表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の輝き  作者: ぴん
1章
5/53

事件再び

訓練団施設。俺とデリーにとっての原点。当時の俺たちは、生きる為だけに必死だった…。



「マウちゃん、ここはいつぶり?」


「2年ぶりかな。それでもなつかしく感じるよ。」



後輩たちの練習を見てると、当時を思い出す。誰にも負けたくない!その気持ちだけだった。



「おい、あれマウアさんじゃん!」


「本当だ、マウアさーん」



「おーーー!」



たった2年なのに、ずいぶんと見た目が変わるもんだな。たくましくなったもんだ。



「みんなー、久しぶりー。」


「俺もー、いつかコロシアム剣士になりまーーす!試合がんばって下さーーい!」


「応援してまーーーす!」



「おう。ありがとなーーー!」



あんな遠くから俺に気づくなよ。あいつら集中して練習してないのか?でも、嬉しいもんだな。



「さすが今注目の人気剣士だね。」


「複雑だけどな…。」



これから、悪魔と戦って平和を守ることになるかもしれないし。



「おう、来たな。こっちだこっち。」


「ナイクさーん!」



「アハハ、マリーナ。背伸びたな!」



ナイク先生は変わらないな。二十歳(はたち)越えての2年じゃ、こんなもんか?だけど、あの厳しかったナイク教官も、今や訓練団長か…。



「お久しぶりです。ナイクさん。」


「ナイクさん?ナイク団長様、だろ?アハハ。まぁ、今やコロシアムの最強剣士と名高いお前には、もう敵わないだろうけどな。」



「大袈裟ですよ。俺なんてまだまだ。」


「それより、デリーの様子はどうだ?かなり派手にやられたらしいな。」



「あ、それはその…。」


「悪魔だろ?」



「!…、知ってたんですか?」


「護衛団連中の会話から、ちょっとな。俺も目にしたから言える事なんだけど、詳しく聞かせてくれるか?」


「はい。でも…。」



マリーナに聞かせるのはちょっと…。



「お?あぁ、マリーナなら構わない、大丈夫だよ。」


「ですけど…。」



確かにシフおじさんの件が悪魔の仕業なら、マリーナの方が俺より詳しいかもしれない。でもなぁ…。



「マリーナ?」


「うん。平気!」



軽いなぁ…。笑顔で返すなよ。



「いや、あのさマリーナ、そうじゃなくて…。」


巻き込みたくないって意味なんだけど…。



「いいからいいから。じゃ、奥の部屋行こうか。」


「行くよぉ、マウちゃん!」



「わかったよぉ…」



みんな軽く考え過ぎなんじゃねーかなぁ…。


不安は残るが、とりあえず俺も団長室へ入った。



「適当に座ってくれ。何か飲むか?」


「私コーヒー。もちろんブラックでねー!」



ぶ、ブラックーだと?マリーナの奴、いつの間に…。



「へぇ、マリーナ大人だなぁ。マウアは?」


「あ、俺も…」



負けられるか!



「ナイクさん、マウちゃんのはミルク無しの砂糖たっぷりでね!見た目ブラック!なんちゃって。」



なっ!



「お子ちゃまにはまだ早いのだ。」


「同い年ぃ!ったく。お前なんて最近ブラジャー付け始めたばっかだろー!」



「アタシ、マウちゃんのブリーフ昨日洗った!」


「くっ。」



あー言えばこー言う。これから真剣な話をするってのに、マリーナには参っちゃうな。



「俺から見れば、二人ともお子ちゃまだよ。ほれマリーナ、コーヒーブラック。」


「ありがとう。うっ…。」



マリーナの奴、苦そうな顔してる!背伸びしすぎだぜ。俺のは見た目ブラックだけど…甘っ。



「じゃあ本題に入ろう。聞かせてくれるか?マウア。」


「あ、はい。」


俺は、ナイクさんに全て伝えた。ナイクさんの目線が、時折斜め上へと行く。7年前の記憶と照らし合わせているように感じた。



「そうか…。そりゃ間違いなく悪魔だな。」


「やっぱり、そうですか。」



「しかし驚いた!そのリホって天士の子もそうだが、お前が倒したって事だよな?」


「俺、無我夢中でよく…。バイラインを倒した後、リホがそう言ってましたから。」



「それを聞いて確信したよ。お前の強さは、俺を完全に超えてる。」


「そうなんですかね!」


「おっ前、今笑ったなぁー!」



「だって、訓練生時代1回も勝てなかったし。そう思ったら嬉しくて…つい。」



「冗談だよ。」


「エヘヘ」



笑いながらも、心中は複雑だった。悪魔という俺にとっての夢物語が、自分の中で色濃く現実になっていくからだ。リホ、リーナさん、デリー、マリーナ、そしてシフおじさんの事件とナイクさんの反応。誰もが本当の事を語っている。そして、さらなる確証が突然飛び込んできた。




「ナイク団長!大変です。」



訓練教官の一人が、ノックもせず慌てて部屋へと入ってきた。


顔色が悪いな…。



「お?どうした?」


「訓練場で生徒が暴れていまして、それが…どんなに注意しても聞かないのです。とにかく様子がおかしく、手が付けられない状態なんです。」



教官クラスが訓練生を?まっ、まさかっ…。



「気づいたかマウア、最悪…だな。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ