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狭霧町奇談  作者: @眠り豆
103/156

102

「刃くんと一緒に、二階へ行ってもいいですか?」


無精髭の男は頭を抱えてしゃがみ込み、わざとらしい溜息を漏らした。

日本刀を持った学生服の少年が微笑む。


「ええ、行きましょう」

「こんなことになるんじゃないかと心配してたんだよ。いいかい? 君たちはふたりとも一人前じゃないんだから、無茶するんじゃないよ。なにか見つけたら、すぐ報告、連絡、相談。ホウ・レン・ソウだよ、ホウ・レン・ソウ!」


刃はイタズラな笑みを浮かべて、珠樹に答えた。


「OK、ダディ」

「刃くん!」


うろたえた様子の珠樹を見て、刃はあはは、と楽しげな笑い声を響かせた。


(もっとおとなしいのかと思ってた)


意外に思いながらも、あなたは彼を追って、啼くように軋む錆びた階段を上がった。


「……あれ?」


ちょうど階段を上がったところが、生前の悪霊がすんでいた西の角部屋のはずなのに、そこには扉がなかった。壁しかない。

隣を見る。真ん中と東の角に、それぞれ一部屋ずつ。全部で二部屋しかない。


「あなたがいても、最後の砦は隠してるんですね」

「え?」

「あ、気づいてなかったんですね。ここは現実じゃありません。あなたと悪霊のつながりを利用して、結界の中に入ってるんです」

「わたしたち実体じゃないってこと? 本当の体は?」

「昨夜のあなたと違って、幽体が実体から抜け出てるわけじゃありません。うーん……実体が霊力化してる感じかな?」


あなたは首を傾げた。よくわからない。


「たぶんあなたなら、ここの隠れた扉も開けられるでしょうけど、まずほかの部屋を調べてみましょう」

「大丈夫なの? 罠……とか」

「ああ、あるでしょうね。でも大丈夫です。僕は結構強いし、悪霊は昨日片手を失って弱体化してます。本拠地を隠すのでいっぱいいっぱいなんじゃないかな」


刃はなんだか機嫌が良かった。


「あ、そうだ。ひとつ聞いてもいいですか?」


本当は質問したいのはこちらのほうだったが、あなたは頷いた。


「あなた、蛇って好きですか?」


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