感情の霊的人格の発現
「ん〜……中々やるね、人間共は」
少年はくすくすと笑う。
何処か楽しそうに、狂ったように笑っている。
「……でも、最強の鬼に耐えれたのが、一人ってのは、ちょっと残念かな?」
ふぅと、ため息をつく。
「本当、残念過ぎて、笑えるな」
笑顔でもなく、憂鬱そうな顔でもない。
はっきりと、呆れた顔をしていた。
後々絶無と呼ばれる少女は、おかしくなりそうになっていた。
理由は簡単。
自分の存在が抹消されていたからだ。
契約時そんな事は一言も言われていなかったからだ。
「聞いてない……。なんで…?…………私の……心を……………………また、壊すの………?」
至極真っ当に狂った答え。
嗤う事も叶わず、泣くことも出来ない。
ただ、辿り着いた答えが、狂う事だけだった。
「また……また…また、また、またまたまたまたまたまたまたまたまたまたまたっ‼︎人間共のせいで……私の全てを……総てを、壊されるのか?」
泣くことは許されない、嗤う事も許されない、怒る事も許されない、絶望するとこも許されない、ジャアナニヲスレバユルサレルノ?
『何もしなくていい。私が貴女を、絶対に護るから』
涼んだ声が何処からか聞こえてきた。
「……っ…誰?」
『私は、死音。貴女の感情の一つ、冷静からできた霊的な存在』
「……は?私の感情の一つ……?」
『そう。だから私達は裏切らない』
そこで、絶無の意識は途絶えた。
「さて……我が主を傷付けたやからは一体どこだ……?」
何時の間にか死音に変わっている。
「ふぅ………ふざけた所にもいるんだな」
鋭い両刃の剣を、複数ある内の能力の一つで生成した。
『ドスっ』
、と鈍い音が周囲に響いた後に、甲高い女性の悲鳴が響いた。
耳障りなのか、死音は耳を塞いでいる。
耳を塞ぎながらも女性に何かを聞き出すために、ゆっくりと歩み寄る。
「おい、人間。何故我が主を、このように絶望させたのだ?我が主に何の悪意があるのだ?」
悲鳴しか上げない女性にいっても、何も答えない。
「言いたくないか……なら、無理矢理聞き出すだけだ。なぁ……主の狂喜の感情…咲狂?」
言うと同時に歪んだ笑みを浮かべた。
「勿論だよ。とにかくいい声で啼いてくれよ
?楽しめねぇからなぁ?」
女性の顔が絶望に染まった事は言う必要もないだろう。