29
「のう、そなた……」
しばらく行ったところで、天狗が口を開いた。
「わたし?」
「うむ。そなた、魔獣園のプレイヤーネームはなんと申す?」
「……それはまだ、思い出せてない」
あなたは誤魔化した。
魔術師の魔獣園はカードから召喚したモンスターを戦わせて、召喚魔術師の頂点に立つことを目的としたゲームだ。同じモンスターでもバージョンが違うとグラフィックや能力が変化する。また、戦いを重ねればデータがセーブされ、同じカードでもレベルが上がっていく。
オンラインで戦うので対戦者の顔を見ることはない。
しかし名前は表示される。
中学二年生のときにこのゲームを始めたあなたは、中二病感あふれるプレイヤーネームを使用していた。
「プレイヤーネーム? ああ、雪のキャットクイーンみてぇなヤツか。てかお前、男のくせにクイーンって……」
「キャットクイーンっ!?」
あなたの意思を無視して、口から驚愕の叫びが飛び出した。
「キャットクイーンって、もしかしてこの前の大会で準優勝だった? 可愛い猫系女の子モンスターでデッキ組んでるから、女の子かと思ってた」
「吾はネコミミ萌えなのじゃ。そなたは何系のモンスターでデッキを組んでおる?」
「わたしは犬派だから、ケルベとオルトとアヌビスで……あ」
しまった、と思ったときは遅かった。
キャットクイーンとは、この前の大会で対戦している。
「ふむ。そなた、狭霧地区の優勝者ダークドッグ殿であったか」
「う、うん……」
「どうかしたのか、ダークドッグ殿」
「あんまり、その名前で呼ばないでくれるかな。……中二病っぽいでしょ?」
「良い名だと思うがのう」
「ありがとう」
「では本名で呼び合うとするか。そういえば自己紹介がまだだったな。吾は雪比古じゃ」
あなたはさっき、鬼にもらったまんじゅうを食べたときに思い出した名前を告げた。
「……お前ら、さあ」
「どうした、丸?」
「なにかあった?」
「俺にもわかる話しろよ」
唇を尖らせて拗ねる鬼の姿は、なんだか可愛らしかった。
*あなたは天狗の名前を知りました。雪比古です。
鬼と天狗、ふたりの名前を知ったトライアングル数は『+24』です。
★のついた番号の章へ行ったとき、その番号に24を足した番号の章へ進むと、なにかあるかもしれません。
それでは──
→98へ進む




