プロローグ
こちらは不定期複数話更新予定です。
本日は4話更新予定です。
これから言う事は決して嘘ではなく、今現在実際に起きている事だ。
今から10年程前、日本を含む4箇国に巨大な隕石が落下した。
だが、巨大な隕石が落下したにも関わらず人や建物には一切の被害が出ておらず、代わりに隕石の落ちた場所には天にも届く巨大な塔が出現していた。
そして、塔の何者かはこう言った、
『俺の財宝か......欲しけりゃくれてやる、探せ! この世の全てをこの塔に置いてきた』
どこぞの海賊王の最後の言葉と同じセリフを吐いた何者かは、まるで人々を駆り立てるかのようにさらにこう言った、
『これは|リアル≪現実≫であってゲームではない......だが、限りなくファンタジーでゲームのような世界がそこにはある。 人の世を捨てる覚悟のある者は来るがいい.....我は何人も拒むことはない』
その後、塔の何者かのよって塔に入る為の注意事項が告げられた。
1、塔に入場した者は、塔を攻略すること以外で塔を出ることは出来ず外の世界に戻ることは出来ない。
2、塔に入場する者は、ジョブ・スキル・種族を設定することが出来る。 これで変更した種族によって、一部容姿の変化が起きるものが存在する。
3、塔の内部には予め創られた街と住人が存在し、それらを傷つけることは出来ない。 また、塔の内部では住人同士の殺し合い(プレイヤーキル)をすることも出来ない。 これらに抵触する行為が確認された場合、塔の管理者から罰が発生する。
4、塔の内部には、フィールドやダンジョンと呼ばれる人を襲うモンスターが生息している。 街の中にいればモンスターに襲われることはないが、それ以外の場所でのモンスターは人を襲う危険な存在である。 仮にモンスターに襲われ死んだとしても、ゲームのように復活するものではなく現実と同じく死を迎えるものである。 ただし、一部のジョブの魔法やアイテムには時間内に死んだ者を蘇生出来るものが存在する。
5、塔の内部の時間は基本的に外の時間と同じである。 塔の内部での結婚・妊娠・出産も可能であるが、生まれて来た子供は塔から出ることが出来ない。 また、生まれてきた子供のジョブ・スキルは各町に存在する教会にて設定可能であるが、種族は親のものが反映されハーフなることもある。
6、塔の内部の情報は、定期的に外部へと発信される。
7、塔の内部は全てが中で繋がっている為、世界中どの塔から入っても同じ場所に出る。 また、塔の内部での言語は自動的に翻訳され統一されるので言語の心配はない。
8、塔の攻略者には、塔の全てが与えられる。
これを聞いた者の反応はそれぞれだ。
国としての対応は、分けなの分らない事を告げる塔の存在を危険しして塔の調査に部隊を送り込み、その間塔には誰も近づけにようにした。
しかし、どうやってそれをしたのかは不明だが、塔に侵入した部隊がモンスターと戦う映像がテレビやインターネットで流されると、国民......特に、ゲームや小説を知る若い世代の者にとってそれは、夢にまで見たような世界に歓喜し、こぞって塔へと向かっていった。
当然、反発はあった。
未だ謎の多い塔に、自国の国民を持って行かれまいと国は塔の周りをバリケードで覆って封鎖したが、それだけで塔の世界に魅了された者を止めることが出来ず、度々この問題が背世間で取り上げられこの問題は塔を所有する国だけではなく、世界中で問題視されるようになった。
そして、塔を所有する国はある一つの結論を出した。
塔への入場を国として認める。 ただし、塔は国管理扱いとし入場するには一人100万円の入場料を払わなければ入場することが出来ず、塔へ入場後の資産を国に譲渡する旨と一切の責任を国に問わない事を誓約書として交わす必要がある。
国としても、人が減り利益が減ってしまっては成り行かないので、最低限国として利益を思えばの処置だったが、それを差し引いても塔への憧れは捨てきれないものだったらしく世界中から人が殺到して、結果的にそれで国も潤うことに繋がった。
世は正に大海賊時代ならぬ........大冒険者時代を向かえることとなった。
そして......
「ついにこの時が来たんだね......」
「ここまで長かったわ」
「あの地獄のバイト生活ともこれでおさらばだな」
「でも、その分命の危険は増えるよね......」
「なぁに、それも俺たちが望んだことなんだしいいじゃねぇか」
「そそ、それにこれから楽しい世界が私達を待ってるんだからね。 何より、私達6人が力を合わせればどんな事だって出来るよきっと!」
新しく6人の男女が塔に挑もうとしていた。
彼等は皆、孤児で親がいない。
それでも、小さい頃から塔に入ることを夢見て、バイトのお金も殆どを入場料の貯蓄にまわし、今日やっとこの場に六人で立つことが出来ていた。
「さぁ、それじゃぁ僕達の冒険を始めようか」
六人は夢にまで見た塔の世界へと進んで行った。