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あなたはスマホを拾わず、近くの木の陰に隠れた。
そして、自分の英断を褒め称えた。
樹上の少年が翼を広げ、地面に降りてきたからだ。
真っ白だけど天使ではない。きっと、この山に住むという天狗だ。
「スマホ、スマホ。早く見つけねば魔獣園が始まってしまうぞえ」
神主のような服装に似合った、雅な天狗の言葉に首を傾げる。
(魔獣園って魔術師の魔獣園のことかな?)
元は全国のプレイヤーとオンライン対戦するカードゲームだった魔術師の魔獣園は、最近深夜アニメ化されて人気を博している。
あなたはゲームが好きで、友達はアニメに夢中だ。
(……ん?)
夜の山中で、天狗と遭遇して思い出すにしては、あまりにも場違いな情報だった。
あなたはまだ自分のことも、復活させたいと願う恋人のことも思い出せていない。
そんな自分に首を傾げながらも、息を潜めて転ばないよう気をつけながら霧の森を急ぐ。
やがてスマホを探して騒ぐ天狗の声が聞こえなくなった。
距離も取ったし、風の向きも変わったらしい。
気づかれずに済んだようだ。
立ち止まり、あなたは小さく安堵の息を漏らす。
(これからどうしよう……)
このまま進めば、元の場所だ。
今度はウサギが見つかる方角がわかるだろうか。
「……え?」
なにかの気配を感じて、あなたは辺りを見回した。
もしかして天狗が追ってきたのか。
あるいは電波が入る場所を探してさ迷っているのかもしれない。
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