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イレギュラー  作者: 夏也
初期実験
6/6

鬼を創った少年

「貴方は一体誰ですか?」

絶無は死音にかわらされた。

死音の瞳が紅く光る。

「僕かい?僕は黒兎。鬼を創りし者だよ」

「お前が鬼を創っただと?」

「そう、僕が鬼を創ったんだ。だから、乱楼鬼の事も、よく知ってるよ。彼女は本当に強いからね。些か、一回だけまかされたよ」

「………………」

「ん?どうして、君が出てくるんだい?乱楼鬼」

乱楼鬼は嫌そうな顔で、黒兎を見た。

喋る訳でもなく、何かしら動く訳でもない。

「はぁ……君はどうして、何も喋らないんだい?」

「………………」

「喋らないと、この子の存在消すけど?」

黒兎は乱楼鬼が使ってる身体を指差す。

すっと、スケッチブックとペンを取り出した。

そこにすらすらと文字を書く。

「ん?」

スケッチブックに書かれた言葉があった。

『人間と鬼では少し発声器官が異なるから、喋れない』

と、書いてあった。

「ん?あれれ?僕一応人間と同じ発声器官にしたはずなんだけど?」

またしてもすらすらと乱楼鬼は書く。

『音の出し方が微妙に違う。だから、化け物の発音になってしまう』

「うわぁ……。久々に失敗したんだ。まぁ……それよりも、何故君が表に出てきたかを話して貰うよ」

『話すではなく、書くが今の状態に合っている』

「……確かに」

『そう言えば、表に出てきた理由か。お前が一瞬だけだが、暴走しそうな臭いがしたからだ』

「‼︎……相変わらず、直ぐに分かるんだね。流石僕が創った最強の鬼だよ」

『ふ……メンタルは最弱だがな』

「そこは、自慢するとこではないからね?」

『関係なかろう。だが、また暴走しそうとは何事だ?』

「ふふ、ちょっとばかしやってしまったんだよ。ほら」

黒兎はぺらりと服をめくった。

そこには、再生しようとしているが、何かに遮られて、再生できない傷ができていた。

『人間が作った対鬼用の武器ではないな。……呪詛…呪いの類いが混ざっている』

「あーそれで、中々傷が再生しないわけだね」

『理由が分かったならそれでいい。だが、私も一つ聞きたい事がある』

「何かな?」

黒兎はくすりと笑う。

『何故、我らの事をこの子に話してはならんのだ?』

「それね。今のその子の状態じゃ、何も分からないよ。まだ、君の話は信じてくれるからいいが、100%その子の中にできた、沢山の人格に関しては、信じてはくれないでしょ?」

『確かにそうだが、我が説明すれば可能ではないのか?』

「確かに可能だけど、逆に君に対しての不信感が現れる。それだけは避けたいだろう?何せ君の事を初めて肯定してくれた存在なのだからね」

『それよりも、元の場所に戻らないと、あっちの世界がこわれるだろ?』

「おっと、そうだった。それじゃあ乱楼鬼。これからの事楽しみにしてるよ」

黒兎はくすくすとした笑いを残しながら、虚空へと消え去った。


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