生きる意味
儚い旋律。
全てを悟らせる様に、悟らせない様に。
何もかもが分かる様に、分からない様に。
そして【理】解する様に、【理】解出来ない様に。
殺した。
それは、とても悲しそうに、嬉しそうに、自分の居場所へと、帰った。
それは居場所につくと、色々な人に囲まれた。
一人は、狼人間。
もう一人は、吸血鬼。
もう一人は……と、沢山の種族がいる。
だが、全て元、人間だ。
そして、それも人間だった。
だが、それとその人達は、今も人間だ。
人間と他種族の混合生物なのだ。
ただ、ここには、それだけの生物は一切存在しない。
なら、どうしてそれが出来たのか。
その答えは単純だ。
鬼の血を媒介として作られたのだ。
だが、当初は鬼の血に耐えられる者はおらず、ほぼ全ての人間が、発狂し、死んだ。
そして、生き残った検体が今頂点に君臨している、絶無だ。
それからは改良に改良を重ね、出来たのが、今の新薬だ。
ただし、当初の物と比べると、格段に弱くなる。
「ん〜……何処かにいないのかしらぁ〜?」
その声が聞こえた瞬間にそれは、一瞬で消えた。
なにかしらの天敵であるかのように。
「っ……。どうして…私はまだ生きているの…」
それの問いは虚しく響くだけだった。
全てを人間に盗られ、壊され、それでもなおまだ奪いにくる人間が、それは嫌いだ。
昔のそれは、人間だった。
初めの実験のせいだった。