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闇の輝き  作者: ぴん
5章
36/53

罪無き裏切り

「マウア…どうして?」


「どうしてって、助けに来たに決まってるだろ?」



「だってここはニレイの国…マウアがいるはずは…。」



今にも泣き崩れそうなリホの体を支えた。



「落ち着けリホ。それより無事でよかったよ!」


「マウア…」



「泣くなって!」


「だって私…もう…。」



「何言ってんだよ。封印の儀はまだなんだろ?」


「手遅れよ…。あの魔人に…あの魔王にどう立ち向かえばいいの?」



「確かにな…。」



スゲー悪気だ。



「でも、俺はまだ何もしてない!リホ、力を貸してくれないか?」


「マウア…うん。」



「大丈夫さ、俺たちならできる!俺を選んだリホを、天士の力を信じてるからな!」



「わかったわ…ありがとう!マウア。」



やっと、リホが微笑んでくれた。



「マリーナもデリーもみんなここで戦ってる!この国で会った人たちもみんなだ!俺たちを信じてな。だから、こいつを倒して一緒に帰ろう!リホ。」


「みんな…うん!」



気持ちは固まった。だけど、本当にどうすれば魔王(あいつ)を封印出来るのかわからない。…って、こんな時に何を考えてるんだ?俺は。頭使うのは、昔から苦手じゃねぇーか。



「よし、暴れてやるかー!リホ、援護頼むぞ!」


「うん!」



「そうはさせませんよ、マウア様。」



剣を構えた俺の前に立ちふさがったのは、堕天士長(ミラ)さんだった。



「ミラさん?」


「あなたにはここで…死んでもらいます!」



なっ!



「アーサ国王、いえ、魔王様。この者を私に任せて頂いてもよろしいですかな?」


「ミラよ、好きにするがよい。」


「はっ!」



ミラさんは、敵のふりをしただけじゃなかったのか?ダメだ!考えてる暇はない。あの顔はマジだ!目が殺意に満ちてる…。だけど納得できない。



「ミラさん!待ってくれよ!俺たちは味方だろ?」


「マウア様、これはあなたの運命なのですよ!ハッ!」


「くそっ。」



間一髪、堕天士長(ミラ)さんの放った光をかわした。



「ミラさん、止めて!」


「リホ様、口出しは無用ー!ハッ!ハッ!」



次々に天の力が俺を襲う。過剰な天の力は肉体を滅ぼす…だったよな。もらうわけには…。



「し、しまったぁ!?」



剣を…弾き飛ばされた…。



「止めだぁー!」



堕天士長(ミラ)さんの両手が激しく光った。


大きさが違う…避けきれない。なんでここまで来て、堕天士に殺されなきゃいけないんだよ…。


まぶだを閉じかけたその時だった。堕天士長(ミラ)さんの光が失われていった。前に倒れたミラさんの背後に現れたたのは、覗き店ロウのおっちゃんだった。



「おっちゃん!?」


「すまねぇな…ミラ殿…。」



「ロウ…なぜ…。」



倒れた堕天士長(ミラ)さんの背中は、紅く染まっていた。


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