「魔法鉄鋼王国とは何だったのか?」
交錯編一つの山場です。過去と現在。勇者界と魔法界が交錯していきます。
二十点。
それが六月十九日火曜日に取れるようになった数学の最高得点であった。
つまりは大問丸々一つ満点。
恐るべきはブール代数であった。
これは、報酬が貰えるかもしれない。
というより、貰えると見るべきであろう。
さて、何を望むか。
明葉はうーんと伸びをした。
六月十九日。
火曜日。
放課後。
市立図書館。
分類番号零番片隅の閲覧席。
少々手狭で日当たりが悪いので比較的人が少なく、今は四人掛けの席を明葉が独り占めだった。
それはさておき。
報酬であった。
難しい問題であった。
何となく、何となくだが学術科学都市の言っている事は分かる。
技術は怖い。発展は恐ろしい。変化は忌むべきだ。
そういうことなんだろう。
魔法界で魔法を否定するということは。
それはよく理解できる。
しかし、生粋の勇者界人である明葉にはだから科学は安心できるという概念は理解できない。
魔法が恐ろしいものであることは分かるが、だからといって科学が安心できるということにはならないだろう。
明葉は兵器マニアでもなんでもないがそれでも核の恐ろしさぐらいは知っている。
それとも。
それを凌駕するほどの危険性が魔法にあると言うのだろうか。
ふう。
明葉はため息をつく。
考えていても仕方ない。
もう閉館だし一旦ここで切り上げて――
と、なんの気のなしに辺りを見渡した明葉の目に。
その文字は容赦なく飛び込んできた。
白い背表紙。
日本十進分類都市伝説の項。
藍色から水色に変わるグラデーションの文字でそこにはこうあった。
「魔法鉄鋼王国とは何だったのか?」




