親友の戦い2
「ただいまー、リーナさん。」
「おかえり、デリー。今日もお疲れだったわね。そうそう、あんたにコロシアムから連絡があったわ。2回戦出れるみたいだよ。」
「本当?リーナさん!それで相手は?まさかマウアじゃないよね?」
「あら?マウアがよかったの?でも残念、違うわよ。この前マウアに負けた…」
「ムルスだね!」
「そう、その人。どう?勝てそうかい?」
「スピードはないけどパワーはあるね。自信はあるけど、勝負はやってみないと。」
「あんたは真面目過ぎるのよ。時にはマウアみたいに、がむしゃらになったらどう?
何も考えずに思いっきりぶつかってみなさい。頭ばかり使ってると、体は動かないものよ。」
「そうだね。とにかくがんばるよ。そういえば、マウアとマリーナは?」
「二人ならナイクのお墓に行ったわよ。今日たまたまいいコーヒー豆が手に入ってね。飲ませてあげるんだって聞かなくてさ。」
「ナイクさんか…。」
「ナイクは幸せ者よね。だって、あんたたちがいるんだもの。きっと見守ってるわよ。」
「でも僕は、何も出来なかったから。」
「それを、これからするんだろ?」
「リーナさん…」
「さ、ご飯食べて早く休みなさい。試合前だし、体調管理も剣士の仕事よ。」
「うん…。あの、リーナさん…」
「自分で決めたんだろう?なら、私は何も言わないよ。」
「ありがとう…リーナさん」
「たっだいまー!」
「おっ、デリーお疲れ。」
「おかえりー。」
闇士と店に戻ると、デリーはカウンターに座り、裏士さんと話していたようだ。
ちょっと待て?お帰り?
「デリー、なに間違えてんだよ。そこはただいま!だろ?」
「えー、デリーは合ってるじゃん。だって両方だもーん。」
「マリーナ、何言ってるんだ?俺たちは帰ってきたから、ただいま!だろ?デリーも帰ってきたからただいまじゃん。でも、今おかえりってデリーは言ったから俺は違うって…あれ?」
「わかったかいデリー。こんなでも試合じゃ負けなしなのよ?前しか見えないだけなのにね。」
「そうだね。」
こんなって、俺だよな…。
「なになにお母さん?何かあったの?」
闇士がカウンターへ行った。
そういえば、リーナさん機嫌良さそうだな。
「デリーの試合が決まったのさ。相手はなんと、マウア…」
「えー!」
「まじで?」
俺と闇士は、思わず叫んでしまった。
「の、前の試合で負けた相手の人。」
り、リーナさん…。びっくりしたぁ。
「やだー!変な顔しちゃったじゃーん。」
「お、俺も」
「えー、マウちゃんは変顔しないでよー。アタシはかわいいけどっ!」
「あのなぁ、俺だってなぁ…。」
「はいはい、どっちも変顔よ!」
手を叩くリーナさんは、先生みたいだな。
「ぶぅ。お母さーん!」
マリーナは気に入らないみたいだけど。それよりデリーの試合が決まったんだ。良かったぜ。
「デリー、それでいつ試合なんだ?」
「日程はまだ。明日コロシアムに行ってくるよ。」
「それなら俺も行くよ。」
「うん。」
「デリー、アタシ応援に行くね!」
「うん。ありがとうマリーナ。」
実戦になれば、また何か違うかもしれない。
信じると決めた俺だったが、不安は否めなかった。




