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「……今日も来てますぜ、姐御」
窓際の席の友達が立ち上がり、くすくす笑いながらあなたの席にやって来た。
わざとふざけた口調で話しかけてくる。
「今日も出入りですかい?」
「そんなんじゃないよ。バイト」
「ああ、掃除のバイトだっけ。でも妙なメンバーだよね」
「そうかな? それより日曜日の約束、忘れないでね」
今度の日曜日、あなたは友達と遊びに行く約束をしていた。
ゲームセンターに行くのだ。
(美鳥ちゃん、ゲームのほうにもはまってくれたらいいな)
あなたの好きなゲームが深夜アニメになったので、漫画研究部に所属するアニメや漫画好きの友達が興味を持ち出している。
日曜日は一緒に楽しみたいと思いながら、あなたは彼女と別れて校門へ向かった。
校門には、四人の少年と一組の男女が待っていた。
少年のうち三人は同じ学校の男子生徒で、ひとりだけ制服の違う他校生だった。
「……えっと、現地で待ち合わせでも良かったんじゃないですか?」
あなたの発言に、空気が張り詰める。
四人の少年たちが視線を交し合っているのがわかった。
(そんなにわたし、未熟なのかなあ。全員でガードしなくちゃ心配なほど?)
悪霊の事件の後、あなたは退魔師として修行を始めた。
自分で言うのもなんだが、かなりの実力があると自負している。
しかしあのとき出会った妖怪や退魔師たちは、実習兼仕事のたびにあなたを心配して、こうして迎えに集まってくれる。妖怪少年のひとりは、わざわざこの学校に転校までしてきた。
(まあ経験も少ないし、仕方ないか)
そう諦めているあなただが、友達にはあなたが彼らを引き連れているように見えるらしい。
「まあまあ、安全第一だぜ?」
「みんなで仲良く行こうではないか」
「そうですよ」
「だよな」
「いいけど……」
「んじゃ行こうか」
「ああ、姐御が来たから出発だね」
みんなと行動を共にするのは好きだ。だからこの『姐御』という、いささか迫力のありすぎるあだ名も受け入れなくてはならないのだろう。
やれやれ、なんて思いつつも、結構今を楽しんでいる、あなたなのだった。
<逆ハーレム? 姐御END>




