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第2話

 気がつくと僕は見知らぬ広場の中に立っていた。

 空は青空が広がり灼熱の太陽が地上を照りつけ、地上に住む者はせっせと仕事に励んでいる。 

 ただし、一部の住人は明らかに人間と違う容姿をしている者がいる。 耳が長い者、羽が生えている者、尻尾がついている者.......それらは人目で違う種族だと判別することが出来た。


「ついに来たんだな塔の中に......」


 僕は目の前の光景に改めてそれを感じた。


「どうやら僕が一番最初みたいだね」


 悠真を含め、塔の中に入ったのは6人一緒だった。

 だが、この場にいるのは悠真一人であることを考えると、他の皆は能力の選択に時間が掛かっているのだろう。


「僕一人で先に行くわけにもいかないから、しばらくここで一人で待つしか「悠真!」......」


 そう思っていたら仲間が一人やって来た。


「ウチが一番最初だと思ってたけど、まさか悠真先にいるとは思わんかったわ。 ちゃんと選択したんか悠真? まさか、適当に選んでないやろな?」


 最初にやって来た子の関西弁の子は|瀬野 雪奈≪せの ゆきな≫。 身長は平均の女の子よりもやや低めで、髪は肩にかかる程度のショートカット。 何時も明るく元気な、僕等6人のムードメイカー的存在の子だ。

 

「ちゃんと僕にあった奴を選んだよ。 それより雪奈のそれって獣人?」


 雪奈の頭の上には三角形の耳が二つピンと立っていて、お尻の付け根からは尻尾がユラユラと揺れている。


「そやで。 うちのこれは猫の獣人やな。 獣人は、種族の中でも犬や狼とかたくさん種類があり過ぎて決めるのに苦労したんやで.......ま、最終的にはうちが一番好きな猫に決めたんやけどな」


 そう言って楽しそうに選択の時の話をする雪奈。

 聞けば彼女は、獣人の素早さを活かして忍者みたいなことがしたかったそうだ。 だからジョブもそれに合わせてレンジャーを選択して、スキルもそれに合わせた探知系のものをメインにしたそうだ。


「悠真は種族変えへんかったんやな」


「うん。 僕はほら、皆に比べて得意な事がないからこっちでも無難に何でも出来る方向で行こうかなって思って」


「ふぅん。 まぁ、悠真らしいちゃらしいと思うけど、折角なんやし思い切って自分を変えてみても良かったんちゃう?」


「僕は今の自分がわりと気に入ってるからあんまり自分を変えようとは思わなかったかな.....だから選択の時も、皆のことを考えてたら自然と決まってた」


「ホンマ悠真は、仲間思いというか自己犠牲というかやなぁ.....そやから、アスナが目を離せん言うて心配するんやで」


「それを言われると何とも言えない....「悠~君!」.....」


「噂をすればやな」


 僕と雪奈が声のした方に目を目を向けると、腰の辺りまである長い金髪を揺らしながら走ってくる美少女の姿が。 「アスナが歩けばナンパに出くわす」と新たな諺を世に送り出したその美貌の持ち主は一直線に悠真の元へとやってくると、


「う~ん、この抱き心地やっぱり悠君は最高だよ」


 悠真を抱きしめて満面の笑顔を浮かべていた。

 彼女はアスナ・イリアステル・高峰。 日本人の母とイギリス人の父を持つハーフであるが、両親はアスナが幼い頃に事故で亡くなり身寄りのなかったアスナは僕達と同じ孤児院に預けられ一緒に育った中だ。

 アスナが孤児院に来た当初、その容姿で子供ながらに大人達を魅了し誘拐騒ぎになる事件があった。 それを偶然にも悠真達が助けたことで、以来何故だかアスナは悠真にベッタリと引っ付くようになり今に至る。

 

「アスナのそれは人間なの?」


 それに対して悠真は、何時ものことのように何事もなかったように背後のアスナに声をかける。


「ううん。 私のは天人族のエンジェルだよ。 今は隠してるけど、背中にちゃんと羽根はあるし空も飛べるんだよ。 後、天人族は光の魔法に適正が高いから、それを活かして回復系の聖女のジョブにしたんだ」


「そりゃまた、アスナにピッタリな種族とジョブの選択やな。 聖女なんて、女性限定で種族も天人じゃないと就けへんジョブや.......まさに、ピンポイントで狙った選択やな」


 その横で雪菜は一人頷いて納得している。

 まぁ、アスナに光のイメージはピッタリだから文句のいい用はないんだけどね。


「悠君は人間のまま何だね......また皆の為とか言って無理してない?」


「雪菜にも言ったけど、僕はこのスタイルを自分で好んでやってるから無理何てしてないよ」


「ホント? ならいいけど、あんまり無理しちゃダメだよ。 何かあったら、すぐ私に言ってね」


「分かってるよ」


「おうおう、熱いねぇお二人さん。 うちがおるのに見せ付けてくれるやないの」


「雪菜もやる?」


 僕は両手を広げて雪菜を手招きする。


「やめとくわ。 後ろでアスナが凄い顔して睨んどるからな。 それに、うちも浮気はしとうないしな」


「そうだね。 でも、アイツがここに来るのは最後になる気がするけどね」


「せやな......と、噂をすれば次に来たんはクロやったな」


「と、リンも一緒みたいだね」


 僕等の方にまた歩いてやって来る二人の姿が。

 一人は、180cmを超える長身にして程よく筋肉がついて引き締まった身体をした男。

 もう一人は、眼鏡を掛けて髪を後ろでポニーテールに纏めた女の子だ。


 男の方は|黒井 龍≪くろい りゅう≫。 愛称はクロ。

 女の子は|片瀬 輪廻≪かたせ りんね≫。 愛称はリンだ。


「待たせたな」


「遅れてごめんね....」


 クロが物怖じしない堂々とした感じなのに対し、リンは逆に周りを気にしてオドオドしている。

 正反対の二人だが、あれで仲は凄く良くて喧嘩している所を見たことがない程二人は仲良しだ。


「いや、待ってる間に皆の種族とかスキルを確認してたから大丈夫だよ」


「そうか。 なら俺達もアイツを待つ間に教えておいた方がいいな」


「だね。 アレは......多分選択に迷ってると思うからもう少し時間がかかるだろうしね」


「では先に俺の方だが、俺の種族は見ての通り龍人だ。 元々身体の頑丈さには自身があったから、ここではそれを活かして皆を守る龍騎士になることにした。 種族とジョブを合わせて、DPはそこそこ高くなっているから盾役として期待してくれ」


「わ、私は運動が苦手なので種族はエルフにしました。 ジョブもエルフにちなんで、精霊魔法士にして見ました。 魔法による攻撃がメインになりますけど、APはそこそこ高いので攻撃役として頑張ります」


 二人はこんな所まで正反対な選択をしてるけど、盾のクロに矛のリンでやっぱり相性はいいみたいだ。

 これで僕等はアイツを除いて5人揃ったわけだけど、パーティーの陣容としてはかなりバランスが整ってる。

 タンクのクロにヒーラーのアスナ、斥候役の雪菜にメインアタッカーのリン、そして万能型の僕とおそらく目立ちたがり屋のアイツがアタッカーになるであろうことを考えると十分にバランスの取れたパーティーだ。


「おーい、俺様の登場だぜこら!」


 最後の一人、目立ちたがり屋にしてトラブルメーカーの|神風 隼人≪かみかぜ はやと≫が遅れてやって来た。


「隼人、種族とジョブは?」


「お? いきなりだな悠真だが嫌いじゃない。 聞いて驚け、俺の種族は獣人種の銀狼だ! レアな種族を探すのに苦労したぜ.......で、ジョブは拳聖な。 剣じゃなくてこぶしの方の拳な、これまたレアなジョブで探すのに苦労したぜ.....ほら、俺ってば口より先に手が先に出ちまうタイプだろ? そんな俺にあうジョブは何だろなって探してたら、奇跡的にこいつを見つけたってわけだ。 どうだ凄いだろ!」


「はい、それじゃぁ隼人も来たことだし街に出ようと思います。 異議ある人は?」


「「「「「異議なし」」」」」


「結構。 それでは各自出発」


 僕達は隼人をおいて歩き出した。


「.......って、おい! 俺をおいて先に行くなっての!」


 その後をバカが急いで追いかけて行った。

 こうして僕等6人は塔の中で無事に再会することが出来た。

 ここから本当の意味で僕等の冒険が始まる。


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