬車を待たせてあるとユウナレスカ様とユリア様は護衛を連れ、二人で仲良く帰って行った。なんとな~くその後ろ姿を見ていると、気が付いたら二人共手を繋いでいた。

 今日も朝から仲良しですね。


 そんなアツアツなお二人を見た後は、当初の目的である温泉に入り身綺麗にした次の目標はこれしかないでしょう。


「さーて行くかレナ」


 温泉から少し歩くと露店が幾つか並んで居る箇所がある。


 この王都ロメインで繁盛している商店街の一角、その周囲には早朝からとてもいい匂いが漂って居る。その中からどれにしようかな~とワクワクしながら彼方此方を見渡す。

 ちなみにちゃっかりと付いて来ているニキ様。別に私一人でも平気なんだけど、ニキ様曰く「早朝とは言え女の一人歩きは危ない」という事で付いて来ている。最もニキ様も市井を見たいだけなんじゃないかな~って思って居たりする。だって、「おお、この串焼き初めて見た。実家では見たことないぞ」と羊肉の串焼きを喜んで購入していた。しかも私の分も。


「ほれ、奢り」


 と、渡された串焼きは有り難く頂いて私はお礼代わりに飲み物を購入する。


「はふ、熱いけど美味しいですねこの串焼き」


 屋台が多いせいか彼方此方に椅子やテーブルが並んで居る。皆其処に適当に座って各店舗の料理を美味しそうに食べている。うーんあのスープ美味しそうだなぁ、これ食べたら次はあれがいいな。


「お、あのスープか。買って来るからここに居ろ」


 またニキ様に奢って貰ってしまった。

 うーんいいのかなぁ。

 と言うかこのスープ凄く美味しい。

 御豆のスープなんだけど、色々な豆が沢山入って居て更に珍しい事に貝類が入って居る。殻は取られていて中身だけが入って居るよ。おまけにミルクと塩コショウで味付けされていて、とろっとトロミが付いて居て前世のクリームシチューを思い出す。これ、後でおば様達に話してみようかな。とても美味しかったし、価格次第では厨房でもメニューに入るかも知れない。


「珍しいですね王都で貝だなんて。しかもトロミがちょっと贅沢。高かったのでは?」


 この王都ではまだ蒸気機関車が開通していないから魚介類は高い筈。美味しそうだったからつい言っちゃったけど、不味かったかなぁ。


「気にすんな、デートのお礼だ」


 誰がデートですか誰が。


「俺とレナの」


 …。

 うん、スルーで。

 大体ニキ様のお父様がウチの男爵家に過去婚約の打診をしていたらしいけど、私にではなく二女のデュシーお姉ちゃんにでしょう。多少はニキ様とは年の差があるから年上女房になってしまうけど。


 そんな事よりこの間から気に為って居る事を聞こう。


 準メリーとアレス様、あの中庭での一件以来見て居ないんだよね。準メリーは謹慎中だから兎も角、アレス様もってのは変な気がする。もしかして中庭であって居たのがバレたのか、それとも単に私だけあって居ないのかも知れない。


「アメリーか。アイツはどこぞへ行儀見習いとして行って罰を受けてる。無料奉仕って言うヤツらしいぞ。何せ生徒達の玄関壊したしな。同罪のキャムデン辺境伯伯爵令嬢もだ」


 うわ、それは…。


「メメントリー準男爵家からの支払いは拒否されたらしいしな。自身の仕出かした事は自身で支払えって事らしい。だから謹慎中に労働をして返済しているようだ」


 当然それだけでは支払いは済まないが、キャムデン辺境伯側も半分持つことによって何とか支払えるのだとか。


「幾つかアメリーの私物が売り払われたらしいがな。あいつ意外にもアクセサリー等持って居て驚かれたらしいぞ」


 それ、多分アレス様の貢ぎ物です。

 言えないけどさ。


「それと、魔法で拘束されているから逃げ出したくても出来ないって聞いたな」


 とは言え初日に逃げ出したらしく、その対策として拘束されたのだとか。相変わらずだなぁ。

 何でも「7月か最低でも8月」迄に帰して欲しいと騒いだのだとか。

 ん、7月に8月?何かあったっけ?


「7月とか8月って何かありました?」


「夏休みだな。後は夏休みに入ってからだが、8月に学園主催のパーティーがあるな」


 ああ、あれか。成程。

 以前中庭で見た時、アレス様に箱に入ったドレスを貰って居たなと思い出す。

 余程出たかったのだろうか。


「アイツは貴族で居る事に拘りと言うか、爵位にしがみ付きたいらしいからな」


「ん?」


「アレスがそう言って居るのを聞いたんだと」


 成程、一般市民には為りたくないのか。

 私とは価値観が違うなぁ。


「だから学園主催のパーティーに出て、貴族の子息達と縁を持ちたいんだろ。それにここだけの話、隣国の王子が来るらしいからな」


 その為に王国所属の騎士団では苛酷な訓練が何度も行われて居るらしい。

 お兄ちゃん大丈夫かな。最近会って居なかったのはお互いの仕事のせいですれ違って居るのだと思って居たけど、それだけじゃ無いのかも知れない。ジーニアスお兄ちゃんは自身を鍛えて行くのに貪欲な傾向があるからなぁ。脳筋気味になって無ければいいけど。



 ん?あれ。

 脳筋…。いや、まさかね。



 ただ先日来たお兄ちゃんの手紙では『大変だけど実に楽しい』って書いてあったなぁ。


「そう言えばレナ」


「ん?」


 呼ばれたのでニキ様の方を向くけど、あれ?何だかニキ様の目線が微妙にずれてるなぁと気が付く。


「口の端に付いてる」


 そう言った途端、ニキ様の指で口の端を拭い取られ、指に付いて居た先程の串焼きのソースらしき物をペロリと舐め取られる。


「…は?」


 あ、えーとえーとえーと。

 今何が起こったのかな。私の前で何か物凄い事態が起こった気がするけど、これって結構緊急事態じゃないかな。だって、ニキ様ってゲームでは硬派な気がしたけど、もしかして此方の現実ではナンパな性格ですか?ね、ね?14歳で物凄い女好きな性格ですか?


 そこで少しだけ思い出して行く。

 ゲームのニキ様の設定だ。

 彼、ニキ・モイスト様は第二王子の護衛と言う立場で学園に入るのだけど、その際大失恋を経験している。彼が小さい頃から好きだった初恋の相手が『妾』に出されてしまったのだ。その事を学園に入学する前に知ったニキ様は、ゲーム中では1年の時それはそれは物凄い寡黙で酷く暗い顔をしている。それがヒロインの陽気な性格に徐々に癒され、元の性格の明るい人好きのする笑顔を浮かべる様になるのだ。


「さっきも食べたけど中々美味いな」


 にこっと悪戯が成功したと言う様な顔をして笑って居るニキ様を見て…


 ん?ニキ様の頭上に見知った手が?

 それがあっという間に拳骨となり、ニキ様の頭上にゴキンッて言う鈍い音を立てて衝突する。


「いってー!」


「ジーニアス兄さん?」


 ニキ様の背後からいきなりジーニアス兄さんが生えて来た(?)様に見えた。

 しかもその顔は般若の様な能面を被って居る様に見え、額には血管が浮いて居る様に見える。


「すいませんがウチの可愛い、かわいーい妹に手を出さないでくれませんかね?」


 何か小さくゴミ虫めがって凄い言葉が聞こえて来た気がするけど、き、気のせいだよね?普段優しい兄さんが怖いよ!

 よし、ここは話をはぐらかそう。


「兄さん仕事中?」


 するとやっと此方を見た兄さん。

 良かった優しい顔付に戻った。にこっと微笑むのは相変わらず素敵な微笑だ。


「巡回中だな。と、レナ」


「はい?」


「この後シドニー姉さんの所に行くかい?」


「うん」


 これから少し買い物をしてから行くつもりだったんだよねと伝えると、


「ならこれを渡して貰えないか?妊娠中の姉さんに持ってって貰いたいんだ」


 との事で封書に入った小さなお守りを預かった。何でも教会で売って居る妊娠中に持って居ると安産のお守りになるのだとか。…何だか日本の神社のお守りを思い出したな、この世界の教会は行ったことが無いのだけど(実家の領土に教会は無かった)似た様なモノなのかな?今度機会があったら行ってみたいな。


「忙しいからそれじゃ」


 と言って最後に何故かニキ様と睨み合って、後方で待って居た同僚と共に去って行った。


 兄さん、ジーニアス兄さん、このニキ様は騎士団長の息子さんですよ。

 この先大丈夫なんでしょうか…。

こんなんでも面白いよ!と思って頂けたら、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m



↓兄が居なくなってからのその後のプチ会話↓


ニキ「ちょっと聞いていいか?」

レナ「はい?」

ニキ「思ったんだがな、そのワンピースさっきの兄に買って貰ったのか?」

レナ「?うん」

ニキ「シスコン(一部パツパツになりそうじゃねーか)め…」

レナ「んん?」



単にレナが勿体なくて今まで着なかった&身長が伸びたのでやっと着れると言う事を知らないニキだった。

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