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高下駄を履いているせいか、前を行く天狗の動きは安定していなかった。
いつもは飛んでいて、滅多に歩かないのかもしれない。
とはいえ、空から見下ろすのでは、ウサギは見つからないだろう。
──たとえ本当の動物のウサギではないにしても。
しばらくひょこひょこと歩いたところで、彼はしゃがみ込んだ。
白い天狗が白い霧に溶けていく。
「……疲れたのう」
「じゃあ今夜はここで別れようか。カードはまた今度ってことで」
「嫌じゃ」
端整な顔をしているのに、子どもみたいに頬を膨らませて、天狗は左右に頭を振って見せた。
「でも……」
「そなた、河童と鬼、どちらが好きじゃ?」
「え?」
突然の質問に首を傾げると、彼はダルそうに立ち上がった。
「吾はもう歩けぬゆえ、友を呼んでおぶってもらおうと思う。一の字は河童で、丸は鬼なのじゃが、そなたが同行するならどちらが良いかの?」
あなたは答えに詰まった。
「どちらも嫌でないのなら、両方呼ぼうか。そなたも疲れたじゃろ? 丸はスケベだから、そなたは一の字におぶってもらうと良いぞ」
「ちょ、ちょっと待って!」
あなたは懐から取り出したスマホをいじり始めた天狗を止めた。
「どうするのじゃ?」
あなたは辺りを見回した。
鬱蒼と茂った木々と霧のせいで、どこにいても同じ場所のように感じるけれど、ここにいると四方から風を感じる。
どうやら最初にいたところへ戻ってきたようだ。
東から吹く強い風を浴びた瞬間、なぜか手の中でしずく型の石が震えたような気がした。
天狗は待つのに飽きたようで、スマホに指を走らせている。
悩んでいる暇はない。
河童と鬼、あなたが選ぶのはどっち?
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