成功は失敗
「この世界はとても、とてもつまらない」
少年は憂鬱に呟いた。
「あぁ、いい事を思いついた。この世界に、一つ余興をまこう。そうすれば、暫くはつまらなくない」
少年はくすくすと笑うと、一つの種をまいた。
それが後に、人類の脅威となり、人類の武器となった。
「実験体No.002、来い」
真っ白な白衣を着た人間に、一人の男性が出て行った。
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁあぁああグチャッ…』
耳を劈く様な悲鳴と、何かが潰れた様な音。
全員が耳を塞いだ。
「実験体No.003、来い」
白衣が血に染められていた。
気の弱い者は少なからず、吐いていた。
次は、幼い少女だ。
幼い少女は無理矢理引きずられながら、連れられて行った。
『や、いやぁ…痛い、痛いよぉぉぉぉっ‼︎ひ、きゃぁぁぁぁぁああぁぱちゅっ』
破裂音。
次々と呼ばれては、全て失敗していった。
最後の一人となった少女はまだ、目を覚ましてはいなかった。
深い眠りについていた。
その閉じられた瞳は、実験の終わりに開かれた。
「まだ、起きていないのか?」
「えぇ、もうこのまましましょう」
「そうだな。おい、誰か実験体No.001を運べ」
少女は実験室へと運ばれた。
「始めましょ」
血の入った注射器が取り出された。
その血が少女に注入された。
「…何も起こらない?」
ふっと、少女の目が開いた。
瞳の色が血のように真っ赤だ。
「………消えろ」
そう、少女が呟くと、白衣の人間達が跡形も無く消えた。
「終わり…。これで、成功者は合計で0名。これで、この鬼達は失敗作として、破棄される。最強の鬼がね」
少し悲しそうに呟きながら、少女だったそれは、その場を去った。