『嘘』
これからひとつ作り話をしようとおもう。
――人生とは物語である。
の『逆』にいえば、
――物語とは人生である。
と、対になる。
彼ら4人が述べた6つの不思議な物語は、6つの人生があった。
例え、その場で与えられたその場しのぎの物語であっても、その物語には仮初めの人生があり、その人生には主人公がいる。
そう彼らが述べた話には6人の主人公がいる。
『七不思議』バスターズは、七不思議を暴くべく1人の主人公が夜の学校に侵入するという物語。
『椅子取りゲーム』では、こっくりさんを実施した者たちが主人公という物語。
『二重影』は、"俺"が主人公で女の子1人の物語。
『自殺』はイジメが高じて、殺人のハードルが下がっているという物語。
『川遊び』は逃れようのない"死"という恐怖を得てしまった人を、もし自分が患ってしまったらと想像した物語。
『有力者』は地元の有力者に対する嫉妬でイジメられた人の物語。
そのどれもが話を面白おかしく作った『嘘』がある。
彼らはその嘘を嘘として作った。
けれども、彼らにとって作られた『嘘』は、描かれたひとつの出来事として為る。
彼ら4人はいま6人の主人公のそれぞれの人生に『嘘』混ぜて生み出した。
人生として歩むことになった主人公たちは、その嘘を交えて生きることが出来るだろうか。
また、彼らの口から語られた6人の主人公。
その彼らを生み出した4人。
彼らを作り出したというもっと上位の話し手がいて、その話し手が4人の主人公を作り、更に6人を作った。
上位の話し手である作者の人生も物語かもしれない。
物語は物語として伝播する。
伝播した彼ら4人の人生は物語である。
彼ら4人が作った6つの物語を作って終わりにし、火照った身体を休ませて"僕"の妄想へと洒落込むか。
または、そんなものに洒落込まずに、そのままその日を終えるか。
もしかしたら、4人ともが百物語の100話目を自分自身で体験するかのように、彼らの身に七つめの物語を体験するか。
それは彼らの物語が中途で途切れるか。
それは彼らの物語は続行するか。
作者たる最上位の物語を歩む者としても、分からない。
ただ、言えることは彼ら4人の物語を以って、語られる『七不思議』完成と為る。
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――ねぇ、やっぱりきみのことがだいじだからさ。
――だいじなきみにはひとつ、つくりばなしをしよう。
――それはね。
――あるところに、4人の――