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あなたたちは力を合わせて、二階の東角部屋にあった霊力を運ぶカラクリを壊した。
霊感少女だった記憶はかけらもないのだが、あなたの強い霊力が一平の役に立ったようだ。
二階の外廊下に、風が吹き抜けていく。
幻の世界だなんて忘れてしまいそうになる。
一平が青い布でできた腕輪をいじって、首を傾げた。
「どうしたの?」
「退魔師たちに連絡できないんだ」
「……もしかして、この部屋のものを壊したから?」
「それは関係ない。むしろ壊したからこそ、結界が薄くなっているんだが」
ふっと嫌な気配を感じて、あなたは振り返った。
二階の西端には鉄の扉がなく、壁だけがある。
悪霊が生前暮らしていた部屋で、今も本拠地にしている場所だ。
腕輪から手を離し、一平がうな垂れる。
「退魔師たちが思っていたより、悪霊が強かったのかもしれない。ヤツを倒すしか結界を出る方法はないのか……巻き込んでしまって、すまない」
あなたは彼の手を取った。
「謝らないで。巻き込んだのはわたしのほうだよ。昨日手を倒したように、ふたりで協力して本体も倒しちゃおうぜ!」
「女の子が荒っぽい言葉を使うなよ」
注意を口にしながら、一平は微笑んだ。
「俺たちは実体じゃないから、悩んでいる間に悪霊に取り込まれてしまうかもしれない。素早く、確実に勝負をつけるんだ。……俺が囮になる。木気の悪霊は、水気の俺を好むからな」
あなたは──
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