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あなたは二階、真ん中の部屋の扉を開けた。
畳敷きの和室だ。
壁は土壁で、ところどころ崩れている。小さな窓から明かりが差し込んでいた。
長く人が住んでいないせいか、畳は毛羽立ち変色している。
家具もなにも置いていない寂しい部屋だ。
特に目を惹くものはない。
「あれ?」
あなたは風を感じて振り向いた。
東から吹き込んだ風が、西へと流れていく。
土壁がボロボロになった古いアパートだからだろう。
ここは幻の部屋だが、現実の部屋を模したものでもある。
土の匂いがする風が気になって、しばらく部屋を調べてみたけれど、結局なにも見つからなかった。
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