表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の輝き  作者: ぴん
1章
6/53

訓練場での戦い

最悪…やっぱり、また悪魔が出たってことかよ!



「マウア、悪いが先に行って様子を見てくれ。俺もすぐ行く。」


「わかりました。マリーナはここにいて。」



「マウちゃん、何言ってるの?アタシも行くよー。」


「はぁ?」



そりゃ、珍しいものかもしれないけど、野次馬じゃないんだからさ。これは遊びじゃないし、相手は悪魔かもしれないんだ。頼むから言うこと…。



「って、おい!マリーナ!」


「マウちゃん、おいてくよー。」



マリーナは走って先に行ってしまった。


あのバカ、殺されに行くようなもんだぞ!



「まっ、待てよー!マリーナ!」



すぐに後を追った。建物の出口に近づくと、訓練生たちがざわついている。扉を開けて訓練場広場に目をやった瞬間、すぐに俺は確信した。



「グオゥゥゥゥ」



一人の訓練生が苦しみにも似たようなうめき声をあげている。


マリーナはどこだ!?



「マウちゃん、こっちこっち!」



マリーナは広場の隅に座っていた。悪魔と思われる訓練生とマリーナの距離は、離れてこそいるが危険だった。



「マリーナ、のんきな事言ってる場合じゃないだろ!みんなも早く、そいつからもっと離れるんだ!これ以上説得しても意味はない!」



あの充血した目…。バイライン(悪魔)と同じ目だ。ここには護衛団はいないし、ナイクさんの連絡待ちか…くそっ、足が震える。でも、俺が逃げる訳にはいかない!



「君、(これ)借りるぞ。」


「あ、はい。」



実戦用の剣を取った俺は、苦しみながら動けない訓練生アクマを前に、少し距離をおいて身構えた。


襲ってきたらやるしかない。ちくしょう…まだ混乱してるって時にこれかよ。



「マウア先輩!」



先程会った後輩が、木刀ではなく真剣を持って俺の横に走って来た。



「お前も早く逃げろ!」


「何言ってるんですか。俺の実力、見てて下さいよ!」



まだ動こうとしない訓練生(アクマ)に、後輩は斬りかかってしまった。



「ばっ、待てっ。」


「うわぁぁぁぁ!」



後輩を払い退けるように、訓練生(アクマ)は後輩の腹部に裏拳をいれた。


奴は警戒していなかったはず…。本能なのか?反射速度が恐ろしく速い。


俺は、倒れて気絶した後輩を抱え上げ、他の後輩へその身を託した。


リホはいないし、一体どうすれば…。



「えいっ!」


なっ!?


俺の耳にかん高い声が響いた瞬間、訓練生(アクマ)の右太ももに矢が刺さった。



「グウゥ…」



誰だ?何が起きたんだ?



「マウちゃん邪魔邪魔。当たっても知らないからねー。えいっ!」


「マリーナ!?」



再び放たれた矢が、今度は左太ももへ突き刺さる。



「グウゥゥ」



奴が苦しんでる。マリーナの矢が効いているのか?



「トッドメー!」



叫んだマリーナは、いつの間にか持っていた2本の短剣で襲いかかった。左右の腕を横に伸ばし、マリーナは飛び跳ねるように素早く近寄る。両手に持つ短剣を逆さに持ちかえ、矢の激痛で暴れる訓練生(アクマ)の腹をクロスに切り裂いた。



「はい。お疲れ様。」



訓練生(アクマ)は力なく倒れた。


マリーナってこんなに強かったのか?でも、悪魔を倒したってことは、マリーナもリホの言う特別な人間??



「彼女は闇士やみしさ。」


「ハッ?ナイクさん?え?闇士って何…?」



「ナイクさん、遅い遅い。アタシがもう片付けちゃったよー!」



混乱する俺を無視するかのように、闇士(マリーナ)は勝ち誇った顔で俺たちの方へ歩き始めた。



「助かったよマリーナ。出来ればこれは、使いたくなかったからな。」



ナイクさんが、背負っていた剣を地面に置いた。



「ナイクさん、その剣は何か特別なものですか?」


「これはな、闇士(やみし)と同じ能力が宿る剣だ。俺には通常扱えない代物…何っ!」



急に驚いたナイクさんの目線を追った。そこには、闇士(マリーナ)が倒したはずの訓練生(アクマ)が、異様な姿で立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ