アーマー
ギー少佐vs甲冑の女
甲冑の女の全身を包んでいるのは強化外骨格。
(パワードエクソスケルトン)であった。
強化外骨格。
電動アクチュエーターや人口筋肉を用いたパワードスーツ。
元々医療や建設現場などでの運用を想定して開発されたスーツだが
彼女が装着しているのは軍事用である。
そのパワーは実に常人の17倍。
さらに曲面装甲で斬撃に対応し
インナーのリキッドアーマーで銃弾さえも通さない。
ただの凡人すら凶悪な破壊者に変貌させる装備。
それが強化外骨格である。
しかも、それを装着し、ギー少佐の前に立っているのは
ただの凡人ではなく、超一流の腕前を持つ暗殺者。
ギー少佐の額に嫌な汗が流れる。
もしもの時に備え庭園に隠していた日本刀を装備していたが
それですら、この化け物相手には心許ない。
だが、後ろを向いて逃げることもできない。なぜなら…
次の瞬間、甲冑の女が動いた。
すごいスピードで、ギー少佐の周囲を旋回している。
足裏に装備された駆動輪での高速移動。
一度追われたなら人間の足などでは逃げ切れるはずもない。
これがギー少佐が逃走できない理由である。
できることは、相手の仕掛けに応じたカウンター。それのみ。
それがわかっているから相手も軽々には攻めてこないのだ。
だが、5週目に差し掛かった時、甲冑の女は動きを変えた。
背後、死角からの強襲。
ギー少佐は、スーツの駆動音でそれを完全に見切っていた。
背後を振り向き迎撃体勢を取るギー少佐。
しかし、そこに甲冑の女はいなかった。
飛んだのだ。
スーツの脚力を利用した大ジャンプ。
そしてそのまま攻撃を仕掛けてきた。
完全に虚を付かれ、動けないギー少佐。
そこへ甲冑の女のあの蹴り技が迫る。
しかし、次の瞬間、甲冑の女の動きが鈍った。
その機を逃さず、斬撃を繰り出す。
肘、膝、肩、手首、足首。
曲面装甲が施されていない関節部を狙った
ギー少佐の華麗なる連撃。
刀は折れたが手ごたえはあった。
しかし…
着地し振り向いた甲冑の女はまったくの無傷であった。
関節部にも施されたリキッドアーマーの効果である。
ダイラタンシーという衝撃を加えると瞬時に硬化する
液体を用いた防御機構である。
それがギー少佐の斬撃を完全に防いでいた。
そのことを情報として知っていたギー少佐も
まさか、ここまでの強度とは思わなかったのだ。
旧世界の技術レベルには舌を巻かざるをえなかった。
だが、"アレ"は効いた。
それだけがギー少佐の命綱であった。
そして、甲冑の女の兜が割れる。
ギー少佐が斬ったのではない。
だが、たしかに撃った箇所である。
女の顔が顕になった。
その顔はギー少佐がよく知る女であった。




