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儚い命に約束を  作者: いかさん
終わる物語
1/1

終わりのプロローグ

「兄さん、また約束を破ったね・・・」


 、あ・・・またこの夢か・・・エリサ、ごめん・






 ・・・「ゆXXX」 「おい!」 

 だれだよ・・・

「おい!、ユウ!!!!!」


「なんだよ・・・」

「仕事だよ!ついたよ!」っとしゃがれた声のカエルは叫ぶ。


 ああ、もうついたのか。

「了解、んじゃ始めますか」


 こうして今日も変わらぬ一日が始まるのだった。あの日からもう一年もたつのか。

「初めての誕生日だってのに、誰も祝ってくれないのか」


「なにいってんだ、お前もう1001歳だろ!」っとカエルは罵倒してくる。


 明乃 夕(あけの ゆう)は今年で二度目の人生から1年を迎えた。

 まあ、他人から見たら俺は1000年ほど生きているが、目覚めたのは一年前だ。

 なんでも探検隊が、冷凍されていた俺を発見して、暖め解凍したら目を覚ましたとか、なんとか。

 冷凍されていた前は...まあひどい話になる。






 ー1000年前ー



 発展しすぎた地球は大気汚染による環境の変化で海水の上昇が始まる。

 海抜の低い土地は少しずつ海に侵食されていき、世界は一致団結してこの問題に取り組もうとする。

 しかし、実際は裏で秘密同盟を結び、我先に生存の道を探す人類の姿であった。

 資源争奪戦、食糧危機、疫病の蔓延。



 戦いによる人口の減少を恐れた東の国「日の内帝国」は動物の戦争投入を考える。

 人ではなく動物なら実験もできるし、繁殖も容易で、サイズも様々だ。

 多種多様な兵器を作れる。

 当時のこの国の人々はみな一丸となってこの研究を支持したそうだ。


 そこで行われた研究は一つの歴史すらを消滅させる、大きな傷となった。




 X300年:人口の減少を減らすため動物による戦闘行動および、高度な知能を有した戦闘兵器の開発を開始。オペレーションAA(アニマル・アタック)と呼称


 X305年:数々の動物に研究を施す。2534体め、ようやく実験の成果が発揮される

 X307年:完成形態の報告。二足歩行生物が武器をもち、ある程度簡単な命令を聞くことができるようになってきた。

 X310年:隣国への実験的侵略を開始。ここで使用されたのは二足方向動物による人の武器を使った襲撃と大型動物による突撃だった。


 X313年:動物への直接的な兵器の埋め込みにより戦闘を効率化、高度な知識により連携の様子が見られる。

 X314年:2種類の動物を組み合わせたキメラ個体の開発に成功、量産化を開始

 X320年:動物兵器の暴走を確認。停止命令を無視。制御不能。




 この報告を最後にこの国は滅びる。それから100年間人類は暴走兵器との戦いに翻弄される。



 皮肉ながらもこの事件から世界は協力関係を増加させ、人類VSかつて動物だったもの「キメラ」の戦いが始まった



 キメラ個体は人の知識レベルを大きく凌駕し、尋常じゃない速度で繁殖した

 無限に増える兵器を抑えられなくなった人類は地上を捨て、宇宙への移住を計画していた。

 通称「箱舟計画」


 100年の間に作られた50の飛行船は宇宙へと飛び立ち、キメラに対抗するための準備をしたのであった






「なあ夕、俺たちが最後の地上部隊になるんだよな。」

「ああ、そうだな。」


 明乃 夕は第110防衛小隊の隊長として第50番;地球外永住コロニー船(通称:エンド)の打ち上げ防衛部隊として雇われていた。


 ボサボサの髪をしたその男「アル」は俺と同じ小隊のエースと呼ばれる、憎たらしいやつだ。

「なんで、お前はいつもそんな感情がない顔なんだよ」

「いや、これがいつもどうりだよ・・・」

 そんなやりとりの横で今にも泣きそうな、赤い髪の女の子が俺を覗き込む。

「やだよ、お兄ちゃんいかないで!!」っと

「お兄ちゃんはいつも、私を置いていく!!、あの時もそうだったじゃない!」

「エリサ、あの時は悪かった、でも今回はちゃんと帰るよ!この船が飛べば少しは平和になるかもしれない」


 あの時・・・父さんと母さんが死んだとき、いや二人を助けることができなかったとき。

 俺たちの町は動物に蹂躙された。俺たち110小隊は町の防衛にあたっていたが、始めから撤退するしかないことは分かっていた。

 俺たち一家は町の花屋だった、あの日父と母は店の花畑だけは守ろうと、最後まで戦う覚悟をして町に残った。

 そんなの、無駄なことだ・・・あの時無理にでも二人を説得すればよかったのか、今でも考える。

 壮絶な防衛戦闘の末、人類側の敗北が濃厚となったのは町の半分以上が焦土と化してからだった

 軍からの撤退命令が下されたとき、俺はすぐに三人が立てこもる店へとむかった。

 そこで待っていたのは、無残にも食い散らかされる二人の大人だった・・・

 俺は子供の死体がないことを確認すると、家中を探し回った。

 そしてベットの下に隠れていた妹のエリサを発見し、防衛隊とともに町を後にした。


 俺が妹と約束したこと・・・それは、「飛行船で父さん母さん、エリサ、三人と花屋を開くこと」だった・・・



「私もう暗いとこで一人はいやよ・・・おにいちゃんまでいなくなったら・・・どうし、よう・」

「エリサ心配すんな、空でも花屋はできる!って親父もいってただろ、今度は二人で店開こうぜ、そんで船一番の大きな花畑で億万長者!!ってな」

 エリサは泣きそうな顔でまた約束をするのだった。

「うん、約束よ。エリサとお兄ちゃんで絶対お店開く!!」っと。


「よかったな夕、待っててくれる、子がいて。これじゃあここが墓場なんていえねえぜ?」

「うるさいアル、縁起が悪いこと言うなよ!」

 俺はアルに強く言い聞かせた

「わりいな、俺空気よめないからww」

 自覚あったのか。



 そんな会話をしていると、けたたましいサイレンが鳴る。

「動物兵器の進行を確認ただちに、各小隊は応戦せよ。繰り返す・・・・」

 繰り返される、アナウンス。

 こんな時に攻撃なんて、本当についてない。


「お前、動物に好かれる体質か?」

「アルそれは、お前もだろ」

「お互い面倒くさい体質だな。よっしゃ、いきますか。」


 合図と同時に最後の戦いが始まった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「あーあー、テステス...こちら第50番艦エンド防衛隊指揮所

 各部隊キメラの襲撃に備えよ、敵はエンド北東30キロ地点から進行中。第3最終防衛ライン到着まで残り3時間である。繰り返す残り3時間である。現在155ミリ長距離榴弾砲による飽和攻撃実施している。第1,2防衛ライン撤退後、戦略爆撃機による絨毯爆撃を実施予定である。第1、第2防衛隊は直ちに撤退せよ。 第1,2防衛ラインの戦闘員は第3最終防衛ラインまで撤退を開始せよ!

 繰り返します、こちら第50.......]



 ガシャン!!っと通信機を叩きつける。


「ふざけるな!!!!!」

 大柄の男はドンと立ち上がり机に拳を振り下ろす。

「隊長、今すぐにでも爆撃を中止させましょう!!我々第2防衛ラインはまだ撤退どころではありません!!第1防衛ラインから撤退してきた負傷者であふれています!」

 脂汗を垂らしながら隊長に助言をする兵士たち。

「爆撃を遅らせるように司令部に伝えろ!第2防衛ラインにどれだけの戦闘員がいると思ってるんだ! 誰か現在の戦闘状況を知らせろ!」

 第二防衛ラインの隊長は声を荒げて問う

「報告します!」っと一人の若い通信兵が立ち上がる


「現在第一防衛ラインをキメラに突破され、第二防衛ラインで攻撃を食い止めている状況であります。第二防衛ラインでは30ミリ高速機関砲部隊による制圧射撃が主な攻撃手段であるため、ある程度の小型キメラは即座に駆除されております。弾薬損耗率は20%程度であるため、まだ耐えることは可能だと思われます。後方からの155ミリによる飽和攻撃も合わさり、戦闘は均衡状態を保っております」

 若い兵士は口早に報告をする。

「了解だ!引き続きこのまま防衛を行う!司令部には爆撃を中止するように伝えろ!なんとしてもエンドを宇宙へ上げるぞ!!」

「「「おおう!!!!!」」」

 高ぶる感情を爆発させ、兵士たちは答える



「隊長!!ぅ緊急の通信です!!!!大変です!!」

 テントの外から一人の兵士が荒い息をつきながら走りこんできた。

「現在第2ライン側面から新たなキメラが出現!!距離3キロ!突進型のキメラです!このままでは側面部隊が壊滅します!」

「なに!!!近場の部隊を対処に当たらせろ!!それから」

「緊急!!!!緊急です!!!!」と隊長の声を遮り兵士が走ってくる

「防衛線前方に特殊変異型キメラです!!30ミリをものともせず突進してきました!!ライン最前線壊滅...です...」

 兵士は徐々に力なくしゃべり始め、地面に座り込む

「我々の...武器では..対抗できません]


 第2ラインの司令部は静まり返り、誰しもが俯きただただ地面を見ていた。


 隊長はゆっくり頭を上げいった。

「最終防衛ラインの新型機動部隊を呼ぶぞ」と








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