22
「いただきます」
空腹に耐えかねて、あなたはまんじゅうに手を伸ばした。
逆の手が少し痛んだような気がしたが、気のせいだろう。
「……美味しい」
思っていたよりも繊細な味だった。
空気を含んだ、なめらかで軽やかな皮。
きめ細かい餡子は、ほろりと口の中で溶けていく。砂糖の甘味が体に沁みる。
赤ん坊の寝顔は濃いお茶で描かれていた。
その苦さがアクセントになって、甘さをさらに引き立てる。
「まだあるぞ」
「ありがとう」
あなたは夢中で、一気に五個の饅頭を腹に収めた。
腹の皮が突っ張ると目の皮がたるむとか言うけれど、お腹が満たされたあなたは、不思議と頭がハッキリしてきた。
(こんな時間にこんな場所にいるのは、どう考えても変だよね)
あなたは家のベッドで眠りについたはずだ。
「……なあ、訊いてもいいか? お前、なんでこんなところにいる?」
低い声で優しく尋ねられて、あなたは正直に目的を話した。
「へーえ。恋人を復活させるためにウサギ探してんのか。んー……」
彼は南、自分が来た方角を振り返った。
「……アイツが一番いいんだけど、邪魔したら姉貴に殺されるだろうしな……」
小声で呟いた後、鬼はあなたに向き直る。
「よっしゃ。俺の友達に頭だけはいいのと機転が利くのがいっから、ソイツら巻き込むぞ」
「え?」
「協力してやる、ってんだ。俺は若丸。お前は?」
お腹がいっぱいになったおかげか、あなたは自分の名前を思い出していた。
それを告げる。
「わかった。後、これ着ろ」
彼はジャージの上を脱いで、あなたに押しつけてきた。
「お前、パジャマが霧や夜露で濡れて……目の毒なんだよ」
「あ、ありがとう」
あなたは鬼が着ていたジャージを羽織った。
「じゃ行くぞ」
「う、うん」
広く逞しい背中を追いかける。
鬼はジャージの下に、髪と同じ色の赤いタンクトップを着ていた。
*あなたは鬼の名前を知りました。
若丸。彼の名前数は『+2』です。
☆のついた番号の章へ行ったとき、その番号に2を足した番号の章へ進むと、なにかあるかもしれません。もちろん普通に選択肢を選んで進んでもかまいません。
それでは──
→24へ進む




