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パラレルワールド・ヒーロー  作者: zaq2
#2:サスペクト・ヒーロー
20/21

巨獣1

 本堂が眺めている視界


 その視界に入っている巨獣とは別に、他の住人は?と、見える範囲で探してみるが、 民兵とでもいうのだろうか、一定の距離を保ち隠れる様にしつつ狩猟道具ともいえる弓というべき道具か何かで射かけている姿しか散見せず、その他の住民の姿がないことから、避難という形はとれているのだろうと判断した。


 しかし、目にみえている巨獣は、その歩みを止める様子もなく、住宅ともいえる家々を破壊しながら進んでいるという状況でもあった。

 

「あの巨獣の進行を止めるべきなのだろうが・・・」



 本堂は、その破壊していく姿を目のあたりにしながら行動を躊躇うかの如く少し悩んでいた。


 躊躇うには理由があった。


 今迄戦い続けてきた相手ザ・リークという存在の中に、あれほど巨大な獣、まるで怪獣とでも言う巨大なモノを相手にしたことがなかった為、どういった方法で対応すれば良いのかが判断が付かないというのが、本堂自身が悩み戸惑う理由であった。


 また、それとは別に、本堂が全快していない状況ではあったとはいえ、最大出力(マキシマムドライヴ)状態で互角以上の戦いを行う敵幹部の姿を、どこにも確認する事が出来ないのが気にもかかっており、さらにもう一人の幹部の存在すらも見かける事が無かったからでもあった。



 しかし、その思考を行っている時間の最中でも、巨獣といえる存在はその街並みともいえる家々を破壊しながら進んでいる状況を、ただ黙ってみている訳にもいかない。



「今は、あの巨獣を何とかするのが先‥‥か‥」



 "如何すれば良いのか?"という内容に対する答えが思いつかないまま、自問自答をするかの様な事を口にし、今、見えない相手よりも、はっきりと被害を出し続けている巨獣という存在に対して行動をするべきと、その不安要素ともいえる思考を割り切らせ、その場から巨獣のいる方向へと大きく跳躍するのであった。




──────────────────────────────────────


 窓の外には、この砦が一望できる場所、会議が行われた建物の3階ともいえる場所に、グレイツと呼ばれる人物と共に、複数の人物がその部屋に集められていた。


「状況はどうなっている?」

「はっ、あの巨獣はこのルートを通り・・・思惑通りに中央広間へと向かっています」


 そうテーブルの上にある簡易的な見取り図の上、そこに駒の代わりにグラスを使っての状況説明がなされていた。

 簡易的な見取り図ではあるのだが、この状況を的確に示すには十分事足りており、代用されている駒を相手と見立ての説明がなされていた。


 その盤面ともいえる内容を各自が見守る中、



「あの巨獣への接近戦は仕掛けるなよ?無駄に兵力を削るだけに繋がるからな」

「その点は厳命させています。」

「ならばよい、兵器の方はどうなっている?」

「攻城兵器の準備も、あと半刻もかからないうちに準備できるかと思われます」



 そういわれ、視線を向けた先にあるのは、中央広間に向かって設置されていると思われる兵器の変わりとなる石が3つ置かれていた。


「ただ、昨今使われずに仕舞い込まれていた物なので、即興で使えるかどうか・・・」

「使えるかどうかじゃない、やるんだよ。で、なければ‥‥」

「はい、間に合わせます」

「発火筒の準備も忘れるなよ?こればかりはタイミングが重要だからな。タイミングは"青の4"と伝えておけ」

「はっ」



 そう言うと、伝令に向かって指示をし、部屋から外へと数名が走り去っていく。



「何とかなるでしょうか・・・?」

「わからん。わからんが、やらん訳にもいかんだろう‥‥」



 そういいつつ、窓の外にて起きている状況に視線を向ける。



「効いてくれれば良いのですが‥‥」

「神様にでも聞いてくれ。さて、最悪の状況としてこの砦を放棄する事も懸案にいれるぞ」



 打てる手を打って、結果が良しとならない時、退く事に躊躇はなかった。

 グレイツにとっては、この砦を死守する事よりも、兵を温存できるかが重要であると考えているからであった。そのことが、周りからは信望をえている格好にもなっていた。



 さてとと、"退く"恰好になるのだが、どうやって撤退させるか・・・と、そんな砦を放棄し無事に後退する方法を思案していた時、ふと、ある人物の事が脳裏をよぎった。



「そういえば、例のお嬢さんはどこにいる?」

「はっ?たしか・・・私が最後にお連れした場所でしたら、賓客用として士官宿舎におられるとは思われますが‥‥」



 士官宿舎といえば‥‥と、盤上の簡易地図へと目を向ける。



「また、面倒な場所に‥‥‥」



 その視線の先は中央広間の傍、四角く囲われた記号が記されている場所であった。



「色々と厄介事となる前に迎えを出せ、急げ!」

「は、はっ!」



 その指示を受けた伝令は、急ぎ部屋をあとに駆け出して行った。



「(間に合うはずだが・・・嫌な予感がする・・・)」



 窓の外へと視線を投げかけるグレイツにとって、託され者のひとつ事に対し、この現状の強襲された原因が突き止められないままの状況という内容が、嫌な予感として不安を抱かせるには十分の材料であった。




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