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(金属製の斧は木を切り倒す!)
あなたは昨夜、若丸に教わった五行の『相剋』を思い出した。
ここは幻の世界。
消えた扉を浮かび上がらせたように、昨夜土気色の手を退治したように、あなたは霊力を操ることができるはずだ。
強く念じたあなたの前に、白い光が出現した。
光の刃で襲いくる青い蛇を切り裂く光景をイメージする。
イメージのまま、光はチェーンソーのようにくるくると回転しながら、青い蛇を上下に分断した!──が、
きしぇえええっ!
上下ふたつに別れた蛇は嘲笑うような声を上げて、青から紫、紫から赤へと色を変えた。
炎だ。
赤い炎はあなたの白い光を溶かしてしまう。
「……バーカ」
低い声が言って、あなたの頭上に太い腕が伸ばされた。
「赤鬼が一緒なの、気づいてなかったのかよ」
腕の先の大きな手は広げられている。
若丸が指を曲げると、赤い蛇が色を変えた。
赤は赤なのだが、前よりも鮮やかで心地良い色だ。
「あばよ」
ぎゅっと若丸が拳を作ると、赤い蛇が消え去った。
断末魔を残して男も消えていく。
「これで……」
あなたが暗闇を見回した瞬間、辺りは眩い黄金の輝きに包まれた。
……ワーイ……
……コレデ オカアサンノ トコロヘ カエレルネ……
……オネエチャン アリガトウ……
……アカオニサンモ アリガトウ……
楽しそうな子どもの声が、どこかへ昇っていく。
──やがて、あなたと若丸は、壊れかけたアパートの一室にいる自分たちに気づいた。
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