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闇の輝き  作者: ぴん
4章
23/53

晩餐会への潜入2

「ここに来れば会うとは思ってたけど、久しぶりねデレク。」


「ええ、7年振りです。お元気そうでなにより。お嬢さんも、大きくなられましたね。」



「ねぇお母さん、どなた?お父さんの知り合い?」


「そうよ。デレクと、こちらがジャル。」



「どうも。特殊護衛団のデレクです。ここで何度かお目にかかってましたが、シフさんのお嬢さんでしたか。」


「アタシ、いつも食べるだけで帰っちゃうからね。エヘヘ。」



「ちょっと待って!」



突然裏士(リーナ)さんの顔色が変わった。


どうしたんだ?



「デレク、あなた今特殊護衛団って…。」



そういえば、そう言ってたな。



「そうだぞ、デレク。リーナさんだから良かったものの、これは…。」


「すまんジャル。そうだったな…。リーナさん、実はあの件(シフの悪魔騒動)以来、自分も何かしたいと思いまして、今はこいつと直属の任に。」



「そうなの…。でもすごい偶然ね。あたしは今日、それが目的で来たのよ。」


「そうでしたか。私も調度お話したいと思っていた所です。おそらく同じ内容かと。」



「何か知ってるのね。話してくれる?」


「ここではちょっと。あちらへ。」



特殊護衛団のデレクさんとジャルさんは、裏士(リーナ)さんと会場とは別の場所へ行ってしまった。



「あんたたちは、パーティーを楽しんでてね。」


「はーい!お母さん、行ってらっしゃ~い。また後でねー。」



闇士(マリーナ)は、手を振って3人を見送った。そして俺たちは、2階にある大広間へ向かった。



「なぁマリーナ、俺たちは行かなくていいのかな。」


「うん…。」



俺と暗黒剣士(デリー)は不安だったが、闇士(マリーナ)は相変わらずの態度だった。



「いいんだよ。任せておけば。それより早く行こうよ!」


「あぁ。」



まぁ、リーナさんなら心配ないか。シフおじさんが護衛団長の時の護衛団の二人だしな。でも、それが今は謎の特殊護衛団員…。暗黒剣士の集団か。



「うわぁー、人いっぱーい。」



会場に着くと、すでに賑わいを見せていた。軽く数えても百人はいる。


今日は、大晩餐会って言ってたからな。マリーナが驚くのも無理はない。



「すごいねー。」


「デリー、料理も旨そうだぞ?」



「さぁ、食べよー食べよー!」



俺たちは、バイキング方式になっている料理の前に来た。



「マウア見てよ。これエビかな?」


「バカだなぁ、デリーは。こんなでっかいエビがいるわけないだろ?」



「それがいるんだよねー!アタシは毎回食べてるから知ってるのだ。」


「マジ?これカニじゃないのか?」



「カニだっておっきいのがいるよー!ほら。」


「うえぇぇぇ。ホントだ…でかい…。」



「美味しいよ、これ。」



デリー、試食じゃねぇんだからさ。まぁ、子供の頃を思い出すよ。



「マウちゃんも食べてみなよー。」



う~ん…


戸惑いながらも、俺はでっかいカニを食べた。



「ん~、うまい!うまいよこれ。」


「でしょー!って、マウちゃんもう全部食べちゃったのー?」


「ん?マリーナ、何か言った?」



すっかりカニに夢中になってしまった。



「アハハ」



テーブルに着いた後、何だかんだで楽しく食事をしていると、舞台で挨拶が始まった。



「皆様、お待たせ致しました。これよりファイの国王主催による晩餐会を開催致します。では始めに、我がファイの国ルーヒ国王からご挨拶がございます。」



王様か。コロシアムで表彰の時に何度か見たな。リホの父親…になるのかな…。



「皆さん、今日はお集まり頂きありがとうございます。現在ある三国成立後、これまで互いに助け合い共に平和を築いて参りました。この平和は、未来永劫続くものであります。これからも、ここにいる皆さんを始め、各国民及び全ての人々と共に、同じ道を歩んで行けると確信しています。今日という日を神に感謝し、争いなき世界の為に、皆さんで乾杯しましょう。」



さすがに、王様の口から魔人騒動の話は出てこないか…。まぁ、他国の人もいるからかな。



「皆様、お手元のグラスをお持ち下さい。」




「マリーナ、グラスってこれでいいのか?」


「マウちゃん、それコップ。しかも水だしー。」




「マウアこれ。」


「おぉデリー。サンキュー。」



これがグラスっていうのか…。ふ~ん。



「乾杯ー!」


『乾杯ーーー!』



おっ。始まっちまった。どうするんだ?



「はい、マウちゃん乾杯。デリーも。」



闇士(マリーナ)が、俺の持っていたグラスに自分のグラスを合わせた。コン…。



「あ。」


コン…。


「乾杯!マリーナ。」



慣れないせいか、場の流れについて行くように、急いで一気に飲んだ。



「君、いい飲みっぷりだね。グラス、いいかな。」



品のあるおじさんに声をかけられた。空になったグラスに、飲み物が注がれる。



「どうも。」



これはグレープ?かな。


ごくっ。


ん?違うな。何かがミックスされてる。こういう場だし、多分オシャレで高~い飲み物なんだろうな。



「うーん。せっかくだからお酒飲みたいね…。」


「マリーナ、それはマズイよ。」



「いいじゃーん、デリーは真面目なんだから。ね?マウちゃん?って、それワイン!?」


「へ?高級なグレープジュースじゃないの?さっきおっさんが注いでくれたけど…。」



「あーぁ、全部飲んじゃった…。」


「マウア、大丈夫?」




「平気だよ。だからこれはジュースなんだよ。マリーナおおげ…さ…アレ?」



足がふらつくぞ?これがワインなのか?



「あーぁ。マウちゃん顔真っ赤だし。」


「でへへ。」



ニヤニヤしながらふらつく俺を、暗黒剣士(デリー)が支えて椅子に座らせた。



「デリーちゃん、ありがとう。」



「ダメだね、これは。」


「アタシ、お酒止めとこう…。」




「皆様、楽しんでおられますか?」


堕天士長(ミラ)さん!アハハ、おかげさまで。」



「先程は、どうもありがとうございました。」


「いえいえ。」




「マリーナ、お久しぶり。」


天士(リホ)りーん!あ、違った。リホ様ー!」



ふぇ?リホぉ?



「辞めてよマリーナ。普段通りでいいわ。それよりごめんね。色々言えないこと多くて。」


「そんなの当たり前だよ。ミラさんから聞いた時はビックリしたけどね。」



「こちらが、マウアの言ってたデリーさん?」


「そうだよ。」



「はっ、初めまして。デリーと申します。」


「そんなに緊張しないで。私まで緊張しちゃうわ。初めまして、よろしくね。」


「はっ、はい。こちらこそ。」



「ところでマリーナ、マウアはどこ?」


「あそこでつぶれてるよ。間違えてワイン飲んじゃって。」



「あら…。起こしていいかな?」


「いーよー。」




ん?誰だよ、体揺するなって…。



「マリーナ。まだ夜じゃねーか…zzz…。」


「ウフフっ。ダメみたいだね。」


「マウちゃん…。せっかくリホりん会いにきたのに…。」


「いいのよマリーナ。ありがとう。」



「起きたら後で会いに行くね!」


「うん、待ってるわ。」




「ではリホ様、参りましょう。」


「はい。」



「またねー。まったく、マウちゃんって本当ドジね。」


「まだ時間あるし、しょうがないよ。それにしても、リホ様ってスゴイ綺麗な人なんだね。お姫様かぁ…。」



「デリー、マウちゃんにはもったいないでしょ?」


「え?うん、そうだね。」




「あんたたち!」


「あ、お母さんおかえり。」



「おかえりじゃないわよ。大変な事が起きたのよ!」


「え?事件?」

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