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「はじめまして。安部明葉と申します」

ガチャリ。

扉が開く。

開けたのは白いローブの男。

明葉の後ろに控えている江藤蓮のローブより上質な服地で五色の糸で刺繍がされている。

男はドアを大きく開け放ってドアの側に控えた。

後から仁ノ宮愛が入って――こない。

代わりに次々と白いローブが入ってくる。

五人――ドアを開けた男も含めれば六人。

そして。


仁ノ宮愛はやってきた。


もったいつけたという風でもない。

次々に壁際に控える白いローブ達の事となど意識の端にも上げずに。

真っ直ぐに安部明葉の方だけ見て。

弧を描く口元は自信に溢れて。

迷い無い足取りは女王然と。


真っ赤なピンヒール。

深紅のキャミソールドレス。

燃えるような紅の髪。

今の明葉と同じはずのブラウンの瞳が赤を映して紅玉のように輝いている。

器の違いなど些細なことだと言うように、

液晶モニタの中で見る天才そのままに彼女は現れた。


明葉は。

気負わない。

そんな空気を微塵も読まない。

極々普通に、何でもなく、こう言った。


「はじめまして。安部明葉と申します」

「はじめまして。仁ノ宮愛です」


二人きりの女子会が――今始まった。



仁ノ宮愛。十七歳。

有名人である。

安倍明葉は特別じゃないが仁ノ宮愛は特別なのだ。

天才美少女クラシックピアニスト、というのがその肩書きである。

七歳にして世界的に有名なコンクールで優勝して以来常に世界トップクラスの位置にいる。

その一方でモデルやタレントとしても活躍。

海外でも珍しいぐらいの燃えるような紅い髪を持つエキゾチックな美人で、

その理想的なプロポーションや女王然とした物言いにもファンが多い。

全くの無名人で頭がよろしくなくて空気が読めなくて人を見る目がない安部明葉からしてみれば雲の上の存在であった。



女子会は、何事もなく進行した。

お互いの近況を話して、

勇者になった経緯を話して、

取り巻く人々のことを話して、

くだらないことを話して、

笑いあった。

仁ノ宮愛はそうしてみるとわりと気の良い頼りになるお姉さんで、明葉には意外だった。

それでも。

油断なんてしていなかった。

明葉はともかく江藤蓮は。

だからそれは。

してやられた、ということなのだろう。


次は平日なのでゆっくりペースになります。

一話一話が短くて読みづらいでしょうか。ご指摘があれば改善していく所存です。

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