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最強錬金術師少女の適当な日々。(仮)  作者: 休憩室長
第一章 《勇者と錬金術師》
1/2

ティリシャ、始まりの旅に出る……つもり。

 スランプ入った……。

 全然筆が進まねぇ……。

 でも始まってしまった……。

「……ねぇ、【箱庭の錬金術師】って知ってる?」


 控えめに話す旅の女商人は、知り合いの妙齢の女性と商談終わりにちょっとした噂を話す。

 たまたま旅の途中で聞いた話なのだが、これがまた結構な商談ネタになったりするから馬鹿に出来ない。


「……【箱庭の錬金術師】?」


 妙齢の女性は女商人の言葉に聞き返し、首を傾げる。


「うん。たまたま旅の途中で聞いた話なんだけれどねぇ。」

「はぁ……(こくん)?」

「……人拐いして人体実験したりとか、悪魔召喚を行って町をいくつか滅ぼしたとか、色々な国で噂されているんだけれど……。」

「怖~~~~~~っ……!!なんなんですか、その【箱庭の錬金術師】って!?」


 震える妙齢の女性は青ざめた顔で続きを促す。

 妙齢の女性は噂好きなのだ。

 相変わらずな彼女の態度に苦笑いを浮かべる女商人。


「……うん。なんでも【不老不死の錬金術師】とか、【悪魔の錬金術師】なんて呼ばれていたりするんだけれど、実はこの国の近く……、精霊の森の奥深くに住んでいるとか居ないとか……ね。」

「……えっ………………!?」


 いたずらが成功した子どもの様に顔に笑みを浮かべる女商人は、妙齢の女性の表情を見て満足したように頷いてから、あくまで噂だからと言って村を出る準備をする。


「……それ本当なの?」

「ははは、あくまで噂だからって言ったじゃないか。本当のところは知らないよ。」

「……でもまぁ、面白い話だったし、また何か面白い話お願いね?」





「……な~んて噂が森の外で流れているわけですが主。」

「…………何?」


 朝の日差しが差し込む時間。

 場所は変わって小さな家。


「いい加減誤解を解こうと思わないんですか!?」

「…………何故?別に私、困ってない……。」


 そんな所ーー人が殆ど立ち寄らない事で有名な、ロークフォート王国西南部の森【精霊の森】、その奥深くに位置する一軒の小さな家ーーでは、二人の人物がちょっとした口論?を展開していた。


 一人は薄青い髪を腰まで伸ばし、黄緑がかった瞳を持つ人間離れの美しさを持つ十代半ば頃の少女。

 魔法使いが着るような黒いローブと黒い魔女帽を被り、キリリとした顔で何事かを怒鳴っている。


 対するもう一人は足の踝迄届く、眩しい程に輝く純白の艶やかな髪、髪と同じでこれまた純白のきめ細やかな肌、瞳は紅緋と蒼藍のオッドアイという、どの世にも二つと無いだろう、そんな神秘的で美しい容姿を持つ十代前半頃の少女。

 これまた白いスカートワンピースを着ている上、表情は完全に無表情なせいで余計に神秘的に見える美しい少女。


 そんな二人の幻想的な風景、もとい見る者が見れば奇声を発して倒れる位の光景はしかし、薄青い少女の怒鳴り声で掻き消される。


「……主っ!主は良いかもしれませんが、貴女の『子』である私からすれば腹が立つのですよ!?」

「………でも不老不死は本当……。」

「不老不死だけでしょうっ!?」


 そんな二人の言い争い?は森の中なので、実質殆ど誰も迷惑してはいないのだが、そこに一人、割り込んでくる。


「も~………、はーいそこまでっ!!二人共喧嘩はメッ!だよ?」


 二人の少女の口論?に割り込む狐の獣人少女。

 その割り込んだ少女もまた、十人が十人全員振り返るような美少女で、金の髪と金の瞳を持つ『伝説の』金狐族、フェネクルの少女だった。

 そのフェネクルの少女は、薄緑の修道女服に身を包み、優しげな顔を怒りに染めながら二人を諌める。


「はぁ~…、アイリスさん、取り敢えず買い物行った後なんですから、荷物を倉庫に持って行ってください。院長はこの孤児院の院長なんですから、噂問題をどうにかしてくださいね。」

「……でも私、困っt…「困って無くても誤解を解く努力してください。」………はい…。」

「……えっと…すみません、フェリアさん。先に荷物を倉庫に持って行くべきでしたね……、ごめんなさい……。」


 そうしてこの孤児院ではいつもの三人と、複数の孤児達が暮らしていたのだった。





「……魔王………ですか……?」


 ここはロークフォート王国首都、ゼパロアの冒険者ギルドゼパロア支部である。

 孤児院での日常的な光景から2日、そこには小さな白いのローブの者と、この支部のマスター【鉄塊のブランコ】ことブランコ・オルジエが話をしていた。


「ああ。……なんでも最近復活したらしくてな、近々侵略を始めるっていう……。そんで今王国が軍を召集しつつ、異世界からも援軍……もとい勇者を召喚するらしい。」

「……それ、勇者必要……?私だけで十分だと………。」


 ローブ姿の者はそう言って、オラーナ(オレンジみたいな果実)の果汁水をこくこくと飲む。

 ブランコはその様子を眺めながら、溜め息を吐く。


「はぁ……、確かに【箱庭の錬金術師】たるあんたが居りゃ百人力だが、お前知らねぇのか?色々黒い噂ばかりだから、『魔王側』って……言われてんだぞ?正体ばれたらヤバくないか?」

「……何それ意味不明…。私、別に魔王側じゃない……。」

「お前が噂を放置するからだろ……。」

「むむむ……。」


 ローブ姿の者は唸りながら、頭を抱える。

 ブランコは苦笑いをしつつ、麦酒(ビールのような酒)を煽る。


「んぐ、んぐ、んぐ……ぷはぁ。なぁ、ところでティリシャ、暑くねぇのか?今は火の月(日本でいう八月。この世界では火の精霊が最も多くなる事からそう呼ぶ)だぜ?」

「……暑いよ?」

「……じゃ脱げよ!!」

「……イヤンエッチ~……。オンナノコニ……イウコトバジャナイヨ~……。」

「お前、くっそな棒読みするなよ……。」


 ティリシャ、と呼ばれたローブ姿の者はそう冗談を言いつつも暑いのでローブを脱ぎ捨てる。

 すると周りの者達は絶句してまるで時が止まったかのように動かなくなる。


「……相変わらずだな、お前。」

「……仕方がない………よ…。容姿ばかりは……固定されてるから……。」


 彼女はティリシャ・エウレイン・フェリメラ。

 孤児院【聖フェリメラ保護院】の院長にして、精霊の森の守人……のような事をしている。

 二つ名は【箱庭の錬金術師】。

 不老不死の少女である。


「……でブランコ。……魔王の話のために…私を呼んだの……?」

「ああ、そうだったティリシャ。お前旅に出てくれないか?」


 いきなりの提案である。

 ティリシャは思案しながら、目を向けて続きを問う。


「……ん、何故俺がこんなことお前に言うか、ってやつか……?さっき話したように魔王が復活したって言っただろ?」

「………それと私とどういう関係……?」

「うちの嫁さん魔術師だから王国軍に連れてかれたんだ……。だからさっさと魔王倒して連れ戻してくれ。お前だけが頼りなんだよ……。」


 そう言ってブランコは申し訳無さそうに頭を下げる。


「…………報酬に……よる………。」


 ティリシャはそう言って、周りに目を向ける。

 周りは相変わらず硬直化していて復活する目処はなかった。

 そんな光景を全くの無表情(常に無表情だが)で眺めつつ、ティリシャは自分のオラーナの果汁水を飲む。


「……はぁ、わかった。この前討伐された古代竜の素材一式ならどうだ……?」

「……ん、あともう少し…。」


 ブランコにそう要求するティリシャ。

 ブランコは苦虫を噛み潰した様に顔をしかめながら、じゃあ、と続ける。


「……古代竜一式と世界樹の枝………なら?」

「…………聞いたところに……よるけど、古代竜の卵……もあるみたい……だよね………?」


 ティリシャは相変わらずの無表情でそう言う。

 ブランコは更に顔をしかめながら、再び溜め息を吐く。


「はぁ~…、わかったわかった、手配しとくよ。……全く、人使い荒い奴だ…。」

「……お互い様…………。」


 そう言ってティリシャは小銭を机の上に置く。

 オラーナの果汁水のお金である。


「はぁ~…、それじゃあ頼むぞ……?」

「……ん、じゃあね…………。」


 その後、席を立ったティリシャは再びローブ姿になり、王都の町へと消えていった。

 その時、ブランコはもう一杯、麦酒を注文しつつ、ティリシャが出ていった扉を眺める。


「……不安だ。非常に不安だ。……大丈夫なのか、ティリシャ……?なんかまた面倒な事にならなきゃいいんだが……。」


 ブランコのその哀愁漂う呟きは、時が止まったかのように静まりかえったギルドに、静かに響いたのだった。





『□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ーー。』


 ティリシャがブランコとの会話を冒険者ギルドで話している時、王城では勇者の召喚を行っていた。


『□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ーー。』


 何百もの魔術師、魔導師、魔法使い達が集い、ただひたすら呪文を紡ぐ。

 そこにはブランコの妻も居た。


『□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ーー。』


 延々と呪文を紡ぎ、ある者は倒れるまで魔力を使い、ある者は酷使した魔具が壊れたり、ある者はただひたすら儀式に集中していた。


『□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ーー。』


 そんな中遂に魔力陣が強く輝き出す。

 世界をつなぐ門【異界門】だ。


『□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ーー。』


 クライマックスを迎え、魔術師達は力を強めていく。

 そして段々と光が強くなり、もう目が開けられないほど光輝く中、人のようなシルエットが浮かぶ。

 どうやらその体つきは(・・・・)少女のようだった。


『□□□□□□□□□□□□□□□ーー………っ!?』


 パリンッ、という硝子が割れたような音と共に光が晴れると、魔力陣の中心に金の髪と銀の瞳を持つそれは美しい少女がいた。

 流れる髪は腰まで伸び、艶やか。

 肌は白く、柔らかそうで、体つきは華奢。

 胸はそう大きくはないが、それでも女らしさが強調された身体を持つ美少女がそこに召喚されていた。

 ただし、中身は……。


「……んえ?ここどk……って声が変……。え、何?……って女になってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」


 異世界、【アース】から来た【ニホン】という国の【ダンシコウコウセ】だった。

 はいはい、テンプレテンプレ……。

 勇者召喚とかテンプレだわぁ~…。


 でも主人公じゃないっていう……。

 頑張れ勇者!理不尽に負けるな!


 次回、勇者と邂逅する主人公(ティリシャ)

 どうなるのかね~…(適当)。

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