メルナの狙い
side-クラレスの闇裏士メルナ
「はぁー!」
「ぐはぁ…。」
おそらくこれは復活の儀…。これだけの悪気は見たことがない…。コロシアムでの突然の騒動。タイミングよく現れた堕天士のミラ。天士はニレイの城に戻ったはず。なのに、ミラは天士の護衛から外れ、マウアを呼びに来た。今魔人退治をしてはいるけど、行動がおかしいわ。
はっ!?そういえばニレイの国王は…いない。やっぱり間違いない。
え?あれは…ミルカ!!ファイの裏士がどうしてここに?
でも様子がおかしいわ。ファイの裏士がこの異常事態に何もしないなんて…。まさか、見守っている?この異常事態は、彼女にとって計算内の出来事なの?ミルカの視線はミラに向けられてる…泣いてるの?もしかしたら、彼女はミラに何かを託したのかもしれない。
「メルの姉さーん!」
スケベ野郎か…。仕方ないわね。
「ロウ!」
「なんでっか?」
私は、覗き店ロウに悪気を込めた短剣を渡した。
「この武器を、そのデカイ腹にでも隠し持っていなさい。それと、天の手袋も渡しておくわ。ただし、使うのは1回きりよ。もしミラがマウアに敵対するようなら、迷わずこれで殺りなさい!」
「ふぇ?どうしてでっか?」
「マウアはミラと戦えないからよ。マウアを守りなさい!」
「そうでっか…。で、アッシはこの後どうすれば…。」
「いつも通りでいいわ。中立の覗き店でいればいい。とにかく早くミラと合流して、マウアを城へ送り届けなさい。」
「わかりやした。」
「でもそうね…、出来ればミラとマウアを城へ着く前に離しなさい。その後のミラの態度で、わかると思うわ。頼んだわよ!」
「へい、行ってきやす!あんさーん!!」
「おっちゃーん!」
私の感が正しければ、裏士の狙いは別にある!ニレイの裏士ネルア!あなたは私が止める!
「ヤン!ある程度片付いたら、私は城へ行くわ!」
「わかったよ!だけどメルナ、自然浄化されない悪気はどうするんだ?」
やだぁ、戦闘モードのヤンは、やっぱりかっこいいわね!……は!!今はそれ所じゃなかったわ。
「ほとんどは自然浄化されるから平気よー。後は魔獣でもなんでも、出たら倒しなさい!」
「わかったよ、メルナ。急いでるならここは大丈夫だ。任せてくれ!」
頼りになるわね!
ゲートへ走りながら、私はもう一度来賓室を見た。裏士の姿がない。
やはり城へ向かったのね。ミルカを追うわよ!




