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狭霧町奇談  作者: @眠り豆
151/156

☆150

──あなたは、自宅のベッドで目を覚ました。

なにか夢を見ていたような気がしたが、内容は思い出せない。

あなたはいつものウサギ柄のパジャマを着ていた。

どこも破けていないし、霧にも夜露にも濡れていない。

パジャマ以外のものを羽織ってもいなかった。

昨夜夕食を摂らなかったから、ひどくお腹が減っている。

あなたはベッドから出て、大きく伸びをした。


そして、


「……あー、美味しかった」


今朝は母が特製のフレンチトーストを焼いてくれた。

夕食を摂らなかったあなたを案じて、昨夜から用意してくれていたのだ。

甘さ控えめの卵液に一晩つけたフランスパンは、プリンのようにやわらかくて、ほのかな弾力があった。カリカリのベーコンエッグにも合ったし、グラニュー糖をかけても美味しかった。

お腹いっぱいのあなたは、幸せな気持ちで通学路を進んだ。

進んだ、のだけれど──足は次第に重くなっていった。


(遠回りしようかな。走ったら遅刻しないかも)


いつも不気味に思っている無人のアパートの前を通るのが、今日は無性に嫌だった。

それでいてなぜか、どうしてもそこに行かなくてはいけない気もする。

石のように重くなった足を引きずって、あなたは歩いた。


「……」


あなたは結局、いつもの道に進んだ。

狭霧町3丁目236番地──

普段以上に不気味に感じるアパートの前に、人影がある。

心臓が跳ね上がった。足が自然に早足になる。


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