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イレギュラー  作者: 夏也
初期実験
5/6

鬼の存在

少女は咲狂でもなく、死音でもなく、絶無の状態で目を覚ました。

「ひっ………あ…」

か細い悲鳴が絶望から漏れる。

初めて見た屍。

それは無惨にも切り刻まれ、内臓はぐちゃぐちゃに踏み潰され、血は至る所に飛び散っていた。

そんな状態で悲鳴を上げない者は、精神異常者か、馴れている者だろう。

無論、それにまだ(・・)れていない(・・・・・)絶望が悲鳴を上げてもなんらおかしくない。

『あらぁ?咲狂、跡かたずけやってないじゃない。あ、主大丈夫ですかぁ?』

「だ、誰?」

『うふふふ……私は、楽観の感情、夢喰ゆめぐいよ」

「ゆ、夢喰……?」

『うふふふ。私はそんなに強く無いけど、それを消すぐらいなら出来るわ』

「で、でもそれじゃあ……この人が浮かばれない……」

『でもねぇ、そんな事言ってられないのが、今の状態なのよね。代わるからちょっとよけなさい』

絶無の意識は残ったまま、夢喰と代わった。

「さぁて、この死体が無かった事に、と」

つらつらと、何処からか出した和紙に筆で書いている。

すると、その書いた言葉通りに死体は、この場から消え去った。

「うふふふ……これで大丈夫よ」

夢喰はくすくすとおかしげに笑うと、絶無と交代した。

「っ……はぁ、はぁ……何あれ…あれが……私の中………?」

何を見たのだろうか、息は荒く、確実に現実ではないものを見たようの感じだ。

『すみません、主。夢喰にはちゃんと言っておきますから。あまり気分を害さないで下さい』

「ごめんなさい。でも……あれは一体?」

『あれは……というよりも、あの子は鬼、乱楼鬼らんろうきです』

「乱楼鬼……。あの子……鬼だったのね……」

『主のその力は、全て乱楼鬼の力、と言っても過言ではありません。乱楼鬼は最強の鬼と呼ばれています』

「最強の鬼?」

『はい。しかし、最強の鬼と言っても数多おり、その内の一体と思われがちですが、乱楼鬼はその鬼の中でも、桁違いの強さを持っております。要するに、正に最強の鬼と言う言葉が似合・・わない(・・・)鬼です』

「何故似合わないの?」

『力は強けれども、なんとも精神の弱い方だったそうです。ただ、最強と言われる所以ゆえんでは、それなりの努力家と言ってもおかしくありません。100年で修行を終わらせるのが普通だとしましょう。しかし、乱楼鬼はその修行を1000年で終わらせたのです。側からみれば遅く感じますが、乱楼鬼は基礎の基礎を何も考えずとも、完璧にこなす程の努力をしていたのです。それを知った鬼達は嘲笑う事を止めたそうです』

「う〜ん……あんまり喋って欲しくないんだよね、そういう事」

絶無はばっと声のする方に振り向く。

そこには凄く憂鬱そうな少年がたっていた。

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