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狭霧町奇談  作者: @眠り豆


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「いただきます」


空腹に耐えかねて、あなたはチョコウェハースを手に取った。

おまけのカード目当てで何度も食べた、懐かしい味だ。

甘味が体に沁みて、心と体が穏やかになっていく。硬いナッツの香ばしさが嬉しい。


(アルビノ、なのかな?)


何個目かのチョコウェハースを食みながら、こっそりと天狗を見る。

肌も髪も雪のように白かった。

瞳は黒いようでいて、月光を浴びるとほんのり赤く光る。濃い赤色だ。

長いまつ毛が赤い瞳に影を落としている。


「ところでそなた、どうしてこんなところにおるのじゃ? 狭霧山は、人間の来る場所ではないぞ」

「え、でも狭霧山には村があるでしょ?」

「うむ。妖怪が住む村じゃ」

「そうだったんだ」


来たことはなかったが、普通の村だと思っていた。

地元のローカル番組で特集されているのを見たこともある。

赤い瞳を見つめると、照れくさそうな笑みを返された。


(ウサギ……)


あなたは自分の目的と、思い出したばかりの名前を彼に告げた。


「ほう、ウサギを探しておるのか。……もしかしてそれは、先日の大会の優勝賞品だったウサ耳バージョンのかぐや姫カードを落としてしまったということか?」


心から同情している顔で尋ねられて、あなたは俯いた。

必死に笑いを堪えたものの、答える声が震えてしまう。


「う、ううん。あれはちゃんと家にある。コレクションアルバムに入れてるから」

「使わぬのか?」

「犬神のカードを手に入れたら、和風コンボで使おうと思ってるけど」


天狗の顔が輝いた。


「犬神ならダブりがあるぞ。バステトと交換じゃ」

「ありがとう」

「そういえば、そなたの名前は聞いたのに、吾の自己紹介はまだじゃったな。吾は天狗の雪比古じゃ。では行くぞ」

「え?」

「ウサギを見つけたら、そなたの家まで送っていこう。バステトのカードも家にあるのじゃろ?」

「う、うん……」


しずく型の石を握った手の平が痛んだような気がしたけれど、断れる雰囲気ではない。

カード交換を夢見る白い天狗の細い背中を追いかけて、あなたは歩き出した。


*あなたは天狗の名前を知りました。

雪比古。彼の名前数は『+4』です。

☆のついた番号の章へ行ったとき、その番号に4を足した番号の章へ進むと、なにかあるかもしれません。もちろん普通に選択肢を選んで進んでもかまいません。

それでは──


→44へ進む

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