第4話
アークザラッド一階層。
街の外は、広大な平原と森が広がる自然溢れるフィールド。 遠くの方には、二階層へと繋がる迷宮区の塔も微かに見ることが出来る。
そんな一階層には、僕達のようにアークザラッドに来たばかりの初心者冒険者しかいない。 それは単純に、出現するモンスターのレベルが低い為経験値を稼ぎ難いと言うのもあるが、一階層はチュートリアル的な意味合いが強い場所でボス以外目だって強いモンスターもいなければ、レアアイテムや割のいいクエストもないので、適性レベルに到達しボスを討伐した冒険者がもう一度一階層に戻ってくることはまずない。
なので、現在一階層にいる冒険者も極僅かしかいない。
「ということで、今日は街の近くのフィールドでレベルの低いモンスターを狩りたいと思います」
僕がそう言うと、若干一名を除いて皆頷いてくれる。
ただ、その若干一名は不満げな顔して、
「なぁ、どうせ冒険するならもっと強いモンスターのいる所にしないか?」
「ここに来たばかりで、スキルも身体の状態も確認してないのにそれは無理。 第一、装備も最低限しか揃えれてないのに危険は冒せないよ。 最低でも、先に進むのは装備を整えてからだね。 と言うわけで、アスナこれから行くフィールドの情報よろしく」
「OK! それじゃ説明するから皆ちゃんと聞いてね。 まず、これから行くフィールドはLv1~Lv3までのモンスターしか出ない完全な初心者用のフィールドだね。 出てくるモンスターは3種類で、スライム、ボア、ゴブリンだね。 このうち、スライムとボアは基本的に単体でしか出会わないけど、ゴブリンに関しては2匹から最大5匹の群れで行動するモンスターだね。 注意するのは、やっぱり数の多いゴブリンだけど単体の攻撃力で言ったらゴブリンよりボアの方が高いからこっちも注意はしてね。 で、肝心の今日のクエストについては雪奈から」
「ないな。 うちが受けてきたクエストは全部で3つ。 「スライム×10匹の討伐」 「ボア×5匹の討伐」 「ハキム草×20束の納品」 討伐2つに採取系1つやな。 ゴブリンの討伐クエストもあってんけど、今回は戦闘に慣れるのを目的パスしたわ。 せやけど、集団戦も経験しておきたいから可能なら数の少ないゴブリンとも戦闘するつもりやから覚えといてな。 クエストに関してはこんなところやな。 他になんか質問ある人は?」
「質問ってわけじゃないんだけど、現状僕達の回復手段はアスナの魔法だけでしょ? 今回のクエストの品になってるハキム草は、初級回復薬の原料になってるから多めに回収して僕に回してほしいなぁって」
「そうか、悠真は調薬スキルを持ってるんだったな.....他にも薬に出来そうなアイテムがあれば多めに回収しとくか?」
「出来ればそうしてくれるとうれしいかな」
「んじゃ、そういうことで」
「では、最後に装備の分配をしよう。 武器は俺に防具はリンのほうにあるから各いいのを選んでくれ」
「と言っても、性能自体はどれも一緒なので変わりはないんですけどねぇ......」
装備を整えた僕達は、ここに来て自分達の姿に歓喜する。
「なんや、こうやって身形を整えるとワクワクしてくるわ」
「だな。 何かこう、違う世界に来た! って、感じがすげぇするよな」
「ここから、俺達の冒険が始まるんだな」
「感動ですね」
「張り切りすぎて、怪我しないように注意しないとね」
「そうなったら私が皆を治してあげるね」
「これから命の危険のあるフィールドに行こうってのに、緊張感ねぇな俺達」
「それも僕達らしくていいんじゃないかな......さて、そろそろ出発しますか。 くれぐれも、皆無茶はしないように」
こうして僕達は、始めての冒険に出た。