表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の輝き  作者: ぴん
2章
11/53

新たな出発

おもいっきり泣いたおかげか、一晩グッスリ眠れた。


今日から、新たな人生が始まるんだな…。


部屋を出て一階へ行くと、闇士(マリーナ)も起きていた。



「おはよーマリーナ。」


「おはよーって、マウちゃんそのまぶたは何?さては昨日大泣きしたなー。もー、子供なんだから。」



闇士(マリーナ)は、人指し指を横に振った。



「何言ってんだよ。マリーナこそまぶたがこーんなに太ってるぞ。だから昨日あんなに重かったんだな。」


「軽いしーぃ!それにアタシのはオシャレだもん!マウちゃんのまぶたなんて、ボコボコに負けた剣士じゃん。」


「へへっ。俺はコロシアムで負けなしだもんねー。」


「じゃあアタシがその天才剣士様に初黒星を付けてあげるわー。」



闇士(マリーナ)が右手を振り上げて飛びかかってきた。



「やれるもんならやってみろー。」


「言ったなー。」




「はいはい。」



裏士(リーナ)さんが手を叩いた音で、俺と闇士(マリーナ)は動きを止めた。



「全く、どっちもおーんなじまぶたしてるわよ。だから引き分け。さっさとご飯食べちゃって。」



「はぁーい。」

「へーい。」



俺もマリーナも、リーナさんと飯には敵わない。逆らったら飯抜きにされるからな。


俺と闇士(マリーナ)の戦いが飯の早食いに変わったその時、まだ開店前のドアからノックする音が聞こえた。



「リーナさんや、いるかのう…。」



ドア越しに、老人の声が店内に響く。



「あらお客さん?まだ開店してないわよ…。」



裏士(リーナ)さんがドアを開けると、隣のじいさんが立っていた。



「あ、おはようございます。」


「開店前に悪いね。今朝イノシシを捕ったから差し入れに持ってきたよ。みんなで食べておくれ。」



「すみませんねー、ありがたく頂きますよ。」


「いつもウマイ飯食わしてもらってるからのう。また世話になるよ。」



「いえいえ。ありがとうございます。」



じいさんは帰っていった。目の前には、二メートル程のイノシシが倒れてる。



「あれ?」


「マリーナ、気づいたかい?」



「うん。」



何か変?俺には普通のイノシシにしか見えないけど…。



「マウアは感じないかい?」


「う~ん、そう言われるとなんとなく、嫌な感じはあるよ。」



「あのじいさんがこんなおっきいイノシシ捕まえたって言うから、おかしいと思ったのよ。傷口から悪気を感じる…マズイわね。」



悪気?



「昨日、リホが言ってた魔物と関係あるのかな?」


「知ってたかい。そうよ。」




「さっそくか…。リホに伝えたいけど、護衛の堕天士(だてんし)に、天士(てんし)に近づくなって言われたんだよね。」



「これくらい、アタシたちでやっちゃえばいいじゃん!」


「マリーナやる気だなぁ。でも大丈夫か?」




「へーきへーき。ね?お母さん。」


「そうね。マリーナにはいつもの事よ。心配ないわ。」


「そうなんだ…。」



知らなかった。だからマリーナを訓練施設に行かせたんだ。悪魔騒動の先輩ってことか。



「マウア、あんたが知らないとまずいから言っておくけど、悪気は体から入って最終的に魂を乗っ取る。でも、動物の場合は意思がないから憑依されやすいのよ。今回は、このイノシシになるわね。」


「ふーん。それで、このイノシシは大丈夫なの?」



「じいさんがタイミングよく撃ったんだろうね。だけど、魔獣化されたら倒すのはきついわよ?あたしは一応、護衛団に連絡しておくけど…。」



「なら先に、俺たちが行ってなんとかしてみるよ。な?マリーナ先輩。」


「待ってマウちゃん。まだまぶたが腫れてる。」



「それオシャレだって言ってたじゃん!こんなことしてたら、誰かが魔物に襲われちゃうかもしれないだろー。いいから行くぞ。」


「やだぁ。さっきは強がっただけなのー。恥ずかしいじゃん…。」


「大丈夫だって。相手は魔物だし、笑ったりしねーよ。」



「うーん。でもやっぱりヤダ。顔洗ってまぶた冷やしてくる。」



闇士(マリーナ)は洗面所へ行ってしまった。



「しょうがねーなぁ。マリーナー!置いてくぞー?」


「それもダメー!」



「ったくー。」


「あの子、あたしに似たのかしらね。」


「ほーんと、危機感ゼロ。マイペースすぎるよ。」



「昨日の今日だしね。マウア、あんたの焦る気持ちもわかるわ。でも、あの子はあー見えて結構ベテラン。あの子を守る為に闇士にしたけど、

きっと父親の影響で正義感が強いのよ。わかってやりな。」


「うん。」



気性の荒さは母親似だな…。



「??何か言ったかしら?」



「ううん。そう言えば訓練場の騒ぎの時、マリーナ落ち着いてたなぁって思ってさ。」


「ね?そうでしょ?結構頼りになるのよ。」


「わかってる。」



それから、待っても待っても闇士(マリーナ)が戻って来ない。


ふあぁーぁ、眠くなってきたよ。これじゃ先に、護衛団が片付けちゃうぜ。



「マウちゃんお待たせー!服選んでたら遅くなっちゃった。」


「服ー?」



闇士(マリーナ)の姿は、動きやすそうな旅人仕様になっていた。


ふむ、確かに昨日は女の子らしいラフなお出かけ用だったな。ボーイッシュに見えるけど、それでもオシャレに悩んでたのか?



「まぁいいや。マリーナ急ぐぞ。」



「え?ちょっ、ちょっと待ってよーマウちゃーん!まだ靴が…。」


「二人とも、無理するんじゃないよー。」



「ブーツでいっか。行ってきまーす。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ