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闇の輝き  作者: ぴん
5章
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封印の儀の結末

side-天士(てんし)リホ




マウアが完全に魔王を圧倒してる…。私に残された力はわずか。マウアの…逆転のマウアの最期の一撃に、絶対に合わせる!



「ハァ~」



ひどく疲れてるはずなのに、背中を押されてる感覚がある。闘ってるマウアの姿が、私に力を与えてくれてるんだわ。でも不思議…なぜか懐かしくも感じる。あの姿…戦うマウアの姿。いつもあの丘から、私は見ていた。あなたに夢中になっていた…。



「グオォッ、こっ、小僧、許さん!」


「うっ…!」



「マウア!」


「うおぉぉぉ!」



大丈夫!マウアは負けない!


戦いは長引いた。マウアがいつ繰り出すのかわからない一撃を、私は一瞬も逃さずに待っていた。



はずだった…。



ある違和感が、私を襲った。


何かが…何かが違う…。圧倒していたはずなのに、マウアは予想以上に苦戦してる。疲労から魔王の攻撃も受け止める回数が増えてきた。輝きを放つ逆転の一撃が出せないの?



「はっ!?」



ようやく私は、その違和感の原因に気づいた。


ごめんね、マウア…。あなたは必死に闘い、何度も何度も逆転の一撃を繰り出そうとしていた…。こんなにキズだらけになっても、私を信じてタイミングを計っていた。私が攻撃するタイミングを。何度倒れても立ち上がって…。待っていたのは私じゃなくて…、


マウア…だった。


あなたの試合を全て見ていたのに、今になって気づくなんて…。マウアの狙いは同時攻撃。マウアが叩き込もうとした時では、私の攻撃が遅れる事がわかっていたんだ。この見覚えのあるリズム。あなたが剣を振るうタイミング。私は覚えてる。目では遅れる…。


私は目を閉じた。


次のタイミングで…全てを…。



まだ…。




違う…。




来た…。




3…。




2…。




1…。



私は目を見開いた!天の力を放とうとした瞬間、記憶にない記憶が脳裏をよぎり、手を止めてしまった。



「ぐわぁ!」


「さすがのお前も限界が近いようだな。止めを刺してやる!」



…今見た記憶は何?私の記憶じゃない。でも、闇を輝かせる程の一撃だった。もしマウアが同じ絵を見てるなら…。


私は、再び目を閉じて集中した。


やっぱりそう。この記憶は、コロシアムでのマウアの戦い方と重なってる。上段から着地して下段…。もう一度下段から縦に上中段へ振り抜きながら上へ飛ぶ。そして上段から剣を右手一本に持ち変え左からがら空きの中段へ…。



「ハァーーーー!!」


ジュバーーーン……



「グオォッ、オワァァァァ!」



やった…のね…。


バタン…


「リホ様ー!」



「お、おの…れ…わしは…わ…まだ…がはっ!」


ドーン…



「終わった…のか…」


バタン…



「リホ様…マウア様…。くっ。ミラ、私に力を…ハァッ!」


「ミルカ、浄化…お疲れさま…。全て、終わったのね…。」



「メルナ…、はい…。」

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