〜 儚き想い 〜
部屋へ戻ると
琉生はもう来ていた。
片付けを無言で始めようとする渚に話しかける・・・
琉生「・・・卯月」
渚「・・・?」
琉生「今日は・・・見てたのにも関わらず・・・
何もしてやれなくてごめんね・・・」
渚「・・・別に、他人だし・・・」
琉生「ねえ・・・それさ本気で言ってる?」
渚「え?」
琉生「他人とか・・・やめてよ。
クラスメイトじゃん・・・それに同室なんだから・・・
友達とか・・・あるじゃん」
渚「・・・友達?」
琉生「そ、友達」
渚「・・・でも、友達・・・」琉生「いいから」
渚「・・・え?」
琉生「誰になんて言われようと
友達なんだから、いいんだよ」
渚「・・・如月さん」
琉生「・・・あと、その呼び方やめよっか」
渚「・・・?」
琉生「私は卯月のこと渚って呼ぶから・・・
その代わりに私のこと琉生って呼んでね」
渚「でも・・・」
琉生「いいから
呼んでっていってるんだからそれでいいんだよ?」
渚「・・・うん」
琉生「あ、ごめん・・・
片付けの途中だったね。手伝うよ・・・」
渚「・・・え、悪いよ」
琉生「友達・・・でしょ?」
渚「・・・うん、ありがと」
琉生「・・・うん!!」
片付けもすぐに終わり
お互いに話すことになった。
(へー・・・琉生ってバスケ部なんだ・・・)
渚「バスケ部?」
琉生「そ!入らない?」
渚「・・・でも、やったことない・・・」
琉生「いいんだよ、そんなの
教えてあげるから」
渚「・・・琉生」
琉生「あ、琉生ってやっと呼んでくれたね」
渚「・・・ッ」
琉生「・・・おっ、もう11時早く寝なよ?
今日はいつもより疲れたと思うから」
渚「・・・あ、うん」
琉生「おやすみ、渚」
渚「・・・おやすみ」
二人は
疲れたのかすぐ眠った。
ーーーーーー翌朝。
渚が起きると
もう、琉生はいなかった。部活の朝練だ。
着替えて部屋を出ると望月唯が待っていた。
望月唯は、渚の元ルームメイトで友達だ。
唯「渚、おはよう!!」
渚「おはよ、唯」
唯「どう?新しいクラスには慣れた?」
渚「んー・・・まぁまぁ・・・」
唯「そっか〜、うちのクラスはめっちゃうるさいよー(笑)」
渚「・・・そうなんだ」
唯「そういえば、ルームメイトって誰?」
渚「・・・如月琉生」
唯「・・・え!?如月琉生!?」
渚「うん・・・」
唯「大変じゃんっ」
渚「え?」
唯「みんなの人気者なんだよ?
去年は私みたいな凡人だからよかったけど・・・
今年は格が違う・・・
あの星月雅まで手に入れようとしてるんだから」
渚「・・・そ、そうなんだ・・・」
(・・・気が重い)
教室の前で唯と別れ
教室に入ると琉生も来ていた。
親友と話していた葉月玲という子と話していた。
琉生「渚、おはよう」
渚「・・・おはよ」
琉生「この子は、葉月玲。
私の親友で、風紀委員」
玲「よろしくね」
渚「・・・よ、よろしく・・・」
雅「あら〜、渚ちゃんいたの〜?
存在感なくてわからなかったわ」
琉生「雅!!」
雅「ぜんぜん目に入らないんだも〜ん」
絢「・・・雅ちゃん」
雅「・・・なに?邪魔しないで・・・」
パチンッ 雅「きゃっ!!」
絢は雅の頬を引張叩いた。
絢「やめなよ、雅ちゃん・・・
そんなことする雅ちゃんなんて見たくないよ・・・
本当はいい子なのに・・・」
雅「うるさいわね、あんたに関係ないでしょ!!」
絢「関係なくないよ・・・?
雅ちゃん、いい加減にしてよ・・・
最後に傷つくのは雅ちゃんだよ?」
雅「・・・ッ」
絢「・・・もうやめようよ」
その場で雅は泣き崩れた。
それを支えるように絢は雅と教室から出た。
玲「問わず・・・一件落着か・・・
今日は桜月に感謝だな」
琉生「ああ・・・」
渚「・・・」
(・・・)
その日以降、雅からの嫌がらせはなくなった。