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あなたはバスケット少年に声をかけないことにした。
こんな時間にこんな場所でシュート練習をしているなんて、どう考えてもおかしい。
自分のことを棚に上げて思い、あなたはその場を離れた。
シュート練習に夢中な少年はあなたの存在に気づかなかった。
(お化けだったのかもしれないけど、出る場所を間違えてる気がする)
一心不乱にシュート練習をするバスケット少年のお化けが出るのなら、山中の川原より学校の体育館のほうが似合っている。
首を傾げながら、あなたは来た道を戻った。
息を潜め、転ばないよう気をつけながら霧の森を急ぐ。
急な傾斜の坂道を登るのは、なかなか疲れる。
やがて水音が聞こえなくなった。
距離も取ったし、風の向きも変わったらしい。
謎のシュート練習少年には気づかれずに済んだようだ。
立ち止まり、あなたは小さく安堵の息を漏らす。
(これからどうしよう……)
このまま進めば、元の場所だ。
今度はウサギが見つかる方角がわかるだろうか。
「……え?」
なにかの気配を感じて、あなたは辺りを見回した。
もしかして謎のシュート練習少年が追ってきたのか。
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