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狭霧町奇談  作者: @眠り豆


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「いただきます」


空腹に耐えかねて、あなたはまんじゅうに手を伸ばした。

逆の手が少し痛んだような気がしたが、気のせいだろう。


「……美味しい」


思っていたよりも繊細な味だった。

空気を含んだ、なめらかで軽やかな皮。

きめ細かい餡子は、ほろりと口の中で溶けていく。砂糖の甘味が体に沁みる。

赤ん坊の寝顔は濃いお茶で描かれていた。

その苦さがアクセントになって、甘さをさらに引き立てる。


「まだあるぞ」

「ありがとう」


あなたは夢中で、一気に五個の饅頭を腹に収めた。

腹の皮が突っ張ると目の皮がたるむとか言うけれど、お腹が満たされたあなたは、不思議と頭がハッキリしてきた。


(こんな時間にこんな場所にいるのは、どう考えても変だよね)


あなたは家のベッドで眠りについたはずだ。


「……なあ、訊いてもいいか? お前、なんでこんなところにいる?」


低い声で優しく尋ねられて、あなたは正直に目的を話した。


「へーえ。恋人を復活させるためにウサギ探してんのか。んー……」


彼は南、自分が来た方角を振り返った。


「……アイツが一番いいんだけど、邪魔したら姉貴に殺されるだろうしな……」


小声で呟いた後、鬼はあなたに向き直る。


「よっしゃ。俺の友達に頭だけはいいのと機転が利くのがいっから、ソイツら巻き込むぞ」

「え?」

「協力してやる、ってんだ。俺は若丸。お前は?」


お腹がいっぱいになったおかげか、あなたは自分の名前を思い出していた。

それを告げる。


「わかった。後、これ着ろ」


彼はジャージの上を脱いで、あなたに押しつけてきた。


「お前、パジャマが霧や夜露で濡れて……目の毒なんだよ」

「あ、ありがとう」


あなたは鬼が着ていたジャージを羽織った。


「じゃ行くぞ」

「う、うん」


広く逞しい背中を追いかける。

鬼はジャージの下に、髪と同じ色の赤いタンクトップを着ていた。


*あなたは鬼の名前を知りました。

若丸。彼の名前数は『+2』です。

☆のついた番号の章へ行ったとき、その番号に2を足した番号の章へ進むと、なにかあるかもしれません。もちろん普通に選択肢を選んで進んでもかまいません。

それでは──


→24へ進む

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